頂点のサービスへようこそ リッツ・カールトンvs.ペニンシュラ/桐山 秀樹(著)の紹介
今回ご紹介する本は『頂点のサービスへようこそ』です。
著者は桐山秀樹さん。
旅行、ホテル業界を中心に、サービス産業全般のビジネス動向に精通しているノンフィクション作家の方です。
この本ではリッツ・カールトンとペニンシュラという二つの超一流ホテルのサービスを比較しながら五つ星のホテルのサービスを学ぶ本です。
目次
頂点のサービスへようこそ リッツ・カールトン vs ペニンシュラ
序章 ホテルに学ぶ「伝説」のサービス
第1章 東京ホテル戦争頂上決戦
第2章 リッツ・カールトンの神秘
第3章 リッツ・カールトンの進化
第4章 ペニンシュラの伝統
第5章 ペニンシュラの文化
第6章 ホテル「頂上決戦」の舞台裏
終章 理想のサービスをめざして
残念ながらこの本は、自分の会社やお店に一流のホテルのサービスを取り入れたいと思っている方が読むような、ホスピタリティやサービスを学ぶ本ではないように思います。
でも、リッツ・カールトンの本ばかり読んでいる私としては、ホテルにクレドが必須と思い込んでいるところがあります。もちろん、クレドは素晴らしいんですが、この本を読んでいくとペニンシュラもリッツもどちらも素晴らしいと感じることができます。
そして、クレドも大事なんですが、クレドの前に大切なことがあることも気づくことができました。リッツにはクレドがあるけれど、ペニンシュラにはクレドがありません。
けれども、「企業哲学」があるホテルは、一流になれるということがこの本を読んでわかりました。
リッツとペニンシュラは考え方がいろいろ違います。
たとえば、リーダーシップの考え方は…
リッツ・カールトンでは、このリーダーシップをまず顧客自身に委ね、次に彼らと最も多く触れ合う機会を持つ現場担当者に委ねる。部門別マネージャーや総支配人、経営者は、そのマネジメントを支援するための存在である。いわば従来型の人事ピラミッド構造を逆さまにして、顧客と現場担当者をヒエラルキーの頂点に置いているのだ。
これに対してペニンシュラは、従来のピラミッド型構造をあえて遵守し、ホテル経営に極めて深い関心と知識を持つ理想的オーナーの下、社長、総支配人、マネージャー、現場担当者が、顧客に対して一本の線でつながった重層的なサービスを提供していく。
顧客を重視した同じ「頂点のサービス」を提供するにしても、全く異なるアプローチから実行してるのである。
という感じですし、、、
人材の育て方やサービスの提供方法は…
リッツ・カールトンは、サービス感覚に優れた人材を採用し、一人一人を伝説の天才ホテルマン、セザール・リッツのように育てる。逆にペニンシュラは、優れたオーナーの下、人間的信頼に支えられたチームワークで、オーナーが目指す理想のサービスを実現しようとする。どちらも魅力的で、異なる道を歩みながら、サービスの頂点を目指すものだ。
こんなにも違います。
リッツは、サービスは科学だと言います。
ペニンシュラでは、サービスは文化、スタッフは家族、一つの家の文化と言います。
このように企業哲学はいろいろ違います。でも、どちらも一流のホテルです 。
ホテル業界に精通したノンフィクション作家が書く、一流ホテル同士の比較は、リッツ・カールトン以外の一流ホテルのことも知れるし、新しい発見もあるので面白く読み進められました。
VSというのが物騒ですけど、ワクワク感が増しますね。
クレドより「企業哲学」
会社やお店に一流ホテルの仕組みを導入した。
一流のサービスが行えるお店や会社にしたい。
そして、スタッフのサービスレベルも上げたい。
ホスピタリティ力をつけたい。
そういう思いがあるならば、やっぱりクレドを作成して、クレドを導入、浸透させる方が手っ取り早いと、今回この本を読んで改めて思いました。やはりサービスは科学だと言われる通り、リッツのクレドの方が再現性が高い気がしました。
一流ホテルは、もちろんリッツ・カールトンだけではありません。
そして、リッツ・カールトン以外のホテルに、クレドがあるかといえば、ありません。
それでも、クレドは無くても、一流ホテルはたくさんあります。
何が言いたいかと言うと、この本を読むことでわかりましたが、クレドがあるから一流のホテルになっているのではなく、「企業哲学」があるから一流ホテルになった。
それがこの本のリッツ・カールトンとペニンシュラの事例を通して気づくことができました。
ですから、リッツやペニンシュラ以外の一流のホテルも、素晴らしい企業哲学があるからこそ、一流ホテルなのですね。
まとめ
クレドを勉強して、クレドを作成、導入したいと考えている会社やお店が多いと思います。
でも、クレドを導入したから一流になるのではなく、「企業哲学」があるか、ないか、というところがクレドの前に大切なのだろうと思います
ただ、クレドがあることによって、一流の仕組みを比較的簡単に自分の会社やお店に取り入れることができるのも事実です。
もちろん、ペニンシュラのサービスも素晴らしいものだとこの本を読んでわかりました。
しかし、ペニンシュラは、クレドのような目に見えるものが無いので、なかなか参考にするというのは難しい気がします。
真似はできないと言っても、ペニンシュラに泊まって一流のサービスを体験することによって得られるものは大きいと思います。
この本を通して一流のサービスの比較ができてとても楽しかったです。
そして、さらにリッツ・カールトンに宿泊したくなりましたし、ペニンシュラにも泊まってみたくなってしまいました。
クレド関連書籍一覧
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- スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。 本当のホスピタリティの話をしよう/岩田 松雄、 高野 登
- ブランドづくりの教科書/林田 正光
- ホスピタリティの教科書/林田 正光
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- リッツ・カールトン – 「型」から入る仕事術/高野 登 (著)
- リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ/高野 登
- リッツ・カールトン 超一流サービスの教科書/レオナルド・インギレアリー、 ミカ・ソロモン
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- リッツ・カールトンたった一言からはじまる「信頼」の物語/高野登
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