著者:清水健一郎
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「リッツ・カールトンてさ、なんかカルトみたいだよね」

こういうイメージを持たれることがあります。
あまりのサービスクオリティと、働く側の熱意・精神から、宗教的な印象がある、ということのようですが、これに対する答えは明快です。

それは、感動を生み出すサービスを提供するために必要なことの一つだからです。

何度もお伝えしているように、サービスは科学。
全てのことに意味があり、それは明確な目的によって支えられています。

今回は、このカルトっぽい、ということに対する一つの答えをひも解いてみたいと思います。

バイス・プレジデント、スー・スティーブンソンの一言

「ゴールドスタンダード ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー
世界最高のお客様経験を作り出す5つのリーダーシップ法」

この本は、アメリカでは有名なコンサルタントで、本書以外に「スターバックス5つの成功法則と「グリーンエプロンブック」などの著書がある著者が、巧みなインタビューでリッツの魅力とメソッドを引き出した本。

リッツの現場で活躍するスタッフとコミュニケーションをとり、見事に一歩、二歩踏み込んだインタビューによるコメントをいただいている事が、働いていた私には感じる事ができる一冊です。

そして、この本の中に、リッツのある意味での宗教っぽさに対する一つの見方が書いてあります。

例えば、「カルト対カルチャー」のところでは、リッツ・カールトンのマーケティング部門バイス・プレジデントのジュリア・ガジャック氏は、

「以前、競争先のホテルで働いていたとき、リッツ・カールトンはカルトみたいだ、とよく冗談でいっていました。ゴールドスタンダードを書いたクレドと呼ばれるカードを持ち歩いたり、毎日の朝礼があったり。」

と言うことが書かれています。

実際、私がリッツ・カールトン在籍中、他のホテルからリッツに就職された先輩、上司方も、全く同じ事を言っていました。「クレド教」と。

そんなカルト的な違和感を、ジュリア・ガジャック氏は、リッツ入社時に面接官を務めた人事部のバイス・プレジデント、スー・スティーブンソンに質問しました。

スー・スティーブンソン氏の返事はとても丁寧で

「実はわたしもそう感じていました。わざわざ紙に書いて、毎日の朝礼で思い出す必要があるのだろうかと。でも、会社が何を大切にしているかを文章にして伝えることは、この会社のリーダーにとってとても大切なことなんです。」

スー・スティーブンソン氏の親切丁寧な回答によってジュリアは違和感がなくなり、リッツ・カールトンの文化を受け入れる事ができたそうです。

意味のないことはない。サービスは科学!

いかがでしょうか?
非常にシンプルですよね。

しかし、クレドもラインナップも、「会社が何を大切にしているか文章化」「それを伝えて浸透させる」というゴールのもとに行われています。

その浸透度が本当に高いので、カルトのように見えるのでしょう。
それは、見方を変えれば、ホテル全体が同じ価値観を共有し、感動のサービスを提供する環境ができている、と捉えることもできます。

ちなみに、私は、というと、真っ白な新卒入社だったので、リッツの考え方、カルチャー、システムなどなど、リッツ・カールトンが全てで、リッツ・カールトンがスタンダードでした。

リッツ大阪開業の際、そんな真っ白でリッツ・カールトンがスタンダードなスタッフは、私をふくめ全体の半分以上だったのです。

その結果は皆さん、ご存じの通りです。

カルトというイメージは、リッツの仕組みにおける、クレドの浸透度合いが非常に非常に高いからこそ、ということができるのではないでしょうか。

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