著者:友松はじめ
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今回のテーマは、経営者がクレドを作るための記事です。

たとえば、今から起業する、これから従業員を採用するなど、従業員がいない、または少ないという場合などのときに参考にしていただけたらと思います。

それでは、クレド6ステップ導入マニュアルステップ1です。
ステップ1はアイスブレイクでストレッチです。

クレド導入の最初のステップとして、強く推奨したいのが、職場で働く人同士のポジティブなコミュニケーションです。
クレドで有名なリッツ・カールトンでは、クレドがすでにあり、それから人材を採用します。

つまり、クレドを活用できるであろう人材を雇い、トレーニングして、クレドを活用してもらう。
クレドを今から導入する場合は、すでにいる人材に対して、クレドを導入し、活用していくわけです。
そこが決定的な違いであり、クレド導入の失敗、クレドを運用しても効果がでない原因のひとつです。
ストレッチによって、クレド導入の成功に導くのが狙いです。

 

ステップ1でアイスブレイクを推奨する私の想い

クレド導入について、私のリッツ在籍時の経験から言えることは、社内に複数の異業種や各々カラーの違う従業員が集まっていようと、その会社で作られたクレドは、カラーの違う従業員、各職場をまとめ会社を成功に導いてくれるということです。

ホテルと言えば宿泊や飲食と言った接客のイメージが、一番に出てくると思いますが、裏方に入れば、ランドリー、エンジニア、カーペンターの部署まであり、リッツ大阪で働いている従業員も世界中から集まり、文化、宗教も違っていました。

しかし、飲食のスタッフもカーペンターのスタッフも全ての従業員が同じクレドカードを持ち、日々、読み返しディスカッションしていました。

お客様に接するスタッフも裏方で大工仕事をするカーペンターも、クレドで目指す方向がブレない様に日々確認していたからこそ、リッツは目指す目的地についていたのだと確信しています。

ですから、各々の会社にあったクレドを作り、浸透させれば、必ず成功まで導いてくれると私は信じています。
どの様な業種、職場の規模、従業員の数、人種、宗教は関係ありません。

ですから、御社にあったクレド、ビジョン、ミッション、ミッションステイトメントを導入して頂きたい!成功して頂きたい! と私は心から願います。

しかし、リッツ・カールトン成功が、一躍クレドを有名にし、クレド導入を考える企業が増えるにともないクレド導入の本やセミナーの数も増えましたが、本当の意味でクレド導入に成功している企業は、ごくわずかです。

私もリッツ退職後、「我社もクレドを導入しています」と言われるホテル数社に派遣社員でお世話になりましたが、全くクレドが浸透、機能していませんでした。

そして、私だけにとどまらずリッツを卒業した私の上司、先輩、仲間達が、クレド作成、浸透を目的に他の会社、ホテルに引き抜かれて就職しました。
そこでクレドを浸透させるのにリッツ式朝礼(ラインナップ)を毎日おこなっていたにもかかわらず、クレドは従業員に浸透していきませんでした。

各会社の従業員のみなさんも頑張っておられたと思いますが、せっかく作ったクレドを実践しない。今まで通りの仕事以外は手を付けないという状態がリッツ卒業者の就職先で同じように起きていました。

始めのうちは「クレドは、リッツだから機能するのか?」と皆、頭を抱えていました。しかし、リッツ卒業者同士の集まりのなか情報交換するうちに理由がわかりました。

それは、いきなり会社が引き抜いてきた人を管理者として迎え、たとえ、仕事、マネージメントのノウハウを持っていても、既存の従業員達は、それまで作りあげてきた環境を変えようとしている管理者に対して、抵抗を抱いてしまったのです。

それでは、どんなに良いアイデア、ノウハウを伝えても心から実践できませんし、心からの実践ができなければ、結果も変える事はできません。
その為、クレド浸透の為にリッツ式朝礼(ラインナップ)を導入しても、従業員の心からの浸透とは、いかなかったのです。

クレドを浸透させる為には、ラインナップを毎日する。その前にすべき事は、ラインナップをする意味を理解してもらう。
その前には、と、言う具合にリッツ卒業者達は、各々の職場を変える為に必要な事を考えました。

そこで、まずリッツ卒業者達は、自分達は組織の土台作りを知らなかった。
リッツと言う土台の上で今までスキルアップをしていたのだと気が付きました。
その土台作りというのが信頼関係作りです。

例えば、病気になって注射をすると言うのは、病気の体に変化を起こす異物を注入する事になります。その時、患者と医者の求める目標は一緒です。

「病気を治す」しかし、注射を打つ、異物を注入し、変化を起こす際は、変化を起こす側に対する、変化が起こる側の信頼が必要不可欠になります。
リッツ卒業者たちは、目標共有についてはできていたのです。

しかし、信頼関係作りに気づかずクレド導入をしようとしたため悪戦苦闘してしまったのです。
組織にクレドを導入すれば、組織に変化を起こす事になりますが、人と言うのは変化を恐れたり、拒んだりするものです。

できれば、組織、自分の置かれている環境を変化させずに、結果だけ良い変化をしてほしい。と願います。
信頼関係なく変化させる際には、「私達も今まで、この職場で頑張ってきたのに」や、「いきなり、そんな事いわれても」と言う声が上がるのは想像に難くないと思います。

結果を変えるには、その結果を生み出している環境を変えなければ、結果は変わりません。
逆に信頼関係ができていると、お互い厳しい意見交換もできるようになります。

ハリウッドの刑事映画に登場する二人組のタッグなど、お互いに怒鳴り合っていますが、見事なチームワークですし、いつも怒鳴り合える関係だからこそ、抜群のチームワークが発揮できるのです。そして、怒鳴り合っているうちにお互いが歩み寄る変化をしています。

信頼関係作りに必要な事は、コミュニケーションを取るとこです。例え、怒鳴り合ったとしてもです。

 

クレド6ステップ導入マニュアルステップ1導入の効果

しかし、私達は怒鳴り合う必要など、全くありません。
楽しく、ポジティブに会話することでチームワークをはぐくみます。

拍手をして褒め合うコミュニケーションをアイスブレイクで取ることにより、経営者、マネージャー、リーダーとの信頼関係を作る事が可能なのです。
リッツ卒業者たちも、信頼関係作りについて悪戦苦闘しましたが、行きついたのは1 日10 分程度のアイスブレイクでした。

◆職場の雰囲気をポジティブに変えます。
問題が生じても、問題解決にすぐにあたり、従業員から出てくるアイデアは、いつもポジティブなアイデアです。
そして、その問題すらも自分達のスキルアップになるとポジティブな捉え方ができるようになります。

◆従業員同士が、お互いの良いところを見つけ合うことで、お互いの良い視点から見つめるようになります。

◆従業員同士が、お互いを深く知り合うことで、従業員同士の繋がりが強くなります。
(アイスブレイクの内容や手順、メカニズムなどは、別途紹介しています。)

アイスブレイクを導入し、毎日、1日10分程度、一か月でも続ければ、必ずこの様な、職場環境が作れます。
クレド導入だけに限らず、新たなアイデアから生まれる変化を楽しむ職場に成長しているはずです。

 

アイスブレイクを導入する狙い、期待できる効果

アイスブレイクを毎日の朝礼などで、5分~10分ほど(1分程度×人数)するのには狙いがあります。
想定される効果は以下のものです。

  • 予算も時間もかけず 職場の雰囲気を良くし売上げアップにつながる
  • 失敗の経験から、次回は失敗しない教訓を学んだという事もアイスブレイクの対象になり、失敗を単なる失敗に終わらせない考え方が浸透する
  • どんな経験からも自分の糧になるものを探して見つける力と習慣が身に付く
  • 良い出来事を自ら探すように自然と意識がフォーカスされていく
  • 働くことが好きになり、楽しくなり、賞与などお金がかからずに従業員の満足度が上がる
  • 従業員同士のコミュニケーションが向上し、新しいことを導入しやすい環境になる
  • クレド、ミッション、ミッションステイトメントなど、導入しやすくなる

私の経験から学んだ事は、会社、職場の業績を上げる良いアイデアやノウハウがあったとしても、そのアイデアやノウハウを導入し実践できる職場環境が整っていないと、全く意味を持たないと言う事です。

例えば、弱い野球チームに実力のある監督が来ても、選手のやる気がない。というのでは監督がいくら戦略を練って伝えても戦略は実行できず試合に勝てません。

弱いチームのままです。
また、やる気のない職場やチームというのは、環境を良くしようとする人や要素を排除しようとする傾向にあります。

よく、弱小野球チームの立て直しに現れる主人公の監督や、学園ドラマの第一話で問題児ばかりのクラスに熱血教師が赴任してくる時、やる気のない選手や学生を中心に周囲から敵対視され反発をくらうのと同じです。

ですから、経営者、上司、監督、担任教師など、監督する立場におられる方が、新たな試みを試してみたいと思う反面、試すことに躊躇してしまうのはその為です。

私はリッツを退社してから、滋賀県の幾つかのホテルに派遣社員として働かせていただきました。
その際、東京や大阪の一流ホテルから引き抜きで滋賀県のホテルに勤務されている方々とお話させていただく機会がありました。

みなさん実力も実績もあるすばらしいホテリエ、ビジネスマンでもあると実感しましたが、みなさんおっしゃる事は、どのホテルの方でも一緒でした。

「リッツ出身の清水ならオレの言ってる事が理解できるだろう。
ここのホテルのスタッフは全く理解すらできない」「レベルアップする必要があるのに、向上心がない」「オレに付いてくるだけのスタッフなんて、ここにはいない」など、最後は諦めて、そのホテルを去っていかれました。

ここで1つ言えることは、会社の業績を上げるアイデアやノウハウをお持ちの方でも、組織の基礎作りまで精通した人はとても少ないと言う事です。
上記のホテリエの方々も以前は自分達が、出来上がった土台で実績を積み上げていた事に気づいていないのです。

そして、その事にも気づいておられなかったばかりに、新たな職場で、今まで通りのやり方を導入し失敗すると、その原因を自分以外に求めてしまい、その結果、上記のような事になってしまったと私は思います。

こうなっては、改めてコミュニケーションなど取れるはずもなく、結果として会社、職場を去ってしまうのです。
まず第一歩は、コミュニケーションを取り、そして、1つでも多くお互いを知る事です。
その為にアイスブレイクをお勧めします。

お互いを知れば知るほど、お互いの警戒心が解かれ、深い絆を作りやすくなります。
信頼関係が出来ていない状態で、外部から来た監督や教師や上司が頭ごなしに、業績を上げるために戦略を語っても、なかなか機能しません。

だからこそ、クレド作成、導入、浸透を最終目標に持つ経営者の方々にお伝えしたいことは、アイスブレイクを軽く見ないでください。
アイスブレイクを毎日1ヶ月間続ける事ができれば、クレドを導入する下地がかなり出来上がります。クレドを導入するまでもなく、多く方が成果を感じることもあるでしょう。

アイスブレイクを毎日、まず、一ヶ月は続けてください。
クレド導入の土台作りだけでなく、この習慣はクレドを効果的に運用するためのラインナップにもつながります。

 

アイスブレイクの進め方

毎日ランダムにグループ分け
1グループは3名以上、10名まで程度

グループになったら名前だけの自己紹介をする。
名札があるとさらにワークが進めやすいです。

  1. 進行役は、クッシュボールを参加者の一人に渡します。渡すときは、その人の名前を呼び、その人に目を合わせて笑顔で渡します
  2. クッシュボールを受け取った人は、クッシュボールを胸の前で、クシュクシュと揉みながら、24時間以内にあった「良かったこと」「新な発見」を発表します
  3. 発表が終わると、聞いていた人全員で大きな拍手をします
  4. 今、発表した人はクッシュボールを他の誰かに渡します
    渡すときは、その人の名前を呼び、その人に目を合わせて笑顔で渡します
  5. クッシュボールを渡された人は、また胸の前で、クシュクシュと揉みながら、24時間以内にあった「良かったこと」「新な発見」を発表します
    参加者全員が発表するまで行います

 

発表内容について

  • 発表する良かった事は、なんでもいいです。「昨日、妻が優しかった」とか「娘が挨拶してくれた」と言った個人の事でもいいですし、仕事でうまくいった話でもOKです
  • 仕事上で同僚(アイスブレイク参加者)に助けてもらった話などは、話が終わった後、発表者を助けたスタッフにも拍手を送りましょう
  • 自分の失敗から新な発見や学びをした話をしてくれたスタッフに対して、特に大きな拍手を送りましょう
  • お客様に「お褒めの言葉を頂いた」という話が発表された際、ファシリテーターは、5W1Hでエピソードをメモし、経営者・マネージャーが発表した人とお客様からお褒めの言葉を頂いた従業員に対して、サンクスカード「良いサービスしてありがとう」「報告ありがとう」を送ります

 

実施上の留意点・注意すること

アイスブレイクを行っている最中は、ネガティブなコメントを避ける。

聞く側に徹底して指示をだすことは2点

  1. 【話すのを妨げないこと】発言を遮らない、話題を盗まない、話を否定しない
  2. 【話を積極的に聞くこと】軽く相槌を打って傾聴すること

話を聞き終えたら、必ず拍手をする。

 

使う資料、利用するワークシードなど

発表者がお客様の声を「アイスブレイク」で取り上げた時に経営者やマネージャーに報告するためのメモが取れるもの。
※報告を受けた経営者・マネージャーは、ポジティブなお客様の声、喜びの声を「アイスブレイク」で取り上げた人にサンクスカードを送ります。
※サンクスカードについては、次のトピックである【クレド6ステップ導入プログラム】
のステップ2をご覧ください。

 

まとめ

アイスブレイクのお話はいかがでしたか?

お読みになられて、アイスブレイクの導入をしたくてウズウズしているでしょうか?
そんな気持ちになっていただければ幸いです。

クレドを導入する前のストレッチ、とても大切です。
私の経験と、リッツでの同僚、上司が他のホテルで失敗した事例を踏まえて、アイスブレイクの導入が最善のストレッチだと考えるようになりました。

この導入マニュアルが、一人でも多くの人に役立ててもらえたら、最高に嬉しいです。
グッド&ニューを導入し、毎日、1 日10 分程度、一か月も続ければ、素敵な職場環境になると思います。

クレド導入だけに限らず、新たなアイデアから生まれる変化を楽しむ職場に成長しているはずです。

 

クレド導入方法(経営者主導でクレドを作成する方法)

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