著者:清水健一郎
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今回は、前回に引き続き、様々な信頼を生み出す物語が書かれている書籍、

「リッツ・カールトン たった一言からはじまる「信頼」の物語」
高野 登(著)

の中から、清水目線でピックアップし、あなたにエッセンスをお伝えします。

今回は、その中から、今回私がとても惹かれた「人を介して気持ちを伝えることの意味」に焦点をあて、私がリッツ・カールトンで経験した事例を含めて、ご紹介させていただきます。

人を介して気持ちを伝えることの意味

第二章「信頼が生まれる人の仕事術」に「人を介して気持ちを伝えることの意味」があります。
これには、とても大きな意味を持っていると著者は言い例文を載せています。

引用してみましょう。

あなたが人から褒められた時のことを想像してみてください。

上司から直接「お前、この頃しっかりしてきたな」と褒められるのも嬉しいでしょうが、取引先の人から「あなたの上司の○○さんが、いつも『うちには優秀なスタッフがいるんです』と、あなたを自慢していますよ」と間接的にほめられた方が、嬉しさが倍増するのではないでしょうか?

私がなぜこの部分に惹かれたか、それはリッツ在籍中、一生忘れる事がないエピソードを経験したからです。

そのエピソードとは、私の著書「社会人として大切なことは全てリッツ・カールトンで学んだ」にも紹介させていただきましたが、椎間板ヘルニアによって、9ヵ月のも長期にわたり休職した話です。(以下抜粋)

休職して全く症状が良くなる気配のないまま、2か月になろうとしていた時、私と私の家族には一つの心配事がありました。
それは「会社はいかなる理由であれ3ヶ月以上の休職者を解雇できる」という法律でした。両親は、「会社なんて本来冷たいものだし、早く治して職場復帰しなければリッツを解雇されてしまう」

私も、

「ここで解雇されたら、オープン時から努力して積み上げてきたことがムダになってしまう」

と気が気ではありませんでした。
そして、私と私の家族の焦りと不安は募るばかり。

そんな時、私の実家に電話が掛かってきました。
電話を取ったのは私の母です。

「お母様ですか、私、大阪リッツ・カールトンの料飲支配人をしています冨田と申します」

料飲支配人というのは、その当時の私の上司にあたります。
その声を聞き、心配性の母は心臓の鼓動が一気に大きくなったそうです。

「ついに来た。解雇の警告だ!」と母は思ったそうです。

「はい、この度は大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

母は飲料支配人に謝罪をしました。
すると、料飲支配人は逆にこのように答えたのです。

「いえいえ、こちらこそ、大変申し訳ございませんでした」

その回答に母は驚きました。
なぜ、料飲支配人が謝るのか分からなかったのです。

困惑している母に料飲支配人は続けました。

「息子さんの会社復帰の件で、お母様お父様に心配をかけてしまっていたそうですね。
大変申し訳ありません。
結論から言いますと、会社は息子さんを解雇することはありません。
彼は誰よりも仕事を頑張り、その結果、腰を痛めてしまいました。
その責任は会社にあります。彼を解雇するどころか粗末に扱うことはできません」

料飲支配人はこう言った後に、更にこう続けてくれました。

「職場復帰できるまで会社は彼を待ちますし、焦らずに治療に専念するようにお伝えください。彼はリッツ大阪にとって、なくてはならない存在です」

母はこの電話で安心し、感動したことは言うまでもありません。

その時、私は病院にリハビリに行っていたので、電話の内容は母から聞きましたが、母は少し嬉し泣きしていました。
もちろん、私も嬉しくて泣きそうでした。

私と家族の不安が絶頂に至ったため、私は電話で職場の先輩に相談をしていました。

すると、それを先輩が料飲支配人に伝えてくださり、その翌日、料飲支配人が電話をくださったのです。

これはもう、私の中では一生忘れることのできないエピソードです。

まとめ

間接的に褒められた方の嬉しさが倍増すると同時に、その時、関わった者同士の絆がより一層強くなり、そして、人と接するプロフェッショナルは、このような展開をイメージしながら、一つひとつのコミニュケーションに真摯に向き合っていると著者の高野氏はいいます。

今回は、私個人の思い入れの強い事例と重なったので、「人を介して気持ちを伝えることの意味」を取り上げましたが、その他にも素晴らしい「信頼」が生まれる人の仕事術を紹介されています。

今一度、「信頼づくり」について考えておられるのであれば、この著書の購読をおススメします。

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