著者:友松はじめ
Pocket
LINEで送る

今回は『ESクレドを使った組織改革―小さな会社だからこそ、できる! 社員の気持ちを仕事に向ける、ちょっとしたシカケづくり』です。

著者は、日本ES開発協会さんと中筋 宣貴さんの共著です。

ESクレド? なにそれ?
と思いました。本の題名に『クレド』がついていましたので読んでみることに。

目次
第1章  ES クレド 導入のすすめ ~「 ES クレド」とは?~
第2章 現代(21世紀)とは、どんな時代なのか
第3章 なぜ、 ES 経営が脚光を浴びてきたのか
第4章 会社の ES クレドを作ってみよう Ⅰー「成功体験記」を使った ES クレド導入
第5章 会社の ES クレドを作ってみよう Ⅱー個人の価値観を掘り起こす
第6章  ES クレド完成後の取り組み ~ ES クレドで組織開発~
Column

 

顧客満足と従業員満足

ES クレドの ES は『従業員満足』です。
CS は『顧客満足』です。

つまり ES クレドは、従業員満足を中心としたクレドということになるようです。
企業活動では、顧客満足を前提に日々の業務を行っているわけですが、この顧客満足は従業員の満足がないと達成されないとしています。

この従業員満足ですが、休日を増やすとか、給料を多くするとか、これは決して社員を甘やかすわけではないようです。

 

従業員の価値観

では、従業員満足を何で満たすのか?
それは、自分が…

・必要とされている
・感謝されている
・役に立っている
・会社の仕事を通して自分自身が日々成長している

これが従業員満足に繋がる要素なのだそうです。
ちょっと意外な結果でした。

 

21世紀は心の時代

今幸せの形は変わったと言います。
雇用してくれている会社のために懸命に働く。そして会社に評価された証が給料。
その給料で自分が欲しいものを手に入れる。少し前までは会社員の価値観はこういうものでした。

しかし今は、給料はもらって当たり前という意識がスタンダードだといいます。
プロとして、成果結果を出してお金をもらうという考え方は少数派なのだそうです。
その意識の変化の原因は、物がなかった時代から、欲しいものはとりあえず全てそろった時代だからだとか。

今はお金ではなくこころの時代に変わってきているので、従業員満足は心で満たさなければいけない。必要とされていると実感できることが対価になりうる。そのために ES クレドが必要なのだそうです。

ですから ES クレドを作るときは社員が主体のボトムダウンで始めます。

現在のモノがあふれ、物質に恵まれた時代だからこそ必要なファクターが、「こころ」に訴えかける何か、なのです。人は相手のこころ、真心や誠心に触れると、大きな感動を受けることができます。つまり、金銭的な報酬では、限界がありますが、非金銭的な報酬=「感謝の気持ち」は無限です。感謝の気持ちを受け取る側にとって、いくら与えられてもお腹いっぱいになることはありません。そして「感謝の気持ち」は、どんなにたくさん与えられてもそれ自体に費用はかからず、無限に使うことが可能です。

この考え方から、『感謝』を人事評価に取り入れる仕組みを導入している企業が増えてきているそうです。感謝の気持ちが仕事へのモチベーションになって働く人達がお互いに信頼しあって気持ちの良い職場環境に変化している成功事例が増えているそうです。

それから、社是、社訓、経営理念を朝礼で唱和をする会社は今もありますが、これは社員たちを型にはめる行為で、大量消費時代には有効だった手法と書かれています。

確かに、朝礼で唱和をするタイプの会社にお世話になったことはありますが、入ってる時は何も考えてなかったですね。(汗)しかも毎日、口に出して言っているにもかかわらず、思い出せと言われると、思い出せないんですよね。

いっぽう、 ES クレドの場合は、社員が主体で考えて作るものなので、クレドの活用は自分で考えて行動する社員を育てることになります。

この本、ページ数は少ないですが、クレド導入のことやクレドの効果について書かれている内容は思った以上に具体的です。

 

まとめ

この本はそんなにページ数のない本ですが、クレドの導入方法や浸透の方法が詳しく書かれている本です。クレドの導入で組織改革や人材育成を考えている人にとっては非常に役立つ本だと思います。
この本では、クレドは社員が主体になって作ると書いてあります。
もちろんそれだけだと、不十分なので会社の価値観と社員たち一人一人の価値観を融合させる作業が、必要となってきます。もちろん、この融合する作業の方法も本に書かれているので安心してください。

そして会社の価値観と社員たちの価値観が、同じ方向になることによって、今までにない大きな力が発揮され、業績のアップにつながるということでした。
この本で取り上げているクレドは、『 ES クレド』と呼ばれていますが、 リッツ・カールトンやホスピタリティをテーマにした本で言われているクレドと同じものだと思います。

会社の価値観と社員の価値観を一致させる効果がクレドにありますし、クレドを作成してくれどの内容を会社が守る、そして会社がクレドを守っている姿勢を見て社員たちは、会社を信頼して安心して仕事に取り組むことができます。

つまりこれが会社の価値観と従業員の価値観が融合したということです。

今まで、たくさんのリッツ・カールトンやクレドの本を読んできましたが、クレドの導入や浸透に関して、とても具体的な内容が書かれたオススメの一冊です。
クレドを作りたいと考えている経営者の方に必読の一冊です。

ESクレドを使った組織改革―小さな会社だからこそ、できる! 社員の気持ちを仕事に向ける、ちょっとしたシカケづくり

クレド関連書籍一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加