著者:清水健一郎
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リッツ・カールトンのクレド、ベーシック20番 / クレドサクセス実践ブログ

クレドを支えるベーシック

リッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックに焦点を当ててみましょう。
今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。

私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、
従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。
クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。

もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれてある内容よりも、その奥にある意図を考えてみましょう。

今回、なぜベーシックが存在し、その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。

しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図を理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていくからです。
では、今日はベーシックの20に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。

ザ・リッツ・カールトン・ベーシック20番

20.リッツ・カールトン・ホテルの資産を守るのは、従業員一人一人の役目です。エネルギーを節約し、ホテルを良い状態に維持し、環境安全につとめます。

スタッフも疲れてくると備品を雑にあつかうことや消耗品をムダに使ってしまうことも出てきます。

リッツ在籍中、一回の洗い物に使う洗剤の量が極端に多くなったときや、重い物を台車に乗せて運ぶ際、壁にぶつけて始末書を書いた事もありました。

このように注意が足らずにおこなった仕事で、上司からお叱りを受けたことが多々ありました。

そんな時、定期的にラインナップでディスカッションするベーシック20番で、スタッフたちは、日頃の手抜き、意識の欠如など自分の普段の行動を振り返る機会にしていました。

そして、備品や消耗品の扱い方のルールを決める場になることも重い荷物の運び方などのアイデアが生まれる場にラインナップはなっていました。

新卒スタッフ達からすれば、何をどうすればエネルギーの節約になるのか? どういった状態がホテルにとって良い状態なのか判断する基準を持ち合わせていないのです。

 

ベーシック20の意図

それは、ベーシック20を定期的に考える機会を持つことで、ディスカッションし、どうすれば、なにをすればホテルの資産を守りエネルギーの節約の方法、ホテルを良い状態に維持するためのアイデアが生まれるのか。

ディスカッションすることで明確になり、実践できるようになるのです。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

会社の資産を大切に使うことで、仕事の質が落ちない、サービスや商品の質も落ちない。
従業員は安全に仕事ができるし、会社の施設を使うお客様はいつも安全な状態に保たれた中でサービスや商品を利用できる。

そのためのベーシック20番だと私は思っています。
今回のコラムを読んでいて新卒で入社した会社にいた同じ年の先輩社員のことを思い出しました。

先輩は配達用の社用車を運転中に、こすってキズをつけたり、ぶつけてボディをへこませるなど他の社員からも注意されるほどでした。
注意されている先輩をひと言で表現すると…『テヘペロ』という感じ。(汗)

ある日の休日、問題の先輩の車で出かけることがありました。
車の車種は忘れましたが、キズひとつ無いキレイな車でした。

その会社が好き、仕事が好き、仲間が好き、仕事に誇りを持っているなどなど。
会社にいい想いがあったら社用車もキズやヘコミの無いキレイな状態だったんじゃないかなと思うのです。

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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