著者:清水健一郎
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リッツ・カールトン・ベーシック17番

クレドを支えるベーシック

リッツ・カールトンのクレドに書かれていたベーシックに焦点を当ててみましょう。
今は、バリューと名を変えて存在しているそうです。

私の在籍中には、クレドカードには、クレド、サービスの3ステップ、モットー、従業員への約束、そして、20個のベーシックが書かれていていました。
クレドカードの内容は、何度も何度も読み返しました。

もちろん、ラインナップ(リッツ式朝礼)の際に、読み上げて、読み上げたところについて、参加しているスタッフ全員でディスカッションしていましたが、この20個のベーシックの役割、書かれてある内容よりも、その奥にある意図を考えてみましょう。

今回、なぜベーシックが存在し、その意図を考えるに至った経緯は、クレドを作成するうえで、ベーシックはとても重要だと理解しているにもかかわらず、クレドが作れても、次にクレドを支えるベーシックを作る事に頭を抱える事が多いからです。

しかし、リッツのベーシックをお手本として、そのベーシックの意図を理解していけば、その意図に添ってベーシックが作られていくからです。
では、今日はベーシックの10に書かれている内容の奥にある意図を考えていきましょう。

ザ・リッツ・カールトン・ベーシック17番

17.リッツ・カールトンの電話対応エチケットを守りましょう。呼び出し音3回以内に、「笑顔で」電話を取ります。お客様のお名前を出来るだけお呼びしましょう。保留にする場合は、「少しお待ちいただいてよろしいでしょうか?」とおたずねしてからにします。電話の相手の名前をたずねて、接し方を変えてはいけません。電話の転送はなるべく避けましょう。

ご予約のお客様の場合、ホテルとのファーストコンタクトは電話です。
リッツ・カールトンに予約を入れる。
「特別な日に特別な人と特別な時間を過ごすため」という期待を込めてご予約のお電話をされるお客様は少なくありません。

そんなお客様のほとんどが、電話をかける際、緊張しておられます。
そんな時、電話の向こうから笑顔で対応してくれるスタッフをイメージ出来れば、特別な要望をお願いしやすく思うのではありませんか?

それに電話になかなか出てくれない場合、「あ、今、ホテルの人、忙しいのかな?そんな時間帯に電話して悪かったかな?」と、考えるお客様も少なくないはず。

今回は、電話対応のベーシックですが、電話対応だけでなくサービス業にとって大切な言葉の使い方も入っているので、よくラインナップの際には、ディスカッションしていました。

命令文ではなく疑問文。
否定文ではなく肯定文の事です。

疑問文は「少しお待ちいただいてよろしいでしょうか?」
命令文は「少しお待ちください」

お客様からAと言う商品を用意できますか?
とたずねられた際、ホテル側はAと言う商品の取り扱いは無かったとします。

Aをサンペレグリノ(イタリアのスパークリングウォーター)、Bはペリエ(フランスのスパークリングウォーター)
否定文は「サンペレグリノはありません」
肯定文は「ペリエならございますが、いかがいたしましょうか?」

ベーシック17の意図は、電話対応も含めたサービス業で使う言葉。
日々のディスカッションで訓練します。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

私は通信販売の会社に勤務していました。
担当はネットショップの運営でしたが、私の部署のすぐ横にコールセンターがありまして、お中元やお歳暮時期には、ヒマじゃないのにコールセンターの手伝いをさせられていました。

パソコンに向かっている仕事ですからヒマそうにみえるんでしょうね。
お客様からのお電話を受けるとき、電話応対の特別な訓練は受けたことはありませんでしたが、否定する言葉にはとても違和感がありました。

それから、一般的には丁寧で失礼の無い言葉であっても使うのに抵抗を感じる言葉もありました。

たとえば
「いたしかねます」

これ、とても丁寧な言葉なんですよ。
でもとても丁寧に拒否してるんですよね。

だから、私もできないことがあっても必ず代替え案を用意するようにしていました。
お客様と電話で別の商品を何にするかいっしょに考えたりすることもありました。
結果的に否定することになったとしてもいったんは受けとめる会社の対応はとてもいいと思います。

リッツ・カールトン・ベーシック17番も、ノーと言わないサービスに通じるところがありますね。

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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