著者:友松はじめ
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今回ご紹介する本は『日本的クレド経営のすすめ』です。

クレドは『信条』を表すラテン語として有名です。
リッツ・カールトンが大阪で日本第1号ホテルをオープンし、たった数年で日本のホテル業界の中で成功を収めました。

リッツ・カールトン成功で、クレドが注目されるようになったわけですが、クレドは社是や社訓、経営理念と同じようなものとして知られるようになりました。
クレドに興味のある経営者であれば、いずれは自分の会社やお店にもクレドを導入してみたいと思っているはずです。

しかしクレドは外国からきたものです。
リッツカールトンは外資系の企業です。クレドで有名なもう一つの会社、ジョンソン・エンド・ジョンソンも外資系の一流企業です。ですから、どんなにクレドが組織改革等に役立ちそうだと分かっていても、外国の経営理念のようなものが日本の企業に当てはまるのだろうか? と、いぶかしげに考えている経営者もいるのではないでしょうか。

今回紹介するこの本『日本的クレド経営のすすめ』は、日本の 企業こそ、クレドを導入するじゃないだろうか? と思える本です。初版が2008年9月ですので、出版されて10年以上が経っています。ですからクレドについての理解もだいぶ広がってきているはずなので、日本の企業にクレドはそぐわないと考えている人はだいぶ少なくなっているとは思います。

しかし、人によっては『クレドはもう古い』という人もいます。
そう思う人の気持ちもわからないわけではありませんが、実際にクレドを勉強したり、クレド導入にチャレンジしたことが無い人には言われたくないですね。(笑)

ということで、この本はクレド導入の入門書と言える本だと思います。

目次
第1章:クレド関連用語集
第2章:クレドとは何か
第3章:日本企業の経営理念はこれでよいのか
第4章:エピソード-1日本的クレド経営の草分け・ブルーグラスを語る12章
第5章:エピソード-2リゾートホテル・パーム・ド・夢のクレド
第6章:エピソード-3〈ケーススタディ〉クレドから見た池田タクシーの経営戦略
第7章:クレドの展開と業種・業界特性
第8章:クレドとソリューション
第9章:学習する組織とクレド

 

この本から得られるメリットとは

『日本的経営のすすめ』を読むことで得られるメリットは

  1. 社是、社訓、経営理念、行動指針、そしてクレドの違いがよく分かる
  2. 日本にこそ クレドが馴染むということが分かる
  3. どの業界でもクレドが導入できることがわかる

以上の3点です。

どうしてもクレドは、サービス業や接客業に適しているものと思われがちです。
リッツ・カールトンがホテルだからというのも原因だと思います。

そのため、製造業やメーカーなど直接エンドユーザーと関わりが少ない企業にクレドは向かないと考えられています。しかし、この本を読めば、どの企業どの業界でもクレド導入ができるということが分かってもらえると思います。
この本で特徴的なのは、第1章にクレド関連用語集があることです。
私も仕事柄クレドの説明をすることがありますが、社是と社訓そして経営理念の違いが分かりにくいと感じます。ネットで検索しても社是と社訓と経営理念をごちゃまぜにして説明していたりしていて 実際よくわからないです。

この本でも、そのことが指摘されています。
クレドを理解するための予備知識として、社是、社訓、経営理念の違いを分かりやすく説明してくれていますので是非読んでもらいたいです。

他にも、ミッションステートメント、クレド、クレドカード、学習する組織、ナレッジマネジメント、ホスピタリティなどなど。読者がクレドを理解する上で必要と思われる用語が一通り解説されています。

私は個人的に、社是と社訓と経営理念、そして行動指針が明確に説明されているのを読むだけでもこの本を買う価値があると思います。ここが分かっていないとクレドがなかなか理解しにくいですからね。

それからクレドの導入事例を学ぼうと思えば、やっぱりジョンソン・エンド・ジョンソンやリッツカールトンからでしょう。(この本では、その他にあともう一社、アメリカホンダも紹介されています)
クレド関連の本では必ず紹介されている、ジョンソン・エンド・ジョンソンやリッツカールトン。
改めて知る必要はないと思う方もいると思いますが、同じ情報でも著者を変えて読むことによって、著者のフィルターを通して、また違った視点が学べますから、ぜひ本書を手にとって 日本の企業のクレド導入について読んでもらいたいと思います。

この本の著者、服部義信さんは2005年からネクストステージビジネスコンサルタンツという会社を経営されています。中小企業経営者や経営幹部を集めた業種交流勉強会『服部経営塾』を主催されている経営コンサルタントです。

経営コンサルタントの視点から、リッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソン、アメリカホンダのクレドを学ぶとまた新しい学びがあると思います。

この本のポイント

この本のポイントの一つは、日本の企業にこそクレドが必要ということ。

クレドが初めて日本に入ってきたのは、リッツ・カールトンが日本進出第1号ホテルとしてオープンさせたリッツ・カールトン大阪が最初です。
オープンした年は1995年だったと思います。

ですから、日本でのクレドの歴史はまだまだ浅いわけです。でも著者は、遠く戦国時代、戦国武将を例に出してクレドが日本にこそ馴染むものだということを証明(?)してくれています。
とても面白い視点だと思って読みました。

取り上げている武将は、朝倉孝景(あさくらたかかげ)という武将で、朝倉家の家訓『朝倉英林壁書』がクレドに当たると言っています。

『朝倉英林壁書』では、能力主義、調査、武器などについて書かれているそうです。
それから節約、領土の経営、軍事の体制についても定められています。

もう500年以上も前の時代なのに、戦争をに関して『占いを頼るな』と書かれていたり、江戸時代で実現される参勤交代の制度もすでに導入されていると紹介されていました。
結果100年後に朝倉家は、あの織田信長に滅ぼされてしまいます。いくらミッションが優れていても経営者に能力がなければ、最後は淘汰される例としても挙げられています。

著者はクレドは、スタッフに理解してもらいやすく、わかりやすい文章であることが大切と言っています。この『朝倉英林壁書』も具体的で、家来たちが行動しやすい内容になっているようですよ。少し内容が紹介されていましたが、昔の言葉なので『朝倉英林壁書』が分かりやすいのか、分かりませんでしたが。(汗)

もちろん戦国時代にクレドという言葉はありませんでしたが、わかりやすく行動しやすい文章で、ミッションを家来たちに伝えるということはあったんですね。クレドも会社のミッションをスタッフが行動しやすく、わかりやすくしたものだと言いますからね。

この本を読もうと思ったキッカケ

私が『日本的クレド経営のススメ』を読もうと思ったキッカケですが、クレドがどれだけ日本の会社やお店に必要なものなのか? というのをもっと知りたかったからです。

ページを開くと最初にクレド関連用語集があります。
先ほども言いましたが、社是や社訓、そして経営理念、あとは行動指針。
こういったものとクレドが結構ごちゃまぜに理解されていて、違いをはっきり理解されていないというのがあります。

実際にネットで検索してみても、私のようにごちゃ混ぜに理解している人が多く見られました。
この本でも指摘されている通り、同じように『よくわかんない』と感じている人は、私だけではないということもわかりました。

残念ながら、具体的なクレドの導入方法は、この本には書かれていません。
でも、その代りクレド導入を考えた時に、必ず必要になってくる基礎知識が書かれています。
そして、クレドの導入事例も紹介されています。その導入事例は全部で三つです。

クレドの導入事例は、第4章、第5章、第6章に掲載されています。
1社につき、1章ずつ掘り下げてクレド導入の成功例を紹介してくれています。ここを読むだけでも、クレド導入はまだ先だと思っていても、クレドを導入した時の自分の会社やお店が、クレドによって、どのように変化していくのか? イメージしやすくなるはずです。

この本をおすすめする理由

私がこの本『日本的クレド経営のススメ』をおすすめする理由は、

クレドの基礎知識がつく
クレド導入後の効果がわかる
どの業界でも来れどが導入できて効果をあげられることがわかる

の以上3つです。
ひとつずつ簡単ですがその理由を説明していきます。

1.クレドの基礎知識がつく

すでにお話ししましたが、この本の第1章にはレドを理解するために、クレド関連用語集があります。これからクレドを学んでいこうとする人たちに、著者が必要と考えるクレドの用語を詳しく解説してくれています。私が個人的にとても役に立ったと思うのは、社是と社訓そして経営理念、行動指針の解説です。

特に、社是と社訓と経営理念は注意しておかないと、意味がごちゃごちゃになってしまいます。
たぶん、正確に違いを説明できる人は少ないんじゃないでしょうか?
さらに、そこにクレドが入ってしまうと、さらに分かりにくくなってしまいます。(汗)
私はこの用語集を読むだけでも、この本を買って読む価値はあったと思います。

2.クレド導入後の効果がわかる

1社につき、まるまる1章をクレド導入事例として深く紹介していれています。
全部で3社を紹介しています。この本を読むということは、クレドのことが学びたい、クレドを導入したい、クレドの効果を知りたいと思っている方たちだと思います。

本によっては単なクレド導入事例が多い中で、経営コンサルタントの視点から多くのスペースと文字量を使って解説してくれている、この本の導入事例はクレドの効果を知りたい我々読者にとってありがたい存在と言えます。

3.どの業界でも来れどが導入できて効果をあげられることがわかる

クレドはどうしても接客業やサービス業などなど、直接エンドユーザーさんと関われる業種が適していると思われがちです。実際くれるで大きな成功を収めたリッツ・カールトンはホテルですしね。だからリッツ・カールトンを見て我々の業界にクレドは不向きだと思ってしまうのだろうと思います。

でもリッツ・カールトンの仕事は接客業だけではありません。
清掃の仕事もあるし、壊れた備品の修理をするカーペンターという仕事もあります。料理を作るキッチンもそうです。こういった部署の人たちは基本的に、ホテルを利用するお客様との直接の接点はありません。では、このような部署の人たちはクレドを実践していないのかと言うとそうではありません。みんなリッツ・カールトンのクレドにそって仕事をしています。

「顧客のニーズ」を先に察知し、それに対応して、満足を提供するための会話、機転、アイデアの創造などを表したリッツカールトンの事例は素晴らしいものである。しかし、メーカーの技術開発、、資材管理、品質管理、製造、生産管理……などは気配り、機転、アイデアだけでは問題・課題をソリューションすることはできない。(205ページから引用)

ということであるため、クレドに興味があっても導入はできないと思われてしまうのではないでしょうか。

そこでこの本では

  • 製造業とクレド
  • 流通業とクレド
  • 金融業とクレド
  • 第三セクター、官庁関連、役人とクレド
  • マネジメント・リーダーシップとクレド

というように、一見するとクレドとは無縁の業種にもクレドが導入できることをアドバイスしてくれています。うちの会社の業態では、クレドの導入は無理だろうと考えている経営者の方がいれば、ぜひ本書を読んでその考えを一旦リセットしていただけたらと思います。

以上が私がこの『日本的クレド経営のすすめ』をおすすめする理由です。

 

まとめ

今回は『日本的クレド経営のすすめ』を紹介しました。

クレドの作り方、クレドの導入の仕方、クレド浸透の仕方を知りたい方には、もしかしたら少し物足りない内容になっているかもしれません。

クレドは外国のものだから、日本の企業には不向きだ。
クレドはホテルで成功したから自分の業態では導入は無理だ。

と、学ぶ前から諦めている人がいたとしたら、それはあまりにももったいないことだと感じます。今回、うまくこの本の魅力を説明できたかはわかりませんが、この本はクレドに対するいろいろな先入観をクリアにするため、クレドを学ぶとき最初に読むべき本の一つだと私は思います。

 

日本的クレド経営のすすめ

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