著者:岸本健太郎
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先日、numberに面白い記事が上がりました。

その記事はこちら↓
辣腕監督・シメオネの秘密は町の本屋にあり?~戦術本は「机上の空論」ではない~

サッカーに興味のない方はご存知ないかもしれませんが、この二人、

・同じアルゼンチン代表
・ワールドカップで活躍
・アルゼンチンの同じクラブの監督歴あり
・イタリア/スペインでのプレー経験

と、共通点が多くあります。

そして何より、監督としてのその手腕に厳然たる差があるのです。

そこで今回は、この二人を例にとり、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ということについて考えてみたいと思います。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

この有名な言葉。

直訳すると、

「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。」

となるらしいですが、要するに、愚者というのは自分の経験だけを信じる傾向がある、ということでしょう。
それよりは、自分の誤りを避けるために、経験だけじゃなく歴史(他人の経験)からも学ぶ姿勢の方がいいじゃない、ということです。

もちろん、経験も大切です。
また、賢者が経験から学ばないなんてことはありません。

しかし、それだけでは不十分。
歴史=他人の経験から学べることも非常にたくさんあります。

そして、歴史から学ぶ最たるものが読書ですね。

今回は、そんな「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の最高の例として、冒頭の二人がピッタリなので、ご紹介したいと思います。

マラドーナとシメオネ

マラドーナはご存知の方も多いでしょう。
最近整形がホットな話題になってますね。テレビでもよく取り上げられています。

シメオネは、現在はスペインのアトレティコ・マドリーの監督をしていますが、1998年のワールドカップで、アルゼンチン対イングランド戦でベッカムを退場に追いやったことでも有名です。

この二人が、実に好対照なのです。

シメオネは歴史に学び、マラドーナは経験に学ぶ

さて、この二人ですが、まずシメオネ。

彼は、2006年に引退後、地元アルゼンチンで監督デビューし、イタリア(日本の森本選手もこの時在籍)を経て、今はスペインのアトレティコ・マドリーで監督をしています。

そして、ここからがすごいのですが、監督就任一年目に、いきなりタイトルを獲得。
さらに、3年目には、レアル・マドリーとバルセロナを押さえて18年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた、まさに名将です。

対して、マラドーナは、伝説的な選手で、プレーヤーとしては申し分ない実績を持っていますが、監督としてはパッとしません。
UAEのアル・ワスルの監督を2012年に解任されてからは、監督業もしていません。
メディアに出てくる範囲でしかわかりませんが、あまり選手たちからの評判も芳しくはありません。

この二人を分かつ「差」はいったい何なのか。

色々とありますが、ここでお伝えしたいのは、「学ぶ姿勢」の差です。

numberの記事にあるように、シメオネは、有名監督やコーチのものでなくとも、著者に関係なく戦術書を手に取っていく。
その積み重ねが、メンツは悪くないのに勝てない、勝負弱いと言われ続けたアトレティコを、レアル・バルサ2強時代の真っただ中で優勝させた、圧倒的な実績に繋がっています。

対してマラドーナは、「「すべてこの中に入ってる」と頭を指差し」とあるように、俺はわかってるよ、というスタンス。
いやいや、あなた監督としてキャリアもあれだし、モチベーターとしてもマネージャーとしても戦術家としてもまだ結果出してないでしょ!と、色んなところから突っ込まれそうです。

この差が、監督としての埋めようのない差として表れている、ということ。
「おごり」の有無。学ぶ姿勢・謙虚さ。
それらの差が明確に表れています。

1つでも学びがあれば価値がある!

このシメオネとマラドーナの違いは、私たちにも当てはまると思いませんか?

ビジネス書の読書習慣の違い。
ビジネス書でなくとも、オーディオ学習や勉強会など、アウトプットを前提とした学習の環境。

そういった部分を実践する人としない人の間には、まさにこの、

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

が当てはまると思います。

選手としての経験は、シメオネもマラドーナも十分。
経験から学んだことは今も活かされているでしょう。

しかし、そこからさらに、歴史から学ぼうとしているかどうか。
それが、今度は「監督として」の驚異的な差を生み出すわけですね。

あなたは賢者と愚者、どちらを選びますか?

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