スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。 本当のホスピタリティの話をしよう/岩田 松雄、 高野 登(著)の紹介
今回は『スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。』をご紹介したいと思います。スターバックスを知らない人はいないでしょう。どこのスターバックスに行ってもだいたい満席であまり利用できないので、シアトルズベストやタリーズコーヒーやドトールコーヒーを利用することが多いです。
それは今も変わらないのですが、この本を読んでからスターバックスとそこで働くスタッフさんが好きになってしまいました。
この本をキッカケにスターバックス関連の本を数冊読んでしまったほどです。
今も仕事の打ち合わせにはスターバックスは使いませんが、休日に妻と行くことが多くなりました。
コーヒーが美味しいのはもちろんなのですが、お店もスタッフさんも本当に心地いいのです。だから癒やされるために妻とスターバックスに行くんです。
本当にキッカケはこの本でした。
この本を読むメリット
この本を読むことで得られるメリットはこちらです。
- ブランドを作るにはミッションが大事、ミッションが無いとブランドは作れないことがわかる
- なぜスターバックスが日本で認知されてブランドになったかがわかる
- スターバックスが好きになる
以上の3つです。
この本を読んでスターバックスが好きになった理由がわかれば、あなたの会社やお店のブランド作りのヒントになるはずです。
この本は対談本です。
元スターバックスコーヒージャパンCEO磐田松雄さんと、元リッツ・カールトン日本支社長の高野登さんのお二人の対談を本にしたものです。
カフェのチェーン店とリッツ・カールトン? しかもスターバックスのライバルがリッツ・カールトン? と思うかもしれません。私も思いました。
でも、読んでいくうちに「あー、やっぱりライバルだ」と思うはずです。
リッツ・カールトンには宿泊したことはなくてもスターバックスを利用したことが無い人は少ないと思いますがスターバックスを通してリッツとクレドを学ぶこともできると思います。
モラルを疑うような事件はスターバックスには無い
日本のスターバックスは1000店舗以上あります。従業員も2万人を有に超えているんです。そして日本にはスターバックスの奇跡というのがあります。
スターバックスの奇跡は1000店舗以上、そして2万人以上の従業員がいても、あのスターバックスのクオリティを保っていること。これがスターバックスの奇跡と言われています。
ちょうどこのコラムを書いている時は、くら寿司の調理場で食材をゴミ箱に投げ入れて、そして再びゴミ箱から拾い上げてまな板に置く事件、おでんのシラタキを口に入れて吐き出すセブンイレブンの事件が起こった時期です。
くら寿司もセブンイレブンも業種は違いますが、全国に店舗を持つ一大チェーンです。
でも、スターバックスでは従業員のモラルが疑われるような事件を聞いたことがありません。
スターバックスではアルバイトさんも長く努めている人もいるし、結婚や出産で一時的に辞めてもまた戻ってくる人が多いと書いていました。
他の業態も今だからこそこの本を通じて、スターバックスから学ぶことが多いかもしれないと感じます。
私がこの本をおすすめする理由
おしゃれなところは、なんとなく敬遠してしまいます。
どこか気後れしてしまうんです。スターバックスも私にとっては気後れする場所でした。
でも、この本を読んで…
共著者の岩田さんが、スターバックスのミッションが
『ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから』
というのをこの本から知って、確かにスターバックスでそれは実現できていると感じれること。
スターバックスには、クレドは無いがグリーンエプロンブックという、絵本のようなシンプルな冊子がスタッフに配られてそれを元に研修を行うこと。
そして、スターバックスは、コーヒーショップではない。感動経験を売っている。
と話す岩田さんの話に興味を持ちました。
スターバックスにはサービスマニュアルは無いんです。
コーヒーなどを作るためのオペレーションマニュアルはあるけど。
つまり、私達がスタバに行ってスタッフさんたちにサービスしてもらっているあの接客は、各個々人の人間力なんですね。
接客に際してのスターバックスの指示は『ジャスト・セイ・イエス』だけだそうです。
それだけなのに、くら寿司やセブンイレブンで発生しているようなふざけた事件は起きない。
2万人以上のスタッフが居るのに。本当に奇跡ではないでしょうか?
あと、もうひとつ、スターバックスが好きになった理由ですが、注文をしたあと、赤いランプの下で商品を受け取りますよね?
そのとき、レシートをスタッフさんに見せたりしませんよね?
この本を読むまで、まったく気にしていなかったのですが、あれはお客さんを信用しているという証なんだそうです。
なんだかうれしくないですか?
あと、そうそう、これも大切なポイントだと思ったのですが、スタッフの採用面接のときには適正を本当に注意して見極めているそうです。スターバックスの風土にあった人かどうか。
スターバックスのスタッフさんが男女問わず温かみがあるのは、それも要因の一つのようです。
今は人手不足で、特に飲食業界はさらに深刻だそうです。人が応募してこない。
私の知っている会社では30万円の求人広告を出して、応募が1人だったそうです。
採用ではないですよ、応募ですよ。
そんな状況ですから、自分の会社やお店への適正を見て採用するなんて余裕もないのが実情でしょう。そういうことでもブランド化は喉から手が出るほどにほしいところです。
無名の外資系企業が日本でブランドになるまで
リッツ・カールトンもスターバックスも他社のように宣伝広告をしていないのに、外資系なのにブランドになりました。
お二人の対談からその秘密が語られています。ブランドになっていくために大規模な宣伝広告広告が実は必要がないということが分かります。
岩田さんは、ある程度スターバックスが日本で認知されはじめてからCEOになった方ですが、高野さんはリッツ・カールトンが日本に進出する時のオープニングメンバーですから、ブランド化していく過程は、規模は違っても参考になるはずです。
リッツ・カールトンとスターバックスのブランド化の過程を詳しく知りたい方はぜひ本書を手にとって学んでほしいです。
まとめ
今回は『スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。』を紹介しました。
今でこそブランドが確立された2つの企業ですが、本当に最初は誰も知らない外資系の企業でした。そしてどちらも宣伝広告をしていない。それでも認知されて日本でもブランド化に成功しています。
高野登さんはリッツ・カールトン、そして岩田松雄さんはスターバックスの経営にたずさわっていた方々です。経営に関わった人にしか分からない貴重なお話を通して、ブランド化のお話はもちろん、本当のホスピタリティ、おもてなしの本質を知ることができます。
何より、この本を読んだ後からスターバックスが好きになり、より居心地のいい空間になりました。利用する、楽しむというだけなら目に見える部分だけでも十分ですが、裏側に隠された取り組み、ミッション等を知ることで、スターバックスに行くごとに勉強になっています。
みなさんにも読んでほしい1冊です。
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- ホスピタリティの教科書/林田 正光
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