人の成長があってこそのホスピタリティ – スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。/岩田松雄、高野登(著)
クレドを研究している友松です。
今回は、スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。の第一章、ホスピタリティはいかにして生まれるのか?を読んでいます。
『スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。』は、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田さんと、元リッツ・カールトン日本支社長の高野さんの、ホスピタリティをテーマにした対談形式の書籍です。
タイトルを読んでも『???』となりますが、まえがき、あとがき、目次、そして読み始めるとタイトルの意味がだんだんと分かってきます。
リッツ・カールトンに宿泊したことが無くても、スターバックスを利用したことがある人は多いのではないでしょうか?
全国で唯一、スターバックスが無かった島根県にも出店されたというニュースも記憶に新しいところですが、スターバックスの日本の総店舗数は1,300店舗以上あるようです。
先日も家族で買い物のついでに利用しましたが、店舗に入ると、『こんにちは!』と顔を見て挨拶してくれるし、並んでいるとメニューを持ってきてくれるし、注文を済ませた後も声をかけてくれる、本当に気持ちがいいです。
リッツ・カールトンのモットー、紳士淑女の話ではありませんが、スタッフの方から親切にされるとこちらもチキンとした振る舞いをしなくては!と思いますね。
社内の人の成長があってこそのホスピタリティ
先ほど、スターバックスは全国に1,300店舗以上と書きましたが、リッツ・カールトンも日本国内では、大阪、京都、東京、沖縄と4カ所ですが、世界では世界30カ国に90のホテルを運営しています。
いずれも、大人気です。
その人気を支えているのが、そこで働くホスピタリティあふれる人たちです。
読んでいくと、クレドがあるリッツはもちろんですが、スターバックスにも独特の文化があることが分かります。
そして、その文化になじめない人は、スグに辞めてしまいます。
すぐに辞めてしまうと企業にとっては損失につながります。
ですから、リッツもスターバックスも、面接を通して自社の企業文化に馴染める人かどうかを厳しく見るそうです。
そして、採用の研修も今時は1時間程の研修の後、店舗に出す企業が多い中、充分な研修時間を経て、お店で働いてもらうそうです。
もちろん、リッツもスターバックスも、マニュアルがあるけれど、実はマニュアル通りではホスピタリティのあるサービスは出来ないと言っています。
ホスピタリティのあるサービスは、マニュアルを超えたところから生まれるということをお二人が言っていたことが印象に残りました。
その例えとして、スターバックスだと、営業時間前に、お客様に、シナモンロールを空港まで届けに行った話しや、お客様の忘れ物を飛行機に乗って届けに行ったというリッツの話しなど紹介されていました。
リッツの場合は、エンパワーメントと言って、スタッフひとりひとりに、「一日2000ドルの決裁権」があることは有名ですが、スターバックスでもワオストーリーのようなエピソードがあるのだなと驚きました。
それと同時に、空港までシナモンロールを届けたスタッフは叱られなかったのか?と心配になりましたが、当時社長だった岩田さんは、そのスタッフを褒めたそうです。
営業時間外もダメだし、店舗外で商品とお金のやりとりも、もちろんダメ。
本来は叱られて当然の行為だったわけです。
このスタッフは、マニュアル以外のことを行っているのですが、(このエピソード、興味のある方は詳しくは本書を読んでみて下さいね。)社長が褒めることで、ここまではやっていいんだ!ということが伝えられると言っていました。
ただし、マニュアルは守らなければいけません。
みんながみんな、同じようなことをしていたらお店も成り立ちません。
ですから、ここはスタッフを信用するしかない。と岩田さんは言っていました。
リッツのエンパワーメントと共通していますね!
ホスピタリティの環境は、経営陣が作る
ここまでは、スタッフの話でしたが、経営陣も一貫性が無いとホスピタリティあふれる環境は出来ないと言っていました。
スタッフも経営陣もみんなで作っていくということですね!
例えば、お客様第一と言いながら、お店に監視カメラを設置する、店内はピカピカなのに、従業員の休憩室には破れたソファーが置いてあるなどなど。
そして、経営陣からスタッフへの最大のメッセージは人事だとも書いていました。
数字を作れる人を大切にして、偉くする傾向にある会社が多い中、極端な例だと、お客様をダマして数字を作る人もいたりするわけです。
そんな人がリーダーになってしまうと、たとえ会社が『お客様第一』と掲げていても誰も守らなくなると言っています。
そういえば、会社の人と飲みに行ったときは、人事のことが話題の中心になりますよね。
ですから、このような人事で、会社がスタッフのことをちゃんと見ているのか、いないのかがハッキリ分かるそうです。
気が抜けませんよ。
人事ひとつで、ホスピタリティあふれる環境が吹っ飛んでしまいます。(汗)
注意が必要です。
まとめ
本書を読むと、ホスピタリティあふれるサービスは、スタッフの成長がカギになることが分かります。
そのためには、最初の採用から教育に力を入れること、そして人を信用すること。
また、経営陣に一貫性が無ければ、せっかくの努力も実らないことが、分かりました。
もうひとつ、高野さんと岩田さんのお話の中で、一番大切なのは働くスタッフ。
そして、会社がスタッフを守ることで、スタッフは安心して働けるようになるそうです。
リッツでも実際に、ヒドイお客様(もうお客様では無いと思いますが)からスタッフを守った事例があるようでした。
リッツでは、『ノーと言わないサービス』が有名になっているため、わざとワガママを言うお客様も多かったそうで、苦労もあるようです。
そんなお客様の対応も、スタッフのトレーニングになるので良い面もあるそうですが、限度を超えてはいけませんよね。
利用する私たちも、リッツやその他のサービスを利用するときは紳士淑女でありたいと思います。
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中