著者:友松はじめ
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今回は『ホスピタリティの教科書 お客様の感動を生む「まごころ」のおもてなし』を紹介します。

10万部のベストセラーになった『リッツカールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと』の著者である林田正光さんの2作目の本です。

この本のテーマは、『賢くなったお客様』をどうやって満足してもらい感動してもらえるか。
そのためのサービスの方法を教えてくれる本です。

まず、この本を読んでいくにあたっての前提ですが、『お客様が賢くなっている』ということを頭の片隅において読んでいくといいと思います。

お客様が賢くなった?
同じサービスや商品を販売している会社でも、今は潰れる会社と潰れない会社があります 。
その違いって何なんでしょうね?

この本のポイントである『賢くなったお客様』について、林田さんが説明してくれている文書があるので引用したいと思います。

評論家などは、勝ち組負け組の二極化が進んでいるといいます。確かにそうでしょう。しかし、それは現象をそのまま述べたに過ぎません。現象の本質は全く説明されていないのです。
では本質的なところでは何が起こっているのでしょうか。
それは「お客様が賢くなった」のです。
お客様というのはいつまでも「そのまま」という思い込みがあるとしたら、それは大きな間違いです。(4ページより引用)

私が以前勤務していた通信販売の会社の業界でも、負け組の会社と勝ち組の会社がありました。
負け組は、勝ち組の商品をサービスを一生懸命真似するのですが、勝ち組に勝つことはできません。

でも、お客様が賢くなっていることを前提に考えてみると、勝ち組の真似をしてもうまくいかないということが、なんとなく理解できるような気がします。

一流のホテルと呼ばれるところでも、普通の人が気軽に出入りするようになりました。一度、一流レベルのサービスに触れてしまうと、お客様はそのレベルを下げることは避けたいと思うものです。上のレベルを知ったお客様は、他の業種でもたくさんの消費体験を積んでいます。それらさまざまな経験が積もりに積もって、「お客様は賢くなった」と考えられるのです。
メジャーリーグの野球を見たお客様が、たとえ巨人戦であれ、日本の野球を見ていられなくなったのと同じです。(5ページと6ページから引用)

『お客様が賢くなった』の答えが、この引用で少しわかりました。
お客様は、私たちサービスをする側よりも、もっとたくさんの同じ業種の同じようなサービスを受けているため、私達よりも数段、体験も、情報も、お客様の方が詳しくなっているわけですよ。
リアルな店舗だけでなく、通信販売でさえも、お客様は色々な体験、経験をしています。
お客様が賢くなって当然です。

そうそう、それから、視点を変えれば、私たちもお客様なわけで。
私達だって自分に興味のあるものには、かなり詳しくなっているのではないでしょうか?
そう考えてみると、なかなか今時のお客さんは手強いですね。
ではどうやって『賢くなったお客様』にさらなる感動を与えられるのでしょうか?

高野登さんの著書『リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート』では、どんなにすごいサービスでも、それだけでは人は感動しないと書かれていました。どういうことかと言うと、満足と感動は違う。満足の先には大満足しかない。

だから、お客様の満足を満たそうと思えば、それはもういたちごっこのようなもので、終わりがないのです。どれだけすごい満足をお客様に提供したとしても、同じ満足では、もうお客様は満足しないのです。

だからこそ、お客様に提供するのは『感動』でなければならないと書かれていました。

 

目次
はじめに
1.最高のおもてなしを実現するために
2.スタッフへのホスピタリティ
3.ホスピタリティを実践する
4.仕事で大切にしたいこと

 

この本を読むメリット

この本『ホスピタリティの教科書』を読むことによってやられるメリットはこの3つです。

  • お客様の感じる「満足」と「感動」は違う、分けて考えないといけないことが分かる
  • なぜ賢くなったお客様に「感動」が必要なのかが分かる
  • 感動のサービスの方法がわかる

今までのサービスが通用しなくなってきた理由は、『お客様が賢くなったから』というのは本書の冒頭で分かります。この本のポイントでもあります。

では、賢くなったお客様には一体どう接していけばいいのか? どうしたら、自分のお客様になってくれるのか? というところが、この本を読むポイントになってきます。
『賢くなったお客様』には、色々な注意すべき要素があるのですが、私が本書を読んで気になった点をいくつか紹介したいと思います。

最高のおもてなしをするための要素に、
「気くばり」と「心くばり」の2つがキーワードになっていました。

林田さんは、日々のサービスを行う上でそんなに多くのことはやっていないと言っています。
サービスのスペシャリストですから、さぞ色々なことを考え、色々なサービスを行っているのだろうと思いきや、「気くばり」と「心くばり」の2つだけに重点を置いているそうです。
気くばりとは仕事のマナーです。

では「気くばり」とは何でしょうか。
簡単に言うと、ビジネス上のマナーのことだと思います。たとえば少し暑いなと感じる日に「何か飲み物でもお持ちいたしましょうか」「部屋の温度は適切でございますか」などと声をかけることです。例のような状況で、熱いお茶をお持ちしたらどうなるでしょうか。もちろん、お客様は熱いお茶を飲まれるでしょう。文句を言われる方は少ないと思います。「気くばり」の行動が多少ずれていても、お客様からクレームがくることはないでしょう。
(19ページより引用)

通常のサービスに、気くばりが加わると、お客様は満足されます 。

そして心くばりですが

「心くばり」とは「心配」と書きます。文字通り、相手のことを心配するわけです。「暑さが仕事に支障をきたしていないだろうか、冷たいお茶なら少しでもくつろいでいただけて、仕事にやる気を出して頂けるのでは」というようにです。「気くばり」と「心くばり」は次元の違うもので、現実には、あかの他人を心配する気持ちはなかなか湧いてこないものです。(20ページより引用)

通常のサービスに、心くばりが加わると、お客様は感動するのです。

顧客満足=マニュアル×気くばり
感動=マニュアル×心くばり

こんな公式でしょうか。
どんなサービスでも満足はあります。
でも、お客様の中に感動は生まれたでしょうか?

そこまでやるのか?!というのが感動のサービスに繋がると林田さんの別の本でも読んだことがありましたが、『そこまでやるのか』がお客様の感動を呼ぶことになることが本書を読んでもわかります。

 

まとめ

全てのサービスは『お客様が賢くなっている』ということを前提に行わなければならないということが分かり大きな収穫となりました。
この前提に立って、プロとしてどんなサービスをお客様に提供したらいいのか、お客様に対して行うことの他に、自分自身に行うこと、会社の仲間、そしてお取引先に対して行うことが、本当に細く書かれています。

自分がお客様になった時の感覚を思い出してみると、なかなかわがままで手強いなと思います。
それに、感動を受けたサービスは、何年前のものであってもやっぱり私も覚えています。

品質の良い商品サービスは、あって当たり前。
ですから、お客様から支持されて、リピートして頂ける会社やお店になるためには、ホスピタリティの力を養うことが必要なんですね。

是非本書から学んでいただけたらと思います。

ホスピタリティの教科書

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