クレド導入で今までのマネジメントが変わる
クレドは会社やそこで働く従業員に対してさまざまなメリットを生み出してくれます。
今までのマネジメントがプラスに変化する可能性があるのがクレドの導入です。
今回の記事では経営理念や行動指針としてクレドの導入を検討している方へ、特にクレドとマネジメントの関係についてご紹介していきたいと思います。
マネジメントのためになぜクレドが必要なのか?
今クレドが注目されている理由には、度重なる従業員の不正行為や勤務中の悪ふざけをSNSにアップするバイトテロの横行があります。
これらの犯罪行為を防止するためにコンプライアンスに力を入れている企業も多いようです。
ただコンプライアンス遵守も『これに違反したらこんな罰則がありますよ』というように、悪いことをしたときには罰があるという前提によって作られたルールには、どこか後ろ向きなイメージをもってしまいます。
ある県では県民の個人情報が入ったハードディスクがオークションで転売される事件が起きました。
県からハードディスクの処分を依頼された企業では個人情報を流出させないために様々なルールと設備を整えていましたが、それでも事件は正社員によって引き起こされました。
不正を起こさないためにルールを作ることは大切なことです。
しかしトラブルを起こすのは人間であるならもっと本質的な教育も必要なのではないでしょうか?
なぜクレドが必要なのか?
なぜクレドが必要なのでしょうか?
クレドを導入して成功した世界的な企業を2社ご存知でしょうか?
世界的なホテルチェーン企業のザ・リッツ・カールトンとこちらも世界的なヘルスケアメーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンです。
・ザ・リッツ・カールトン
ザ・リッツ・カールトンは1997年、大阪に日本第一号のホテルをオープンしました。
すでに世界60ヶ所以上でホテルを運営している世界的なホテルだったにもかかわらずザ・リッツ・カールトン大阪のオープン時、一部の人を除いては日本ではまったく無名のホテルでした。
しかしオープンしてわずか2年で関西のホテルランキングで1位、そして5年後には日本のホテルランキングでも1位を獲得しました。
この偉業をなしとげた原動力になったのが『クレド』でした。
クレドも言ってしまえばルールですが、マニュアルのように守らせることに重きを置いているのではなく、クレドに書いてあることを守ることによって人として成長できる内容になっていることが大きな特長です。
・ジョンソン・エンド・ジョンソン
ジョンソン・エンド・ジョンソンはリッツ・カールトンのように創業直後からクレドがあったわけではなく、三代目社長ジェネラル・ジョンソンによって1943年に発表されました。
ジェネラル・ジョンソンの本名はロバート・ウッド・ジョンソンなのですが、創業者と同じ名前のため社内で区別するためにジェネラル(将軍)・ジョンソンと呼ばれています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンはクレドを導入した1943年から一度も業績を下げたことがないことはあまりにも有名です。
ザ・リッツ・カールトンもジョンソン・エンド・ジョンソンも全てクレドで成功したわけではないのかもしれません。
しかしリッツ・カールトンもジョンソン・エンド・ジョンソンもマネジメントの中心にクレドをすえて企業活動をしていることは紛れもない事実です。
ですからクレドとマネジメントは大変相性のいい関係であるといえます。
クレドの意味とは?
クレドはラテン語で信条という意味があります。
そしてキリスト教で使われていた宗教用語です。
使徒信条やモーツァルトの曲の中にもクレドの単語が使われているように、クレドには神を信じるという意味があります。
もともと宗教用語だったクレドがなぜビジネスで注目されるようになったかというと、そのキッカケは2001年までさかのぼります。
2001年にアメリカのエネルギー会社エンロンが起こした不正会計事件がキッカケでコーポレート・ガバナンスが重要視されるようになったのです。
コーポレート・ガバナンスが注目されるようになるなかで、ザ・リッツ・カールトンとジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドによる成功も注目されるようになりました。
またなぜ『信条』がたんに英語で表現されずにラテン語のCREDOが使われるようになった理由に原点回帰という意味が込められていたからという説があります。
クレドの特長
クレドの特長は大きくこの2つです。
・個人よりも部署や会社全体の目標や価値観を共有することができる
・従業員ひとりひとりの具体的な行動まで価値観や目標が共有される
同じようなものに理念がありますが、理念を従業員に浸透させるための具体的な行動や落とし込みをするための機会や仕組みが用意されてない場合が多く、社是、社訓、理念等はあっても形骸化している企業も少なくありません。
しかし社是、社訓、理念等は創業者の思いがつまった素晴らしいものです。
これらを従業員の行動にまで落とし込むことができれば、本当の意味で理想の企業が誕生するのではないでしょうか。
そのためマネジメントとしてクレドを活用することができます。
マネジメントの視点から見るクレド導入のメリットとは?
クレドのメリットは広範囲に広がります。
これはクレドやリッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンに関する書籍を読んでいただければあきらかです。
その中でマネジメントの視点から見るクレド導入のメリットはこちらの4つです。
コンプライアンスの遵守
クレドを導入することでコンプライアンスの遵守が従業員の中で自然に守られていくようになります。
もう少し具体的に説明するとクレドを導入することで職場の中に上司・部下・同僚・先輩・後輩といった職場の中の人間関係に信頼関係が育まれていきます。
信頼関係のある人たちと一緒に仕事をすることによって、従業員達は自分が働く職場に強い愛着を感じるようになります。
そして自分たちが働いているこの職場がこれからも続いてほしいと思うようになります。
昨今、従業員による個人情報流出などの事件やアルバイトによるバイトテロが発生する背景は、福利厚生などの待遇面の良し悪しももちろんあるとは思います。
しかしそれよりも信頼関係のある人間関係や自分が働いているその職場に愛着があるかどうかが大切なポイントになってくるのではないでしょうか?
信頼関係のある人たちと働いているその職場をダメにするような行為を人はすすんでやるでしょうか?
私はそうは思いません。
多くの人もそう思うのではないでしょうか?
従業員たちは愛着のある自分の職場がこれからも存続していくためには、会社が反映しなければならないという考えに自然に至ります。
そして自分が働いている部署や自分が担当してる仕事に対して、自主的に会社に貢献するようになり結果として売上や利益にもそれが反映してくるようになります。
コーポレートガバナンスやコンプライアンスの遵守といった厳しいルールを設けるだけでなく、根本的な改善としてマネジメントにクレドを取り入れるという選択は間違いではないと考えます。
自分で考えて行動できる人材の育成
自分で考えて行動できる従業員の育成が企業が繁栄していくために必要だと考える経営者は少なくないのではないでしょうか?
これを導入することで自分で考えて行動できる人材の育成に役立ちます。
クレドは行動指針としての役割も持っています。
そのためクレドを導入することで経営者と従業員は同じゴールに向かって進みやすくなり従業員の育成はもちろん業務や売上の改善も期待できます。
業務の改善や売上・利益のアップ
会社には企業理念があります。
企業理念が会社の目指す理想の姿やゴールだとするとクレドの役割は組織が進むべき道を示す羅針盤といえます。
クレドを導入することで企業理念は全ての従業員に共有されます。
これは価値観の共有です。
企業の価値観を従業員に共有させるために人材マネジメントなどたくさんの投資をして苦労している企業も多いといいます。
経営者と従業員が価値観を共有し同じゴールを目指して企業活動を行うことができるようになれば結果として業務改善や売上・利益のアップにつながることになるでしょう。
マネジメントのためのクレド作成法
それではクレドの作り方を簡単にご紹介したいと思います。
クレドの作り方は全部で6つのステップあります。
ステップ1:クレド導入の土台を作る
ステップ2:クレドの導入前に職場を前向きな姿勢に整える
ステップ3:ラインナップをクレドに導入する
ステップ4:クレドを作成する
ステップ5:毎日のラインナップの中で作成したクレドの浸透を行う
ステップ6:作ったクレドを進化させるノウハウの導入を行う
それでは早速説明していきたいと思います。
ステップ1:クレド導入の土台を作る
ステップ1はクレドを導入するための土台を作ります。
クレドを導入するステップとして強く推奨しているのが職場で働く人たちのコミュニケーションの育成です。
クレドを導入し活用している代表的な企業としてあげられるのはザ・リッツ・カールトンです。
リッツ・カールトンは既にクレドがある環境の中で人材を採用しています。
これはどういうことかと言うとくれるを活用することができる人材をまず採用してトレーニングを行った後に業務に就かせるということです。
ここがクレドは既にあり浸透している会社と今からクレドを作って導入しようとする会社の大きな違いです。
そしてここが暮れるの導入がうまくいかない大きな原因の一つになっているのです。
これからクレドを作成し導入しようとしている企業には当然クレドが今までなかったわけですから従業員がクレドを受け入れられるための土台を作る必要があります。
ここはクレドを作るよりもまず、クレドを導入しやすくするための土台を先に作ります。
ステップ2:クレドの導入前に職場を前向きな姿勢に整える
クレドの導入のために次に行うことは自己承認欲求を満たすコミュニケーションの仕組みを取り入れるということです。
つまり職場を前向きな姿勢に整えるのです。
具体的には感謝の気持ちを伝え合う仕組みとお祝いの習慣の二つを仕組みとして取り入れます。
このステップ2の導入だけでも職場の人間関係に信頼関係が生まれ従業員が前向きな姿勢に変わっていきます。
ステップ3:ラインナップをクレド導入に活用する
ラインナップとはリッツ式の朝礼です。
リッツでは始業前の約20分を使ってクレドを題材に従業員同士でディスカッションを行っています。
このディスカッションを行うことによってクレドが絵に描いた餅ではなく従業員一人一人に浸透させることができるようになります。
クレドコンサルタントの清水健一郎氏はリッツ在籍時に既にクレドが職場にあり自身のクレドの浸透や定着そして活性化にラインナップが非常に役立ったと述べています。
クレドを作ってからラインナップを行った方がいいのではないか?
そう考える人も多いと思います。
確かにそうなのですがリッツ・カールトンで行っていたラインナップの一部をクレド作成の前に行うことが実はクレド作りに非常に役に立ちます。
その理由はクレドを作りクレドを浸透させて運用させていくために重要なのが従業員を巻き込むことだからです。
これから自分たちのオリジナルのクレドを作っていくんだという意識づけにもなりますし、クレド作成の選抜メンバーを選ぶステップでもあるのです。
クレドがなくても企業理念や経営理念、社是、社訓を利用してラインナップを行うことができます。
ステップ4:クレドを作成する
職場を前向きな姿勢に変えて、ラインナップによって従業員の教育も進みクレド作成選抜メンバーも決まったら、いよいよクレドを作成します。
これを作る手順は全部で6つあります。
- 作るために会社のビジョンを明確にして文章化します
- クレドを守り貫くために会社のミッションを明確にして文章化します
- 会社のミッションを遂行するためのミッションステートメント(使命宣言)を文章化します
- クレドを作成します
- クレドを遂行するために行動指針を文章化します
- クレドを携帯するためにプレートカードを作成します
クレドの作り方(文章・内容)は以上です。
ステップ5:毎日のラインナップで作成したクレドの浸透を行う
クレドが完成しクレドカードを作ったら次はクレドを職場に浸透させていきます。
クレドを浸透させるために有効な方法が先ほども少しお話ししたラインナップです。
ステップ3ではラインナップの部分導入を行ってくれるを作る前に従業員の教育とクレド作成選抜メンバーを決めました。
そしてこのステップ5では作成したクレドをもとにしてラインナップの本格的な導入を行っていきます。
リッツカールトンの世界的な成功はクレドによるものだったといわれています。
そのリッツカールトンを参考にクレドを作って導入しても職場が何も変わらなかったというのは暮戸を機能させるための仕組みを準備していないからです。
クレドを機能させるために必要な仕組みがラインナップなのです。
ラインナップとは修行前の約20分ほどの時間を使って行う朝礼のようなものです。
ラインナップを導入する場合は今おこなっている朝礼を改良すると導入がスムーズに行えます。
ラインナップについて詳しくお知りになりたい方は以下の記事もご一緒にお読みください。
▼ラインナップとは?
https://business-study.com/lineup/
▼腕を上げるなら質問したらいい。メソッド向上に必要な事。リッツ・カールトンのラインナップ他
https://business-study.com/service_column-7/
▼ラインナップとコミットメント トゥ クオリティ
https://business-study.com/service_column-20/
▼ラインナップは鹿児島でもやっていた / クレド6ステップ導入マニュアルステップ3
https://business-study.com/cred_interview-65/
ステップ6:作ったクレドを進化させるノウハウの導入
クレド導入の最後のステップです。
ここでは作成したクレドをさらに進化させていくための仕組みを導入します。
くれるを作り導入し運用していくことで会社と従業員は成長していきます。
会社と従業員の成長に合わせてくれども進化させていく必要が必ず出てきます。
クレドを進化させていくために必要なことが全部で7つあります。
その7つを簡単にご説明したいと思います。
- 従業員をありのままの姿ではなくあるべき姿に育てる モットーの導入
- 会社と従業員の信頼関係を作る『従業員への約束』の導入
- 競合他社とのサービスの違いを生み出すことができる『サービスの3ステップ』の導入
- リッツ・カールトンで語り継がれる伝説のサービスを実現させる 『プリフェレンス・パッド』の導入
- 土井のクオリティや愛社精神を向上させる『従業員満足度調査』の導入
- ピンチをチャンスに変える従業員を作る『レポート』の導入
- 最高のサービス、仕事、人生の好循環を作る『トップボックス』の導入
これらの7つの施策は多くのホテルや一流企業で採用されているものです。
クレドを作ったらそこで満足することなくプレとは会社と従業員の成長に合わせて進化させていくものだと考えるようにすると良いでしょう。
まとめ
今回はクレドをマネジメントに活かしたときのメリットを中心に、期待できる効果やクレドの作り方についてお話しました。
クレドはリッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンの成功例があるため、興味はあっても自分の会社では無理だと考えている経営者の方も少なくありません。
しかし検索してみると居酒屋やカフェなどの個人店や医療機関、介護施設など事業の規模関係なくクレドを導入している企業は増えています。
他社でクレドが導入出来ているということはあなたの会社でもクレドは導入できるのです。
マネジメントは大変ですがクレドはマネジメントも含まれることが今回記事を読んでおわかりいただけたのではないでしょうか。
クレドの導入に今すぐチャレンジしてくださいとは言いませんが、クレドのことを少し学んでおくことも今後の経営に役立つものと考えます。
もしよろしければこの他にもクレドの情報を掲載していますので読んでみてください。
きっとあなたのお役に立てるはずです。
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中