著者:友松はじめ
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今回の記事はクレド6ステップ導入マニュアルのステップ6のお話です。

  • クレドができた
  • クレドの導入もできて職場にもクレドが浸透してきている

こんな状況になってきたときに必要になるのがステップ6です。

ステップ6導入はスタート。あなたの会社とお店そしてクレドを進化させるノウハウ

今までご紹介したことは、私がリッツで体験したことの中で、リッツ・カールトン以外の会社やお店、10名以下の職場に導入するための最低限必要なものだけです。

ステップ6では、クレド導入後、クレドを浸透させた後、どんどんと良いものを導入していって欲しいと考えるものも紹介していきます。

また、導入・浸透後もクレドを更新することにも焦点を当てて欲しいです。

会社やお店が

  • 生き物であるように
  • 従業員数の変化があるように
  • 年齢、成長などの変化があるように
  • 時間と共に変化するように
  • 時流に対応していくように

クレドも進化と変化が必須です。
最後のステップでは、クレド導入・浸透後の話と、近い未来に導入検討をしてほしいクレド以外の仕組みをご紹介します。

  1. 楽しく会社を進化させるクレド更新ミーティング
  2. さらにクレド経営を進化させるためのノウハウの数々
  3. 従業員をありのままの姿ではなくあるべき姿に育てるモットーの力
  4. 会社も従業員も成功できるようになるリッツの従業員への約束
  5. サービスの3ステップが他社とのサービスの違いを生み出す
  6. プリフェレンス・パッドが伝説のサービスを実現させる
  7. 従業員のクオリティ、愛社精神を向上させる従業員満足度調査
  8. 対応レポートGIA が、ピンチをチャンスに変える従業員を創る
  9. サービス仕事人生の好循環を作るトップボックスが最高のものを生み出す

ここに上げたものもクレド経営を支えるほんの一部です。
クレド経営の成功に向けて、ご活用いただければ幸いです。

それでは、1~9までの仕組みをカンタンにご説明したいと思います。

 

1.楽しく会社を進化させるクレド更新ミーティング

楽しく会社を進化させるクレド更新ミーティングとは?
クレド更新ミーティングにより、さらにクレドの浸透が進みます。

クレド更新ミーティングのポイントは5つです。

P1:クレドを更新していくために一度作ったクレドにしがみつかない姿勢を従業員に見せる
P2:クレドを更新しなければ、会社も成長していかない
P3:ラインナップに慣れてきたころに刺激を与える
P4:クレド更新を行うことでクレドの浸透がすすむ
P5:クレド更新のとき社内の全部署のスタッフが集まり、お互いの仕事を尊重し合いながらクレド更新をおこなうので従業員同士の親睦が深まる

クレドの更新、バージョンアップについてお話したいと思います。
このトピックを聞くことで、あなたの得られるメリットは次のものです。

  • クレドの浸透が強くなる
  • 従業員がクレド浸透をそれぞれの職場だけで考えるのではなく会社全体でのクレド浸透を考えるようになる
  • 従業員一人一人がクレド浸透に対して、意識を持ち向上心のある職場になる
  • クレドが更新していくことで会社の成長につながる

クレドの更新について考えるという事は、会社をバージョンアップさせる事と同じです。
クレドのバージョンアップを考えない会社は時代と共に衰退していくことでしょう。

そのため、リッツのクレドも私が入社した1997年から芯の部分は変わりませんが、大きく変化しています。

クレドを更新する方法を簡単に説明すると、年に一度か、二度はクレド更新ミーティングをクレド導入選抜メンバーで行うと良いと思います。

各職場で更新内容をまとめてミーティングで発表し、その際、更新のアイデアを出した職場名、
従業員名を発表します。
そして更新するか、しないか、何をどう更新するのかを決めます。

その際、一度決めたクレドをコロコロ変えてしまうと従業員達は、
「このクレドで大丈夫か?」
「この会社大丈夫か?」
と心配になると思います。

せめて、一年に1 つが2つに絞込み、更新するようにします。
更新のアイデアを出し、採用された従業員に対するインセンティブは、誰もがうらやむインセンティブにする事をオススメします。

それにより、従業員がクレド更新を意識し仕事に取り組みはじめます。
それからクレドの内容は、アイデアを出したそれぞれの職場だけで通じる内容では意味がありません。

社内、全ての職場で通じる内容でなければ意味がないので、従業員は自分の職場単位でクレドを考えるのではなく、会社という広い単位でクレドを考えるようになります。
そうすると、クレドの浸透がさらに強くなります。

クレドの更新を意識しなければ、会社もバージョンアップしていかないという考えに至った背景ですが、、、

  • 社訓が創業以来一度も更新していない
  • クレドがあっても会社側が作って従業員にクレドカードにして配られる

という会社で働いていたとき、クレド、社訓に対して従業員の意識がとても軽く、クレド、社訓が浸透していない事がよくわかりました。

クレドを更新しようと思えば、現時点のクレドを熟知していなければ、更新、バージョンアップはできません。
その為、絶えず更新しなければならないという意識を経営者と従業員が持つことで、クレド浸透に対してマンネリ化を防ぐ事ができます。

クレドを更新させる事、それは会社をバージョンアップさせるとこです。

 

クレドの更新を意識しなければ、会社もバージョンアップしていかない理由

経営者、従業員がクレドの更新を考えると、今現在のクレドの熟知が必要になる。
クレドを更新、バージョンアップを意識するということは、将来の会社を考えることになる。

人と会社は同じです。
絶えず勉強し成長していきましょう。

更新は成長です。
成長するには、勉強し続けましょう。

クレドの更新について考えるという事は、ズバリ会社をバージョンアップさせる事と同じです。
クレドのバージョンアップを考えない会社は、時代と共に衰退していくことでしょう。

そのため、リッツ・カールトンのクレドも私が入社した1997年から芯の部分は変わりませんが、大きく変化したと思います。

 

2.さらにクレド経営を進化させるためのノウハウの数々

クレド導入後、さらにクレド経営を進化させる為のワークや仕組みを取り入れることを検討してください。
会社を良くしていくためのワークや仕組みは、まだまだあります。
クレドを導入した時点は、ゴールではなくスタートです。

クレド導入マニュアルでクレドを導入しましたが、御社のカラーはこれから付いていきます。
御社のクレドとしてのカラーは、時間をかけ、改善、進化、改革させる事で付いていきます。
その、改善、進化、改革のために、新しいワークや仕組みを定期的に導入することが役立ちます。

さらにクレド経営を進化させるためのノウハウとして、今から次のものを紹介します。

  • 従業員をありのままの姿ではなく、あるべき姿に育てるモットーの力
  • 会社も従業員も成功できるようになるリッツの「従業員への約束」
  • 「サービスの3 ステップ」が他社とのサービスの違いを生み出す
  • プリフェレンス・パッドが伝説のサービスを実現させる
  • 従業員のクオリティ、愛社精神を向上させる従業員満足度調査
  • 対応レポートGIA が、ピンチをチャンスに変える従業員を創る
  • サービス仕事人生の好循環をつくるトップボックスが最高のものを生み出す

 

3.従業員をありのままの姿ではなくあるべき姿に育てるモットーの力

モットーを導入するだけで予算をかけずに従業員がますます経営者の自慢になります。

P1:「会社で働く人はこうあるべきだ!」を決める
P2:どんな従業員を雇いたいか明確にしなければ、欲しい人財を雇うことはできないし、人財が集まってこない
P3:従業員達が、我社の従業員としてブレないようにモットーを考えよう
P4:スタッフの人生向上に繋がっていく
P5:従業員の自慢ができる会社になるために、モットーを決める

クレドカードに記載し朝礼やラインナップでも取上げたい「モットー」についてお話します。
モットーとは「私のモットーは、いつも笑顔を絶やさないことです」というように、自身が目指すあるべき姿です。

アイデンティティーは、いかなる環境、状況でもブレない自分です。
「モットー」が会社に及ぼすことは…

  • 理想の従業員を育てることができる
  • 自身のあるべき姿を再確認できる
  • 世間一般の人から「あの会社の人は、●●だね」とイメージが付きやすく覚えてもらいやすい
  • 世間一般の人から「あの会社の人は、●●だから、応援したくなる」と応援してくださる顧客が現れそういったお客様には安売りしなくてもよくなる
  • 「あの会社の人は、●●な人ばかりだから自分もあの会社で働きたい」とモットーを共有できる人財が集まってきやすくなる
  • 想定外の状況に陥っても対応がモットーからブレないようになる

「モットー」を導入することに費用はかかりません。

リッツのように「紳士淑女をもてなす私達も紳士淑女です」というモットーを会社で持ちラインナップでディスカッションすることにより、働く従業員の紳士淑女としてのアイデンティティーを育てる事ができます。

アイデンティティーが育てば、いかなる事があっても、言動にブレが生じなくなるということです。
たとえば横暴なお客様が来られても、いやな顔せずに紳士的に相手を紳士として接する事ができるようになります。

大半の横暴なお客様は、紳士として接客されると横暴な態度が紳士的に変化していきます。
モットーとは、自身が目指すあるべき姿です。
アイデンティティーは、いかなる環境、状況でもブレない自分です。

「モットー」について簡単に説明します。
モットーとは、「私のモットーは、いつも笑顔を絶やさないことです」というように目指し、あるべき姿のことです。

アイデンティティーは、いかなる環境、状況でもブレない自分です。つまり、リッツ・カールト
ンのモットーでありアイデンティティーは、紳士淑女をもてなす私達も紳士淑女です。

最近、私はコンサルをしている会社のモットー作りに参加しました。
その時のモットーの作り方を簡単にご紹介します。

モットーの作り方の手順は、
1.どの様な従業員を雇用したいか? どのような従業員が自慢か? どの様な社内環境、雰囲気にしたいか? 全て書き出してみる

2.書き出した内容の8~9割を網羅できる言葉を探しモットーとします。

清水がコンサルをしている会社の社長が書き出してくださった「スタッフの条件」です。
女性スタッフだけのリラクゼーションサロンです。

  • 顔良し、笑顔よし、スタイルよし、心清し
  • チャレンジ精神、好奇心旺盛な人
  • 芸人風
  • 素直な人、単純な人
  • 笑える人、どこか面白い人
  • 人と接するのが好きな人
  • 美を追求できる
  • お酒好き、宴会好き
  • 諦めない人
  • ヘタレない人
  • 失敗してもへこたれない人

そこで、私が提案したのが、上記のスタッフの条件を一言、二言で表し、その一言、二言を誰が聞いても想像しやすい表現にするということです。
自社にとって「スタッフの条件」を満たす人をイメージしてみましょう。自分にも、相手にも伝わるイメージ像がいいですね。

共通して知っているタレントさんでもいいですし、物語の登場人物でもいいですね。
例えば、「スタッフの条件」にピッタリのタレントさんを〇〇さんとします。

「我社のスタッフは、〇〇さん(選んだタレントの名前)の様な人ばかりです」と言えば、想像するスタッフは、上記の「スタッフの条件」を満たしていると想像できるかもしれません。

ラインナップでディスカッションする際に上記の「スタッフの条件」を出してディスカッションするよりも、「あなたが想像する〇〇さん(選んだタレントの名前)とは、どんな人ですか?」と質問する方が、入社1日目のスタッフでも〇〇さん(選んだタレントの名前)がキーワードとなって、自分からイメージしてくれますね。

「スタッフの条件」としてピックアップした項目の半分以上が当てはまるようなイメージ像をあたえてあげるといいでしょう。
場合によっては、もっと新しい言葉が出てくることもあります。

上記の「スタッフの条件」が紙に書かれて、バックエリアに貼られているよりも「〇〇(御社名)のスタッフは、〇〇さんのように振る舞いましょう!」と、書かれている方が、想像しやすく好感が持てると思います。

そのため、リッツ・カールトンのモットーは「紳士淑女」という欧米で最も分かり易い表現になっているのです。
モットーは、できればリッツの様に永遠不変の言葉が理想です。
ただし、今の時点で考えたイメージ像が、実在する人物だった場合、その方も生きている人間です。これからどんな人生を歩むか分かりません。

10年後に、「スタッフの条件」とイメージが変わっているかもしれませんので、できれば永遠不変なイメージを持つ言葉を使うのが理想です。

 

4.会社も従業員も成功できるようになるリッツの従業員への約束

リッツ・カールトンでは、お客様へお約束したサービスを提供する上で、紳士・淑女こそがもっとも大切な資源です。
信頼、誠実、尊敬、高潔、決意を原則とし、私たちは、個人と会社のためになるよう、持てる才能を育成し最大限に伸ばします。

多様性を尊重し、充実した生活を深め、個人のこころざしを実現し、リッツ・カールトン・ミスティーク(神秘性)を高める・・・リッツ・カールトンは、このような職場環境をはぐくみます。

まず気がつく事は、従業員になってもらいたい姿が書かれています。
「紳士・淑女」ですね。

そして、経営側と従業員側が共有したい価値観
「信頼、誠実、尊敬、高潔、決意を原則とし、」
ついで、従業員に達成してほしい事
「リッツ・カールトン・ミスティーク(神秘性)を高める・・・」

そして、これらを大切にし、育成する職場環境を育みます。
これらは、「会社と従業員とWin-Win 関係なんですよ」と表現しています。

「従業員への約束」を作成する際には、経営者側から従業員に望む事を、従業員のWin として伝えられる様にしてください。
経営側だけがWin でも、従業員側のWin だけでも意味がありません。双方がWin だと伝わる「従業員への約束」にしてください。

「従業員への約束」が会社経営にとって、大切な1つだと考えるに至った背景は、私がリッツを退社して、派遣社員として幾つものホテルで働いた際、会社に対して冷めた従業員があまりにも多いと思ったからです。

私がリッツを退職する前、人事部長の橋本さんと退職面接を行った際、「清水なんでリッツやめるの?嫌いなのか?」と聞かれて「僕はリッツを愛しています。なぜなら、リッツが僕を愛してくれたので僕もリッツを愛する事ができました」と答えたほど、リッツの事が大好きでした。

退職した理由は、リッツは居心地が良すぎたため、新たな修業先を求めていたことにあります。そんな言葉が無意識に出たのは、リッツの「従業員への約束」があったからこそだと思います。そして、今、私は経営者になって、「従業員への約束」が、どれほど大切なのか身をもって知る事ができました。

「従業員への約束」が会社、従業員双方をWin-Win の関係する理由

  • 会社側と従業員側のWin-Win を文章化し、発表する事でお互い約束からブレなくなる
  • 相手のWin を考えて行動する様になるので、社内でWin-Win の考えが広まる

こうして「従業員への約束」は、会社とスタッフと双方をWin-Win の関係にしてくれます。

会社経営において、

  • 会社とお客様もWin-Win
  • 会社と取引先もWin-Win
  • 会社と従業員もWin-Win

この仕組みと空気感を作ることができれば、ビジネスの成功は自然についてくるでしょう。

 

5.サービスの3ステップが他社とのサービスの違いを生み出す

サービスも基本を大切にしないと、応用はできません。
軽く見られがちな当たり前の事から伝説のサービスが生まれます。
ラインナップで「サービスの3 ステップ」を徹底的にディスカッションすることをお勧めします。

朝礼やラインナップで導入したい「サービスの3ステップ」についてお話します。
このトピックを聞くことで、あなたの得られるメリットは次のものです。
「サービスの3 ステップ」がスタッフに及ぼすことは…

  • 会社のサービスの基本、土台を強固なものにする事になる
  • 会社のサービスが広がる土台ができる
  • ブレてはいけないサービスの基本、土台が文章化する事により組織のサービス力が向上する

「サービスの3 ステップ」を導入することに、費用はかかりません。
多様なサービスの現場が存在するホテルにおいて、サービスの3 ステップは、どの職種でも通じるサービスの基本、土台であり、共有すべき価値観です。

そして、どの職種でも強固なサービスの基本、土台になるので、ホテル内の一貫したサービスがブレなくなると共に、その基本、土台の上に様々なサービスを積み上げていくことが可能となります。

私がリッツ・カールトンに在籍した時に体験した「サービスの3 ステップ」について簡単に説明します。
ホテル内の部署(フロント、レストラン、宴会、グルメショップ、フィットネス、ランドリーなど)全てに共有できるサービスの基本、土台であり、価値観なのです。

 

6.プリフェレンス・パッドが伝説のサービスを実現させる

リッツ・カールトンでは、プリフェレンス・パッド(お客様情報メモ)が多くの伝説のサービスを生み出しています。

メモすることを仕組みとして導入することで、サービスクオリティが向上します。お客様を観察し、好みのーズを見つけ、メモをする癖が付くプリフェレンス・パッド(お客様情報メモ)についてお話します。

従業員にプリフェレンス・パッド(お客様情報メモ)を携帯、活用してもらいましょう。
プリフェレンス・パッド(お客様情報メモ)が会社のサービスクオリティに及ぼすことは

  • お客様の一生の思い出になるサービスを提供しやすくなる
  • お客様から「すごいサービス!」とお褒めの言葉をいただきやすくなる
  • 従業員がお客様のお好みや癖に対して焦点が向く
  • 従業員のサービスクオリティが向上する
  • 社内全体のサービスクオリティが向上する

プリフェレンス・パッド(お客様情報メモ)が、伝説的なサービスを生み出すことにより、口コミが生まれ、新規顧客を増やし、顧客のリピート率が高くなります。
プリフェレンス・パッドを簡単に説明します。

接客時に得られたお客様のお好みや癖などを、従業員がクレドと共に携帯しているプリフェレンス・パッドに顧客情報として記入し、それを世界中のリッツ全で共有できるように個人別顧客情報としてコンピューターに記録されるシステムです。

例えば、リッツ大阪に宿泊しイタリアンレストランで食事をします。
その際、醤油が好きで、イタリアンを食べるにもかかわらず、少し醤油を出してもらったとします。
次の日、リッツ・ニューヨークに宿泊し、イタリアンレストランに行くと既に醤油が用意されているのです。

これが、プリフェレンス・パッドが生み出すレベルの高いサービスの1 つです。
手順としては、1.プリフェレンス・パッドを用意し、従業員全員にクレドカードと共に携帯してもらいます。

お客様のお好みなど、新な情報が分かれば、お客様のお名前と共にプリフェレンス・パッドに記入して、一か所に集め会社の顧客情報システムに記録します。
リッツでは、従業員食堂にパッドの収集ボックスを設置して、プリフェレンス・パッドを集めていました。

プリフェレンス・パッドが、顧客サービスの向上に大いに役に立つと考える背景は、私がリッツ在籍時に、プリフェレンス・パッドの提出のノルマがあり、各部署で目標数を決め、その達成度合いを社内で公表していました。

その為、各部署のマネージャーは、毎日、ラインナップで「今日は最低●●枚のプリフェレンス・パッドを提出しましょう」と従業員に声をかけていました。

そうする事でサービススタッフは、お客様により一層興味を持ち観察し始めました。
結果、今まで分からなかったお客様の好みやニーズまで、見えるようになっていったのです。

 

7.従業員のクオリティ、愛社精神を向上させる従業員満足度調査

クレドの浸透具合がわかり、改善点が理解できるノウハウを紹介します。
従業員満足度調査を取り入れることにより期待できる効果

  • 従業員が会社、経営側に対していだいている想いを知ることができる
  • 現場管理者に「従業員に対して至らない事は何か?」を理解してもらえる
  • 今、従業員に対して会社がしなければならない事が分かる
  • 従業員にビジョンなき仕事をさせているのか?いないのか?分かる
  • 従業員満足度調査で、ビジョン、ミッション、クレドの浸透具合が分かる
  • 従業員満足度調査を実施する事で、「会社は従業員を大切にしている」というのが従業員に伝わる

 

従業員満足度調査についてお話したいと思います。
「従業員満足度調査」がスタッフに及ぼすことは、

  • 従業員満足度調査を行うことで、現場管理者に「従業員に対して至らない事は何か?」を理解してもらえる
  • 今、従業員に対して会社がしなければいけない事が分かる
  • 従業員にビジョンなき仕事をさせているのか?いないのか?分かる
  • 会社に対して従業員から成績表をもらえる
  • 従業員満足度調査で、ビジョン、ミッション、クレドの浸透具合が分かる
  • 従業員満足度調査を実施する事で、「会社は従業員を大切にしている」というのが、従業員に伝わり愛社精神が強化される

従業員満足度調査を導入する際、従業員に抵抗なく導入する事ができます。
それどころか、「会社は従業員を大切にしていますよ」というのが伝わります。
結果、愛社精神が強化されます。

従業員がその職場に満足し仕事を楽しんでいればこそ、積極的にいきいきとしたサービスが提供できます。

そこでゲストが喜び、顧客満足を通じて業績が向上することで、さらに会社側から従業員に還元されて職場環境の向上につながります。
さらに従業員満足も高くなり、より良いサービスに努めるようになるという好循環が起きるのです。

従業員満足度調査について私がリッツ在籍当時に経験や学んだことをご紹介します。
調査は、一年に一回行われ、全従業員に対して無記名で回答していました。
アンケートに全て記入するための時間は、1 人1 時間以上はかかりました。

それだけ多くの質問があり、その質問内容は、業務環境、雇用状態などに関することでした。個々の回答は封印の上、本部に直送され、そこで初めて開封・分析されていたそうです。
従業員満足度調査の時期になれば、管理者の間では慌ただしくなりました。

アンケート結果、特に各職場のネージャー、職場環境の評価などは、従業員食堂に貼り出されます。
各職場の従業員が自身のマネージャーを5段階で評価した結果が貼り出された時、慌ただしくなっていた訳が分かったように思いました。

もちろん、評価の低い部署やマネージャーに対して本部から直接改善要求が出されていました。
私が従業員満足度調査は必要だと考える理由は、リッツは「従業員への約束」にあるように、従業員の満足を最大のテーマの1 つとしています。

その為、従業員満足度調査を実施する事だけでも、従業員に対して「従業員を大切にしていますよ」と伝わると同時に、クレドの浸透具合がわかる仕組みになっています。
私が働いた職場で、従業員満足度調査を実施している会社はリッツだけでした。

リッツ・カールトンと、その他の会社の大きな違いは何か? 従業員の大きな違いはなにか? その一つに、リッツ・カールトン初代社長ホルスト・シュルツ氏の言う「ビジョンなき仕事をさせるのは罪だよ」という思想があったことだと思います。

 

8.対応レポートGIA が、ピンチをチャンスに変える従業員を創る

対応レポートGIA とは、お客様苦情対応レポートのことです。
※ GIA(Guest Incident Actionform)

このレポートが、苦情の数を減らし、対応力のある従業員を育てます。ピンチをチャンスに変える従業員が育つリッツのノウハウです。
お客様からの苦情も会社の財産に変える「お客様苦情対応レポートGIA」についてお話します。

「お客様苦情対応レポートGIA」が及ぼす効果は、

  • お客様の苦情の数が減る
  • 従業員のお客様への苦情対応スキルが向上する
  • お客様からの苦情をチャンスに変えられる従業員が増える

「お客様苦情対応レポート」を導入することに、費用はかかりません。
お客様苦情対応レポートは、苦情の数を減らすだけでなく、従業員の苦情処理のスキルを向上させます。
お客様から苦情を頂いても全従業員がお客様に対応できるので、苦情というピンチをチャンスに変える機会ができるということです。

お客様苦情対応レポートGIA について簡単に説明すると、レポートは5W1H に付け加え、お客様への対応、その反応、もし全部署にフォローして欲しい事があれば書き込みます。
そして、次の日、レポートはコピーされ全部署に配られラインナップ時に発表、ディスカッションされます。

苦情が発生した際の状況を

  1. いつ(When)
  2. どこで(Where)
  3. だれが(Who)
  4. なにを(What)
  5. なぜ(Why)
  6. どのように(How)

そして、
どの様に対応したのか?
お客様の反応は?
その他、全部署でフォローして欲しいことはないか?
を書き込むレポートです。

このようなプロセスで、お客様からいただいた苦情を会社の財産にし、苦情というピンチをチャンスにかえる事ができます。
リッツ・カールトンに、お客様からの苦情が無いわけではありません。

人が働いているのですから、必ずお客様から苦情をいただきます。
大切なことは苦情をいただいてから、どう対応するか? です。
対応の仕方によっては、常連客になっていただけることも多々ありました。

従業員の失敗によって出てしまった苦情も本人には気が重いでしょうが、次の日にはお客様苦情対応レポートにして、全部署に配られます。

それは、自分だけでなく、社内全員の学びになるのです! ただ失敗して落ち込むことは、ネガティブな事象をネガティブな感情でとらえて終了する行為と言えるでしょう。

自分の失敗に対応し、それをみんなの学びにしてもらう。
ネガティブな事象をポジティブな事象に変えるので、感情をフラットな状態に戻せます。
お客様苦情対応レポートを導入することに、費用はかかりません。

導入時、従業員が慣れるまでに少し時間がかかるかもしれませんが、お客様苦情対応レポートの蓄積が会社だけでなく自身のスキル、財産になる事を理解してくれます。

 

9.サービス仕事人生の好循環を作るトップボックスが最高のものを生み出す

リッツの最高のサービス、従業員が最高の人生を生み出すキッカケが、サービス、仕事、人生の好循環をつくるトップボックスなのです。

トップボックスで、サービス、人生の向上の習慣をつけることで、このような意識を持ってもらえます。

  • これから仕事に入ろうとしている従業員のモチベーションが上がる
  • 発表している従業員も話を聞いている従業員も気持ちよくなる
  • 発表者以外の従業員の手本になる
  • 従業員に一日一善のクセがつく

朝礼やラインナップで導入したいトップボックスについてお話します。
このワークは、私がリッツを退職してからリッツが取り入れたワークです。
私の元同僚から教えられた内容を紹介します。

トップボックスがスタッフに及ぼすことは、

  • 従業員全員がお客様を大喜びさせる事に焦点が向く
  • 社内全体に「今日もお客様に満足してもらうことするぞ!」「人に喜んでもらえる事をするぞ!」という意識を持ってもらえる
  • 社内に「一日一善」「誰かを喜ばせる」という習慣がついてくる

トップボックスを導入することに費用はかかりません。
トップボックスを説明する前に、まずお客様は外部のお客様だけでなく、内部のお客様(従業員同士)も含まれるだけでなく、職場によっては、お客様が家族であったり、友人であったり、前日、従業員が接した人、全てをお客様として発表していたそうです。

それらを踏まえて、あなたのトップボックスのお客様の話をしよう。
『昨日、あなたはお客様に大変満足していただけることをしましたか?』とラインナップ時に質問することで、社内全体に「今日もお客様に満足してもらうことするぞ!」「人に喜んでもらえる事をするぞ!」という意識を持たせることができます。

つまり社内に「一日一善」「誰かを喜ばせる」という習慣がつくということです。
アイスブレイクの効果と重なる部分も多いですね。

発表者には大きな拍手が贈られます。
そして発表の内容によっては、「ワォストーリー」となって世界中の全てのリッツ・カールトンで、実名でインフォメーションされる事になります。

それに憧れる従業員は多く「今日もお客様に満足してもらうことするぞ!」「人に喜んでもらえる事をするぞ!」という意識を持ってくれます。
最初のうちは「このワークで発表しなければならないから」という理由で行動していた従業員も、いつの間にか「一日一善」「誰かを喜ばせる」という習慣がついてきたそうです。

私が仕事、人生においてもトップボックスというワークが有効だと考える理由は、
「今日もお客様に満足してもらうことをするぞ!」
「人に喜んでもらえる事をするぞ!」

という意識を持ち行動すれば「情けは人の為ならず」という言葉どおり、自身に帰ってくるからです。

 

トップボックスが、経営者と従業員に良い人生、良いサービスを実現します。

  • 従業員に「今日もお客様に満足してもらうことするぞ!」という意識が身に付く
  • 社内に「一日一善」の癖がつく
  • 社内に「情けは人の為ならず」という循環ができる

こうしてトップボックスは、経営者、従業員共々良い人生、良いサービスを実現させ成功に導きます。
トップボックスを導入することに費用はかかりません。

導入時、従業員が慣れるまでに少し時間がかかるかもしれませんが、継続するうちに習慣化し従業員が無意識で「一日一善」「誰かを喜ばせる」ようになります。
そんな環境で売上げアップにつながる行動を促進していきしょう。

 

まとめ

今回はクレド6ステップ導入マニュアルのステップ6のお話でした。
クレドができあがり、クレドの導入もできて職場にもクレドが浸透してきた。
そんな状況になってきたときに必要になるのがステップ6だということがお分かりいただけたと思います。

クレドの導入はスタートです。
クレド6ステップ導入マニュアルのステップ6は、あなたの会社とお店、そしてクレドを進化させるノウハウです。

クレド導入後、クレドを浸透させた後、ステップ6のノウハウでどんどんクレドを良いものに進化させてください。
クレド導入・浸透後もクレドを更新することに焦点をあて続けてください。

 

クレド導入方法(従業員主導でクレドを作成する方法)

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