著者:友松はじめ
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クレドは劇薬? 劇薬は使い方だと思う。

クレドを研究している友松です。
またクレドをテーマにした新しい本を読んでいます。
『1枚の「クレド」が組織を変える!』という本です。

日本で出版されているクレド関連の本は限られていますから、今回この本を読むのは2回目になります。
1回目は一気に読んでしまって書評記事を書きました。
https://business-study.com/ichimai_credo/

私の書いたコラムは、『1枚の「クレド」が組織を変える!』でググってみると6位でした。
ありがとうございます。
今回からは一気にではなく、ビジネスユースNLPの視点で以前書いたコラムとは違う内容を書いていきたいと思います。

『1枚の「クレド」が組織を変える!』の著者は税理士さんで、リッツ・カールトンとは縁もゆかりもない方です。
1997年に税理士事務所を起業したけれど、従業員の離職率100%を何年も続けているような経営者だったそうです。

あるとき、リッツ・カールトン大阪の成功を聞いて、自分の会社を変えるにはリッツ・カールトンのようなクレドを導入することだと思った著者は、事務所の女性に手伝ってもらってリッツ・カールトンのクレドを参考にしたクレドを作りました。

クレド導入後はみるみる会社が変わって・・・。

2014年の
会計事務所甲子園で日本一
働きがいのある会社ランキングで1位

という2冠を達成しました。
ここだけ聞くと、クレドを作りさえすれば会社が変わる!
と思ってしまいそうですが、たぶん、いや絶対そんなに甘くないと思います。

だって、著者がクレドを知るまでは、就業時間中に居酒屋で酒を飲むような従業員ばかり。
自分が事務所に居ると事務所内が険悪なムードになる。
それに耐えられない著者は、従業員が退社した後、事務所で夜遅くまで仕事をする。

そんな状態だったそうですから、クレドを導入しただけでは絶対に変わらないはずです。
だけど、そんな会社組織として末期的な状態から、クレドを導入して2つの賞を受賞するまでになったということは、クレドはまさに劇薬と言えるのでは?

なんて思ってしまいました。
どうしようもない事務所の状態も事実。
そして栄誉ある賞を受賞したのも事実。
クレドが変わるキッカケになったのも事実。

いったい、どんなクレドをどんな方法で作ったのか?
そしてどうやって就業時間内に居酒屋へ行くようなスタッフたちを変えることができたのか?
もしかしたら、クレドの改革に耐えきれず、居心地が悪くなって会社を辞めたかもしてないな、なんて思ったり。

著者はクレドを作ったら会社が変わったとプロローグで書いているんですが、私のなかでホントに? という疑いがなかなか晴れませんでした。
だって、何度も言いますが就業時間内に居酒屋でお酒を飲むような人たちですよ?
そうそう変わるわけないじゃないですか?

でも、就業時間内に居酒屋に行くようなスタッフさんたちも、入社当初は自分たちがそんなスタッフになるなんて思ってもいなかったはずです。
この会社で働く意味を見失ったから、そしてその会社を経営している著者への信頼も無くなったからだと感じました。

この本のあとがきに、アメリカのギャラップという会社が出している
『仕事に意欲的に取り組めるようにするための必要な12のリスト』というのが掲載されていました。

1.職場で自分が何を期待されているかを知っている
2.仕事を間違いなくこなすための材料や道具を持っている
3.職場で毎日自分が最も得意なことをする機会がある
4.この一週間に職場で良い仕事をしたとして認知されたり称賛を受けた
5.上司やその他職場の誰かが自分のことを一人の人として気にかけてくれている
6.私は進歩していくのを励ましてくれる人が職場にいる
7.職場では自分の意見を汲んでくれる
8.会社の使命や目的が自分の仕事が大切だと感じさせてくれる
9.同僚たちは質の高い仕事をしようと努力している
10.職場に仲の良い友人がいる
11.過去6ヶ月の間に私の仕事が進歩したと職場の誰かに言われた
12.昨年仕事で学び成長する機会があった
(170ページより引用)

著者は8番の会社の使命や目的はミッションだと書いています。
私は12項目を読んで、だれもが持っているといわれている『承認欲求』が満たされるような項目がほとんどじゃないかって思いました。

こんな12の項目が普通に溢れている会社だったりサークルだったりなら、もう本当に楽しいはず、毎日。
これらの要素がなかったから、クレドを導入する前の著者の会社のスタッフさんたちは、会社で働く意味を見失っていたんでしょうね。
というよりも、著者も経営者である自分の責任と書いていますが、スタッフの承認欲求を満たしつつ8番のミッションをスタッフに示していなかったから、起こるべくして起こったこと。

このような8番をのぞいた11項目があれば職場の人間関係は改善されて雰囲気はよくなる。
そうなると大好きな会社の発展、存続を望むのは自然なこと。

そこでクレドがあることで、会社が目指すスタッフ像がイメージできるし、スタッフ像になるためのヒントが書かれているので変りやすい。
ポイントはマニュアルのように細かく書かれていないこと。
細かく書かれていないから、スタッフは想像するしかない。

ぼくだったらどうするか?
わたしだったらどうするか?

こんなことを考えながら実践するので、成長も速い。
そして考える起点がクレドだから各々のやり方が違っていて統一感は出る。
クレドを通してNLPでいうところのポジションチェンジが行われます。

第一ポジション:自分自身
第二ポジション:相手の立場
第三ポジション:第三者の立場

こういう視点を行ったり来たりすることで、相手の立場にたつことができるスタッフが育っていくということですね。
まだ、エピローグとあとがき、そして目次を読んだだけなのですが、以上のようなことをコラムにしてみました。
まるで劇薬のようにクレドが効いた、著者の体験と経験がこれから詳しくわかってくると思うと、今ワクワクしています。

 

《つづく》

 

《参考文献》1枚の「クレド」が組織を変える! / 実島 誠(著)

 

記事/友松はじめ

クレド勉強会 友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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