クレド=信条の意味 - クレドのビジネス活用の背景やクレドを作ることで得られる期待できる効果
クレドはラテン語で信条という意味があることをご存知の方は多いと思います。
そしてクレド(CREDO)はビジネスの世界で注目されています。
なぜラテン語でもともと宗教用語のクレド(CREDO)が会社組織や人材育成や利益・売上向上に効果のあるビジネス手法として使われているのか、そんな疑問を持っているのではないでしょうか。
ここではクレドと信条の意味、それからクレドがビジネスで利用されるようになった背景、クレドの作り方、そしてクレドを学ぶための本など、クレドに興味を持ちはじめた方のために手助けとなる情報をご紹介をしていきたいと思います。
もともと宗教用語だったクレド(CREDO)=信条がビジネスの世界で注目されるようになった理由
もともとクレド(CREDO)はラテン語です。
そしてキリスト教で使われている宗教用語です。
使徒信条やモーツァルト作曲の「戴冠式ミサ」にもCREDOという言葉があるように、クレドには神を信じるという意味があります。
ではなぜ、もともと宗教用語だったクレドがビジネスで注目されるようになったのでしょうか。
クレドがビジネスの世界で注目され始めたのは2001年です。
アメリカのエネルギー会社エンロンがおこした不正会計事件がきっかけで、コーポレート・ガバナンスが重要視されるようになりました。
コーポレート・ガバナンスとは、業務執行をおこなう経営者や株主をはじめいろいろな立場の利害関係者がいますが、その人たちが法律を守り会社を運営しているかを監視する仕組みや体制のことをコーポレート・ガバナンスといいます。
クレドを導入して成功した企業の代表といえるのは、ジョンソン・エンド・ジョンソンとザ・リッツ・カールトンの2社です。
・ジョンソン・エンド・ジョンソン
ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドは1943年に3代目社長のロバート・ウッド・ジョンソンによって起草されました。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、1982年と1986年の2度にわたってアメリカ国民を震撼させた毒物混入事件であるタイレノール事件をクレドに書いてあることを忠実に守り誠意をもって対応して乗り越えました。
そして結果的にアメリカ国民から多くの信頼を得ることになりました。
なぜ信条を英語ではなくラテン語のCREDOが使われるようになったのか、その理由は原点回帰という意味が込められているからという説があります。
しかしそれよりも我が信条(Our Credo)を会社の指針として、会社存亡の大きな危機を2度も乗り越えたジョンソン・エンド・ジョンソンへのリスペクトからコーポレート・ガバナンスのひとつの方法として、クレド(CREDO)がビジネスの世界で注目されるようになったのではないでしょうか。
そして企業が不祥事を起こさないようにするための行動指針としてクレドが注目されるようになりました。
・ザ・リッツ・カールトン
また世界的な一流ホテル、ザ・リッツ・カールトンは1983年に創業しました。
そして創業した当初からクレドがありました。
クレドは初代社長のホルスト・シュルツ氏によって導入されました。
リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフで現在クレドコンサルタントの清水健一郎氏は、リッツ・カールトン大阪開業時に、
「素晴らしいホテルが多いが、どのホテルもスタッフが仕事を楽しんでいない。私や総支配人の仕事は、お客様と直接接するあなたたちスタッフをハッピーにすることだ。君たちがハッピーでないと、お客様をハッピーにすることはできない」
と、たびたびホルスト・シュルツ氏がいっていたといいます。
つまり、ホルスト・シュルツ氏はクレドを会社に浸透させていけば、スタッフは会社と仕事に誇りを持ち、お客様も幸せになり、会社も成功する事を分かっていたのかもしれません。
「全てはクレド、これしかない」
この言葉はホテル業界では有名なホルスト・シュルツ氏の口グセです。
もともと宗教用語だったクレド(CREDO)がビジネスの世界で注目されるようになった理由が少しわかってきましたね。
クレドとは社訓や経営理念を従業員が理解してつかいやすくしたもの
クレドの意味をビジョンやミッションと意味を混同して使っていたり、社是や社訓や経営理念なども混同して使っている場合が多くあるのでここで一度、整理してみたいと思います。
ビジョン、ミッション、ミッション・ステートメント、それぞれの意味
ビジネスで使われるビジョンやミッションなどについてここで意味を整理したいと思います。
・ビジョン:
「従業員にビジョンなき仕事をさせるのは罪」
この言葉は、リッツ・カールトン初代社長ホルスト・シュルツ氏の言葉です。
この言葉にあるように会社にも従業員にもビジョンが大切であることがこの言葉に込められています。
ビジョンとは、その会社が『理想とする姿』や『なりたい姿』という意味があります。
・ミッション:
ミッションの意味は『存在理由』です。
何をするのかではなく、なぜするのかをミッションにして表します。
リッツ・カールトンには3つのミッションがあるそうです。
- 世界一をめざす会社としてのミッション
- ホテルとしてのミッション
- 各部署のミッション
リッツ・カールトンは、ミッションを実現するためにミッション・ステイトメントを掲げて、各部署は、ミッションを実現するために各部署のミッション・ステイトメントをそれぞれの部署のスタッフが話し合って、掲げているそうです。
・ミッション・ステートメント:
ミッション・ステートメントは会社のミッションを明文化したものになります。
わかりやすい言葉で言いなおすと
「このミッションを私たちはこんなふうに実現します」という宣言です。
そしてこのミッション・ステートメントの効果は5つ考えられます。
- スタッフとしての誇りが生まれる
- 一人一人が目標に向かって、ブレない為の具体的な行動を確認する事ができる
- 目標に向かう意識が変わる
- スタッフ全員が自分の仕事の意義を見出す
- スタッフ一人一人が、会社の判断基準を理解する
社是、社訓、企業理念、経営理念それぞれの意味
社是と社訓と企業理念、そして経営理念のそれぞれの意味についてここで整理したいと思います。
・社是
会社の基本的な方針
・社訓
会社で守るべき教え、会社の教訓
・企業理念
創業者が起業するときに込めた創業の想いを文章化したもの
・経営理念
会社が目指す方向をしめす指針。会社の存在意義や使命、価値観
社是と社訓、企業理念と経営理念は一緒の意味で使われる場合も多いですがこのような意味の違いがあります。
行動指針の意味
行動指針とは会社で働く従業員たちが仕事をするときのルールのことで、どのように考えてどのように行動するのかが明記してある基本的な方針です。
行動指針は業務マニュアルのような細かなルールではなく、例えば仕事に迷ったときに行動指針を確認することで、会社の従業員としてやるべきことが明確になります。
ですから、従業員一人ひとりの業務内容はちがっていても、その基になっているものが行動指針なので得られる結果に大きな差がでることはありません。
行動指針=クレド として使われる場合もあります。
ビジネスの世界で使うクレドの意味
クレドは会社と従業員の行動指針として使われることが多いです。
クレドを作成して導入することで自分で考えて行動(仕事)できる主体的な人材を育成することが可能になります。
クレドを導入して成功した代表的な企業として、ザ・リッツ・カールトンとジョンソン・エンド・ジョンソンの2社があげられますが、この2社がクレドを中心に経営されていることはあまりにも有名です。
この2社のクレドによる世界的な成功事例からも明らかですが、クレドは経済活動を行う際の意思決定や行動の基準を経営だけでなく従業員一人ひとりが共有できる非常に便利なツールといえます。
クレドを作成し導入することは、従業員が自主的に働くことができる職場環境を作ることにも効果があるのです。
また行動指針と同じように毎日の業務の中で判断に迷うことがあった時にはクレドを確認することで会社組織の一員としてすぐに原点に立ち戻ることができるのです。
昨今、従業員のモラルの低下や度重なるバイトテロの被害もあってコンプライアンスの遵守が注目され、そしてクレドも再び注目を集めています。
ビジネスの世界でつかわれるクレド(信条)の期待できる効果
クレドを導入することで期待できる効果を簡単にご紹介します。
人材育成
クレドを導入する効果として人材の育成が期待できます。
その理由は企業の運営の行動指針としてクレドを導入することで自分で考えて行動できる従業員が育ちはじめるからです。
多くの会社では人材育成のために多額の費用をかけていることでしょう。
しかしクレドを作成し導入することで高額な企業研修を受講させることもなく、また講師を会社に招いて研修をするような特別な費用をかけることもなく自分たちの会社の環境の中で従業員の戦力化をおこなえるのです。
コンプライアンス意識の向上
クレドを導入することによって、職場の中に信頼関係が生まれます。
そして従業員たちは職場に愛着を持つようになり、自分たちが働いているこの職場がこれからも続いてほしいと願うようになります。
つまり、コンプライアンスを遵守させることを目的にクレドの導入を検討している企業もありますが、クレドを導入することで職場に愛着を持つ従業員たちは、自然にコンプライアンスを遵守するようになるのです。
また従業員たちは、愛着のある自分たちの職場がこれからも存続していくためには会社が繁栄しなければならないという考えに至ります。
そして自分たちの部署、自分たちの仕事を通じて自主的に会社に貢献するようになり、結果として売上や利益にも反映するようになります。
業務改善や売上・利益のアップ
会社にはそれぞれ企業理念があります。
企業理念が会社の目指す理想の姿やゴールだとすると、クレドは組織が進むべき道をしめす羅針盤といえます。
クレドを導入すると企業理念は全スタッフで共有できるようになります。
そして経営者と従業員が同じゴールを目指して企業活動を行うことができるようになります。
結果として業務改善、売上や利益のアップにつながることになります。
クレド(信条)の作り方
ここまでクレドを導入したときのメリットを中心にお話してきました。
ここではそのクレドの作り方をご紹介します。
クレドを会社に導入して浸透させるために6つのステップを行っていきます。
- ステップ1:クレドを導入しやすくするための土台を作る
- ステップ2:クレドを導入する前に職場を前向きな姿勢にする
- ステップ3:朝礼に手を加えてクレド導入に活用する
- ステップ4:クレド(文章・内容)を作る
- ステップ5:毎日のラインナップ(朝礼)で作ったクレドをおぼえてもらう
- ステップ6:クレドが会社に浸透してきたらクレドを進化させる仕組みを入れる
ステップ1:クレドを導入しやすくするための土台を作る
クレド導入の最初のステップです。
最初のステップとして強く推奨しているのが職場で働く人たちのコミュニケーションです。
クレドで有名なリッツ・カールトンにはご存知のように、すでにクレドがある環境の中で人材を採用します。
つまりクレドを活用することができる人材を採用してトレーニングを行ったあと業務に就かせるのです。
ここがクレドがすでにあり運用されている会社と今からクレドを作成して導入しようとする会社の明らかなちがいです。
そしてここがクレド導入がうまくいかない原因のひとつになっています。
ですからクレドを作成し導入させるためにアイスブレイクを使います。
そしてアイスブレイクによって従業員たちのこころのストレッチを行いクレド導入を成功に導きます。
ステップ2:クレドを導入する前に職場を前向きな姿勢にする
クレドの導入のために次に取り入れることを強く推奨するのは『自己承認欲求を満たすコミュニケーション』です。
クレドが無い職場でクレドのことをわかってもらい新しいものを前向きに受け入れる環境を作ることがクレドを導入するときに重要になります。
職場を前向きな姿勢に整えるために必要なのはこの2つです。
- 感謝の気持ちを伝え合う
- お祝いの習慣
すでにクレド作成にチャレンジしたことがある方もいらっしゃると思います。
クレドを作成して成功した会社もあれば、導入に失敗したと感じている会社もあることでしょう。
いずれの場合もクレドの作成・導入むけて、感謝の気持ちを伝え合うこととお祝いの習慣について考えてみてください。
ステップ3:朝礼に手を加えてクレド導入に活用する
ステップ1とステップ2で職場を前向きな姿勢に整えることができた後は、朝礼に手を加えることをオススメします。
参考にするのはリッツ・カールトンで毎日行われているリッツ式朝礼「ラインナップ」です。
クレドコンサルタントの清水先生がリッツ・カールトンに勤務していたときは、すでにクレドがそこにあり、自身へのクレドの浸透、定着、活性化にラインナップが非常に役立ったと述べています。
このページを読んでいるほとんどの方は、これからクレドを作る方や、今あるクレドを効果的なものに作り変えることが目的の方も多いことでしょう。
もしかしたら「クレドも作れていないのに、ラインナップはクレドを作ってからで(改善してから)いいのでは?」と思ったかもしれません。
確かにラインナップはクレドを作って導入した後、効率よくクレドを従業員に浸透させる方法として有効です。
確かにそうなのですが、リッツ・カールトンで行なっていたラインナップの1部をクレド作成の前に行うことが実はクレド作りに役立つのです。
その理由はクレドを作り、クレドを浸透させて運用していくために重要なのが従業員を巻き込むことだからです。
従業員がクレドを作るところから参加することで私たちのクレドという意識を持つのです。
従業員を巻き込んでクレドを作るために必要なのがこの2つです。
- ポジティブな職場環境
- 従業員それぞれが会社やお店、職場を大切にしたいという気持ちを育む
この2つをステップ1とステップ2で作ります。
そしてステップ1とステップ2で作った土台の上でラインナップを行い、従業員の中からクレド作成選抜メンバーを決めるのです。
つまりステップ3はクレド作成選抜メンバーを選ぶステップでもあるのです。
ステップ4:クレド(文章・内容)を作る
職場を前向きな姿勢に整え、ラインナップによって従業員の教育も進み、クレド作成選抜メンバーが決まったら、いよいよクレドを作っていきます。
クレドをつくる手順はこの6つです。
- クレドを導き出す「会社のビジョン」を明確にして文章化する
- クレドを守り貫くために「会社のミッション」を明確にして文章化する
- 会社のミッションを遂行するための「ミッション・ステートメント(使命宣言)」
- クレドを作成する
- クレドを遂行の為に、行動指針を文章化する
- クレドを携帯しやすいクレドカードにする
クレドはこの手順で作っていきます。
1~6の手順について、今後詳しく記事にしていきたいと考えています。
ステップ5:毎日のラインナップ(朝礼)で作ったクレドをおぼえてもらう
クレドを作りクレドカードが完成したら次はクレドを浸透させていきます。
クレドを浸透させるために有効なのが『ラインナップ』です。
ステップ3ではラインナップの部分導入を行いクレドを作る前に、従業員の教育とクレド作成選抜メンバーを決めることができましたが、このステップ5ではラインナップの本格的な導入を行なっていきます。
リッツ・カールトンの世界的な成功の要因はクレドだといわれています。
そのリッツ・カールトンを参考にクレドを作ったのに何も変わらないのはクレドを機能させるための仕組みを作っていないからです。
どんなに高性能のロケットを作ったとしても、発射台がしっかりしたものでなければロケットを打ち上げることはできません。
ロケットの打ち上げを成功させるには、いかに発射台をしっかりと作るかがポイントなのです。
そのためにここまで、クレドの作り方以外のこともお話してきました。
あとはロケットを打ち上げて軌道にさえ乗せてしまえば自然に会社は進化していくことでしょう。
・ラインナップとは
ラインナップとは始業前の20分程の時間を使って行う朝礼のようなものです。
ラインナップとはリッツ式の朝礼です。
ラインナップを導入する場合は朝礼をラインナップに変えるとスムーズです。
ラインナップをはじめて知った方は、もしよかったらこちらの記事をお読みください。
▼ラインナップとは?
https://business-study.com/lineup/
▼腕を上げるなら質問したらいい。メソッド向上に必要な事。リッツ・カールトンのラインナップ他
https://business-study.com/service_column-7/
▼ラインナップとコミットメント トゥ クオリティ
https://business-study.com/service_column-20/
▼ラインナップは鹿児島でもやっていた / クレド6ステップ導入マニュアルステップ3
https://business-study.com/cred_interview-65/
ステップ6:クレドが会社に浸透してきたらクレドを進化させる仕組みを入れる
クレドを受け入れることができる従業員のこころの土台を作った後にクレドを作成します。
そしてクレドを導入して全従業員と会社全体にラインナップでクレドを浸透させクレドが機能するようにします。
そしてここが最後のステップです。
作ったクレドを進化させていくための仕組みを導入します。
クレドを作り導入することで会社も従業員も成長していきます。
その成長にあわせてクレドも進化させていく必要が必ずでてきます。
作ったクレドを進化させていくための代表的なポイントは全部で7つです。
クレドを進化させていくために有効な施策をご紹介します。
- 従業員をありのままの姿ではなく、あるべき姿に育てる「モットー」
- 会社も従業員も成功できるようになるリッツの「従業員への約束」
- 他社とのサービスの違いを生み出す「サービスの3ステップ」
- 伝説のサービスを実現させる「プリフェレンス・パッド」
- 従業員のクオリティ、愛社精神を向上させる「従業員満足度調査」
- ピンチをチャンスに変える従業員を創る「対応レポートGIA」
- 最高のものを生み出だし、サービス・仕事・人生の好循環を作る「トップボックス」
これら7つの施策はリッツ・カールトンで使われているものの他に、ホテル業界をはじめ多くの一流企業で採用されているものです。
一度作ったクレドに満足せず、クレドは会社と従業員の成長にそって進化させるものだと考えるようにするといいでしょう。
1~7の施策も今後記事を書いていく予定です。
クレド作成に必要な費用
実際にクレドを作るときにどれくらい費用がかかるのかご紹介します。
クレドを作成する方法は大きく2つの方法があります。
- 他社に依頼する
- 自分たちで作る
他社に依頼してクレドを作る場合
クレドの作成を専門に行っている会社にクレドの作成を依頼するという方法があります。
依頼した場合はおおよそこのような流れになります。
・クレド作成までの流れ
- 経営者にヒアリングを実施
- クレド作成
- クレドカード作成
・クレド作成までの期間
依頼する側の会社やお店の規模や内容によって費用も導入までの期間に違いがでてきますが、導入までの期間は3ヶ月~6ヶ月が多いようです。
・クレド作成にかかる費用
気になる費用ですが45万円~クレドの制作を請け負っている会社が多いです。
もちろんクライアントがもとめる内容によってクレド作成の費用は増えていきます。
・他社に依頼するメリット
他社に依頼するメリットは、コンサル会社が主導でクレドの作成を行ってくれることです。
あらためてクレドについて理解を深めなくても疑問点は教えてもらえるので手間と時間的なメリットは大きいです。
・他社に依頼するデメリット
他社に依頼するデメリットは、クレド作成に多額の費用がかかることです。
一括で費用を支払う場合もありますし、毎月かかった費用を支払う場合もあります。
クレドは作ることももちろん大切ですが、全従業員と会社にクレドが浸透して機能するようになることが大切です。
ですからクレド作成を他社に依頼する場合は、クレド作成だけでなくクレドの浸透についても指導してもらえる会社を選んだほうがいいでしょう。
自社(自分たち)でクレドを作る場合
・自社でクレドを作成するメリット
自社でクレドを作成する場合のメリットは、少ない費用でできることです。
そして自分たちで作ったクレドなので愛着もあり大切にします。
・自社でクレドを作成するデメリット
自社でクレドを作成する場合のデメリットはクレドの作成方法やクレドを浸透させる方法を手探りで探さなければならないということです。
クレドをテーマにした書籍でもクレドの作り方を書いた書籍と書いていない書籍がありますし、クレドの導入や運用の方法が詳しく書かれていないものもあります。
できればすでにクレドを導入している会社の経営者やクレドの導入に詳しい人からアドバイスをもらう、またクレドやリッツ・カールトンをテーマにした本をひと通り読むことをオススメします。
クレド作るなら読んでおきたい参考書5選
クレドの作成、クレドの導入、クレドの運用に興味のある方にオススメのクレド関連の本を5冊紹介します。
クレドの作り方を中心にした本もありますが(あとでご紹介します)、クレドが会社にどんな効果やメリットをもたらしてくれるのか、クレドを導入することで従業員にどんな変化があるのかなど、これからクレドを作成したり運用していくにあたっての知識の土台になる本を選んでいます。
参考になれば幸いです。
ゴールド・スタンダード/ジョゼフ・ミケーリ(著)
クレドとリッツ・カールトンを作ったリッツ・カールトンの舞台裏がわかる本。
アメリカ本部の活動の様子や世界各国にあるリッツ・カールトンでのクレドがもとになったエピソードなどを知ることができる非常におもしろい本です。
私は現在のリッツ・カールトンのクレドカードに書かれている12のバリューがなぜ20のベーシックから変更になったのかその経緯やリッツ・カールトンがマリオット・グループに買収された話などはこの本で知りました。
クレドの効果をあらわす興味深い一文がありましたので引用したいと思います。
背の高さを求めてたゆみなく努力を続ければ、お客様の経験を変えるだけでなく、起業家従業員に関わる全ての人を変えることができる。サイモン・クーパーはいう。「この会社に来る前は悪人だったというわけではありませんが、従業員は大切にされ、価値ある人間として尊重される環境で質の追求を目指すうちに、より良い人間になったような気がします。企業が一丸となって質の向上に取り組めば、全員が成長するのです」本書で学んだリッツカールトンの成功への旅路から、あなたとあなたの企業も新しいゴールドスタンダードを実践し長期にわたる成功を手に入れてほしい。(ゴールド・スタンダード321ページより引用)
日本にあるリッツ・カールトンの書籍は日本のリッツ・カールトンのお話しが中心ですが、このゴールドスタンダードは海外の広い視点でリッツ・カールトンのこと、クレドのことを知ることができる点でとても貴重な一冊です。
最高のサービスを実現するリーダーシップ リッツ・カールトンの流儀/エドウィン・D・フラー(著)
グローバルな活躍をする一流のリーダーの仕事が垣間見れる貴重な一冊です。
この本の著者はエドウィン・D・フラーさんと言います。
フラーさんは、マリオット・インターナショナルの海外ホテル展開を担当するインターナショナル・ロッジング・ディビジョンのプレジデント兼マネージングディレクターです。
リッツ・カールトンはマリオット・インターナショナル傘下のホテルであるこをご存知の方も多いと思います。
マリオット・インターナショナルは、世界的な一流ホテル『マリオット・ホテル』や『リッツ・カールトン』を世界展開するホテルチェーンの企業です。
マリオット・インターナショナル・ロッジングは、マリオットグループの海外展開を担う会社で、フラーさんは、この会社を率いているプレジデントなのです。
まだ16軒しかなかったマリオットホテルをフラーさんがこの会社に入って70カ国で400軒もの規模に成長させた一流のリーダーです。
この世界的なリーダーがリッツ・カールトンとクレドをどのように見ているのか、一流のリーダーの視点をかりて学ぶリッツ・カールトンとクレドが勉強になります。
リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ/四方啓暉(著)
著者は、ザリッツ・カールトン大阪元副総支配人の四方啓暉さんです。
この本はホスピタリティがテーマです。
強い現場をホスピタリティによって作るにはどうしたらいいのか?
それをリッツ・カールトン大阪で行った取り組みを例にして学んでいく構成になっています。
- 2年で関西のホテルランキング1位、
- 5年で日本のホテルランキング1位
この偉業をなしたリッツ・カールトンの裏側がわかる興味深い一冊です。
この偉業によって全国的に知られることになったリッツ・カールトンですが、このようなすごい結果が出せたのはもちろんクレドがあったからです。
この実績が出せたホテルの裏側では一体どんなことがおこなわれていたのか?
その取り組みは、なかなか知ることができません。
リッツ・カールトンやクレド、ホスピタリティを知る上でこの本はとても貴重な一冊だと思います。
大切なことはすべてクレドーが教えてくれた/片山 修 (監修)
クレドに関しての本はリッツ・カールトンがテーマになったものが多いので、クレドはサービス業や接客業に適していると思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし製造業やメーカーなどの業種でもクレドは導入できます。
これはジョンソン・エンド・ジョンソンの成功からもあきらかです。
本書に登場する1982年に起きたタイレノール事件をご存知でしょうか。
アメリカでは常備薬といわれた頭痛薬『タイレノール』に毒物が混入され、犠牲者もでた当時アメリカを恐怖に突き落とした凶悪事件です。
ジョンソン・エンド・ジョンソンはこの事件の対応をクレドに従って見事に解決しました。
私はこの本を読むまでタイレノール事件のことを知りませんでした。
2度の大きな毒物混入事件をクレドに従って対応した結果、信用落とすどころか、逆に信頼を勝ち取ることができたと言うこの事例は、クレド導入を考えてる会社やお店にとってクレド導入の決断の背中を押してくれる本であると思います。
クレドは大企業だから成功するのだ。
そんなことをリッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンの成功を見て思うかもしれません。
本書を読んでいくと、ジョンソン・エンド・ジョンソンのような世界的な大企業であっても、クレドを作っただけでなく、クレド(我が信条)を浸透させていく、たくさんの取り組みが会社と従業員が一丸となって行われていることを知ることができます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの社員が、最初に考えることは、患者のために何ができるか。
その患者を治療するドクターに何をすれば良いかと考えているそうです。
近年、従業員やアルバイトの常識では考えられないような不祥事が相次いで発生しています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、クレドがあり、クレドが浸透しているからこそ、いわゆる不祥事が起きにくいのだと本書には書かれています。
コンプライアンス遵守のためにクレドを導入したいと考えている方にもオススメの1冊です。
社会人として大切なことはすべてリッツ・カールトンで学んだ/清水健一郎(著)
この本の著者は、リッツ・カールトンが日本進出第一号のホテルとしてオープンさせた、リッツカールトン大阪のオープニングスタッフで、現在はクレドコンサルタントの清水健一郎さんです。
本書は今まで読んできたどのリッツ・カールトン関連、クレド関連の本の中でも異端の本だと私は思います。
私がこの本を読んで、異端と思う理由を簡単に説明したいと思います。
- 著者がリッツ・カールトンの現場スタッフ出身であったこと
- 新卒入社だったこと
この2点です。
日本進出第一号のザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフはリッツ・カールトンを日本のホテルランキング1位に押し上げる原動力になった人材たちでした。
そしてこの当時の従業員たちは伝説のスタッフといわれているそうです。
著者の清水健一郎さんは、リッツカールトンやホスピタリティの著書で有名な、高野登さん、林田正光さん、四方啓暉さん、前田佳子さんと同時期に働いており、みなさん清水さんの当時の上司にあたる方々です。
伝説の人たちと一緒に仕事をした貴重な経験を持ち、新卒でリッツ・カールトンに入社してゼロからクレドを学んで身につけた著者の経験が書かれた本書は、ご自身の会社でクレドが浸透し従業員にクレドが身につくまでの過程をイメージさせてくれます。
また経営者の方には会社にクレドを導入する時の注意点も見えてくることでしょう。
リッツ・カールトンの現場で、本当にクレドが機能していたことや、クレドが本当に従業員に浸透することがわかる現場視点の貴重な一冊です。
その他にも読んでほしい関連本
クレドのことをもっと知ってほしいので、
- ホスピタリティ
- クレドの作り方
- クレド導入のメリット
にカテゴリーを分けて本の紹介をさせていただきます。
今ご自身が1番知りたい内容の本をカテゴリーを参考に2~3冊でもいいので選んで読んでみるといいでしょう。
また、読む前にどんな本か概要を知りたい方は、書評記事もありますのでよかったら読んでみてください。
ホスピタリティのサービス・仕事・人材を知るための本
- リッツ・カールトン元支配人が学んだ一流のホスピタリティ心得/林田正光(著)
- リッツ・カールトンと日本人の流儀/高野 登(著)
- 図解版ホスピタリティの教科書/林田正光(著)
- リッツ・カールトン一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣/高野登(著)
- 絆が生まれる瞬間ホスピタリティの舞台づくり/高野登(著)
- あらゆることが好転していくご挨拶の法則/林田正光(著)
- 品格を磨く/高野登(著)
- リッツ・カールトンで育まれたホスピタリティノート 人の心をとらえて離さない!/高野登(著)
- リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間/高野登(著)
- リッツ・カールトンで学んだ超一流のおもてなし/高野登(著)
- リッツ・カールトン – 「型」から入る仕事術/高野 登(著)
- 心のこもったおもてなしを実現する サービスの手帳2/林田 正光(著)
- 伝説コンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし―お客様の望みをすべてかなえる方法/前田 佳子(著)
- リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと/林田 正光(著)
- サービスの手帳 心のこもったおもてなしを実現する/林田 正光(著)
- リッツ・カールトンたった一言からはじまる「信頼」の物語/高野登(著)
- ホスピタリティの教科書/林田正光(著)
- 伝説ホテルマンだけが知っている!サービスで小さな奇跡を起こす方法/林田 正光(著)
- リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ/高野 登(著)
クレドの作り方を知る本
- ESクレドを使った組織改革―小さな会社だからこそ、できる! 社員の気持ちを仕事に向ける、ちょっとしたシカケづくり/日本ES開発協会、中筋 宣貴(著)
- 伝説のホテルマンが説く IT企業のホスピタリティ戦略―ISFnetの成長モデルにみる技術者を営業マンに変える法/林田正光(著)
- リッツ・カールトン 超一流サービスの教科書/レオナルド・インギレアリー、 ミカ・ソロモン(著)
- 1枚の「クレド」が組織を変える!/実島誠(著)
- クレドが「考えて動く」社員を育てる!/吉田 誠一郎(著)
クレドがもたらす変化を知る本
- 頂点のサービスへようこそ リッツ・カールトンvs.ペニンシュラ/桐山 秀樹(著)
- ブランドづくりの教科書/林田 正光(著)
- リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功法則/井上 富紀子、 リコ ドゥブランク(著)
- スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。 本当のホスピタリティの話をしよう/岩田 松雄、 高野 登(著)
- 日本的クレド経営のすすめ―賢い会社になって21世紀を勝ち・伸びる/服部 吉伸(著)
まとめ
今回はクレドがもつ意味が信条であること、そしてもともと宗教用語だったクレドがなぜビジネスの世界でつかわれるようになったのか、クレドのビジネス活用の背景そしてクレドを作ることで得られる期待できる効果についてお話しました。
そしてクレドが作れることもわかっていただけたと思います。
ただクレドは作ることよりも、クレドを運用して浸透させていくことの方が難しくまた重要でもあります。
リッツ・カールトンのような成功を夢見てクレドを作成した多くの会社でクレドの導入が失敗するのはクレドを浸透させていくための具体的なステップがあることを知らないからなのです。
クレドの導入は階段を1段1段登るように進めていけば難しくありません。
なぜクレドが会社組織や人材育成、利益・売上のアップのために効果のあるビジネス手法として注目されているのかその疑問が少しでも解くことができたのなら幸いです。
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中