リッツ・カールトンたった一言からはじまる「信頼」の物語/高野登(著)の紹介
今回は『リッツ・カールトンたった一言からはじまる「信頼」の物語』をご紹介します。
この本のテーマは信頼です。
ザ・リッツ・カールトン日本支社長、高野登さんが本を通じて教えてくれる信頼とは、どんなものなのかこの本を通じて学んでいきます。
まず信頼とは、そもそも何なのか?
そして、信頼があふれる職場とはどういう職場で、どんな仕事をしているのか?
お客様ではなく、実際に職場で仕事をする仲間たちや、取引先との信頼関係とは、どんなものなのか?
日常生活で、頻繁に信頼という言葉を使いますが、実は私たちが思っている以上に信頼の意味は奥深いもので、ビジネスを広げていくためにも重要なキーワードだったりすることがわかります。
目次
序章:信頼とは何か~未来につながる物語の種を蒔こう~
第1章:信頼を作るための小さな習慣~些細な心配りが人の心を動かす~
第2章:信頼が生まれる人の仕事術~言葉にならない想いへの寄り添い方~
第3章:仕事のパートナーや仲間と「信頼を築く」~チームで「美しい仕事」をしよう~
第4章:初対面で信頼していただくために~相手に関心を持つことが第一歩~
第5章:リーダーとして「信頼」を得る~「手放しで信じる」ことから、すべてははじまる~
第6章:信頼が崩れるとき~気がつかないうちに、あなたの可能性を奪っていること~
第7章:「信頼」の力を磨く~成長し続けようとする努力が、あなたの軸を作る~
おわりに
この本を読むと得られるメリット
この本を読むことで、えられるメリットは、以上の3つです。
- 信頼の意味がわかる
- どんなところで信頼が築かれていくかがわかる
- 信頼を作っていくにはどんなことを磨いて行ったらいいのかがわかる
しかも、日常生活で使われる信頼というよりは、ビジネスにおいて使われる信頼の意味や、育て方が高野さんの著書らしく、たくさんのケーススタディから一緒に考え、学んでいくことができます。
信頼とは?
この本で言う信頼とはどんなものでしょうか?
それは。人と人とを繋げる力のことを信頼と言います。
信頼は…
人間性×スキル=信頼の大きさ
と高野さんは、著書の中で言っています。
信頼に、公式を当てはめるなんて、少し違和感があります。
でも、すごく人柄がいいのに、道によく迷うタクシードライバーの事例が本に載っていまして。
人間性だけでは、信頼はできないなと思える、とてもわかりやすい事例でした。
例として挙げられた、タクシードライバーさんは、とても人柄のいい方でした。
それはつまり人間性がいい方なのですが、道にぜんぜん詳しくないタクシードライバーだったため、本来なら30分で目的地に着くはずが、50分近くかかってしまったと書かれていました。
いくら人柄が良くても、道を知らないタクシードライバーは信頼がを築けません。
いい人だけでは信頼されないのです。
「この人は人柄はいいんだけど…」
「この人は腕はいいんだけど性格がね…」
といった声を聞いたことがあると思いますが、これもまさに、先ほどの公式『人間性×スキル=信頼の大きさ』に当てはまりますね。
人柄がよく、そしてスキルもある人が信頼を勝ち取り、それを大きくしていくことができるということが本を読んでわかりました。
それから、こんな興味深いことも書かれていました。
この本の重要なポイントだと思うので少しお話したいと思います。
それは『信用』と『信頼』です。
この信用と信頼は、意味が違うと高野さんは書いています。
詳しくは、本書を読んでいただくとして、信用とは、サービスに置き換えられ、信頼とは、ホスピタリティに置き換えられるそうです。
信用は信じて用いること。
言われたことを確実にやれる人に対して使われるのが、信用
そして信頼は信じて頼ること。
あの人に、お願いしたらきっと素晴らしい提案をしてもらえる、という何を頼んだとしても頼んだこと以上のことをやってくれる。だから、あの人に頼もうということになり、それが信頼になるそうです。
エピソードの一部を紹介しましたが、このようなケーススタディを通して。私たち読者に信頼とは何かをわかりやすく伝えてくれています。
本書のテーマは
信頼は能力と人間性の両方を磨くことで、信頼が生まれる。
そして、この本は信頼をつくる能力と人間性、この2つの伸ばし方を本を通じて、一緒に考えていこう! というのがテーマになります。
そのため、本書にはたくさんのケーススタディが掲載されています。
本を読んでいくことで、まるで自分も信頼を築いていけるような疑似体験が本を通じてできます。本書を読み終える頃には、高野さんが伝えたい信頼について理解が深まっているはずです。
サービス業、接客業の他、仕事をする上で信頼をもっと作っていきたいと考えている方は、読んでみることをお勧めします。
私がこの本を読もうと思ったキッカケ
私がこの本を読むに至った背景について。
私は、日頃からクレドの研究をしています。
リッツ・カールトンで有名な神秘的なサービスは、もちろんクレドが導入されているからこそ生まれてくるサービスです。しかしそれは、リッツ・カールトンで働くスタッフ達の能力や人間性の高さによって、初めて生まれるものだと思います。
その時の一つのキーワードが信頼だと思うのです。
月曜日、会社に行くのが憂鬱という人と月曜日、会社に出勤するのがとても楽しみ。仲間と一緒に仕事をするのがとても楽しみ、と言う二人の社会人がいるとします。
この違いは、どこから来るのかと言うと、職場の中に仲間同士や取引先との信頼関係があるかどうかなのだそうです。
確かに、私にも経験があります。
私はいくつかの企業を渡り歩いた経験があるのですが、 私が勤務したある企業では、表面上はお互いに仲がいいように見えるのです。
でも、誰か一人がその場からいなくなると…
いなくなった人の陰口を話し出したり、気に入らない上司がいたら、何人かで結託してその上司を不利な立場に追いやるということを平気でやっていました。
しかし、そんな人たちは、社長にだけは気に入られるような行動と言動をしていたため、社長が最後までそれに気づくことはありませんでした。
しかも、結託してた人たちも本当に仲が良かったわけでなく、気を抜いたら次は自分が対象になるかもと、お互いに疑心暗鬼になっていました。
そのような会社だと働いてる社員たちは不幸ですし、それに気づかない経営者も不幸です。
ですから、この本は部下を持つ管理職の方はもちろん、経営者の方々にも是非読んでいただきたい本だと思っています。
この本のポイントをいくつか…
私がこの本を読んで、信頼が大切であると考える理由を3つの点から説明したいと思います。
- 信頼はクレド導入の土台である
- 信頼が職場を変えていく
- 信頼が仕事を大きくする
信頼はクレド導入の土台である
クレドを勉強していくと、クレドやクレド導入の仕組みは素晴らしいと本当に思うのですが、クレドやクレドの仕組みが、スムーズに動き始めるためには、人間同士の信頼が欠かせないと感じるのです。信頼はクレド導入の土台であり、エネルギーだと私は思います。
信頼が職場を変えていく
高野さんはこの本の中で、信頼が職場を変えていくと言っています。
上司や部下、先輩、後輩、お客様、そしてお取引先。
そこに信頼があれば、職場にあたたかな人間関係が生まれるそうです。
信頼が仕事を大きくする
職場に信頼の量が増え、そこで働く人たちが、みんな仕事が好き! この会社が好き! という状態になった時、そしてそれが周りに伝わって行った時、取引先もお客様もその会社と関わっていきたいと思ってくれるそうです。素晴らしいですね。
まとめ
今回は『リッツ・カールトンたった一言から始まる信頼の物語』をご紹介しました。
職場に信頼が生まれる一つの方法として、高野さんが提案してくれている方法があります。
それを一つご紹介しておきます。
すごく簡単なことなのですが、それは『挨拶』をすることです。
最近では、挨拶を普通にできない人たちが増えているといいます。
その原因は、挨拶が特別な場所でのセレモニーになっているのではないか? と高野さんは言っています。
セレモニーになっているから、挨拶を出し惜しみしているのではないか? ということでした。挨拶が習慣になっている人からすると、ちょっとイメージしにくいかもしれませんね。
例えば、飛行機の搭乗口で、スタッフの方達がお客さんに笑顔で挨拶をしても、ほとんどの人が挨拶を返さないそうです。しかし、そんなお客様の中でも、必ず笑顔で挨拶を返してくれる人たちがいるそうです。
それがファーストクラスに乗るお客様達なのだそうです。
う~ん。考えさせられますね。
信頼について、こんなに深く掘り下げた本は、なかなかないと思います。
しかも、あのリッツ・カールトンで日本支社長まで務めた高野登さんの経験を元にした信頼の作り方です。
クレドの勉強やクレドの導入を考えている人は、本書を読んでホスピタリティ力を磨いていただけたらと思います。
クレド関連書籍一覧
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- サービスの手帳 心のこもったおもてなしを実現する/林田 正光
- ゴールド・スタンダード/ジョゼフ・ミケーリ(著)
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- ブランドづくりの教科書/林田 正光
- ホスピタリティの教科書/林田 正光
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- リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ/高野 登
- リッツ・カールトン 超一流サービスの教科書/レオナルド・インギレアリー、 ミカ・ソロモン
- リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功法則/井上 富紀子、 リコ ドゥブランク
- リッツ・カールトンたった一言からはじまる「信頼」の物語/高野登
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