お客様の秘密の儀式までバレてしまう、リッツのうれしいサービスとは?
リッツ・カールトン20の秘密 一枚のクレドカードに込められた成功法則 井上富紀子/リコ・ドゥブランク(著)
今度のコラムは『リッツ・カールトン20の秘密』です。
ミスティティーク2:パーソナル
今回は、パーソナルについて書かれた項を読みました。
著者の井上さんには、絶対に欠かせない朝の儀式があります。
それは、コーヒーを飲むこと。
起床後、直ちに飲むのが大事なんだそうで、パジャマのままお湯を沸かし、コーヒーを淹れる。そして飲む。
これはどこに泊まっても変わらない、譲れない習慣だそうで、正直読んでいて『めんどくせー客だな』と思いましたが、本人も自分のことを面倒くさい客だろうなと思っているようです。
起床して、顔を洗い、着替えてからコーヒーを準備するのは遅いのだそうです。
リッツ・カールトンは24時間のルームサービスがあるので、ホテルにお願いしておけばいい話なのですが、パジャマ姿で、スタッフを部屋に入れたくないのだそうで。
その気持はわかる。
さらに言うと、当時のリッツ・カールトンには、湯沸かしのポットがなかったそうです。
だから、井上さんはスーツケースに湯沸かしポットを入れて持ち回っていました。
そのポットが、スーツケースの1/6のスペースを占領するにもかかわらずです。それだけ大事な儀式なんですね。
私も、井上さんほどではないですが、朝コーヒーを飲まないと体も頭も動きません。
インスタントコーヒーですけどね。
でも、そんな井上さんの苦労も、ある日を境に終わりをつげます。
いつの間にか、宿泊するリッツ・カールトンの部屋に、コーヒーメーカーが用意されるようになったそうです。
その時の写真が本に掲載されています。
そして、マイアミのサウスビーチのリッツでは「コーヒー豆は何にしますか?」と聞かれたそうですよ。
すごいですね。
そして、オハイオ州クリーブランドのリッツでは、新品のコーヒーメーカーが用意されていたそうです。
新品の理由をホテルには聞かなかったそうですが、おそらく井上さんのような習慣のあるお客様がいなかったから、わざわざ買って用意してくれたのだろうと書かれていました。
井上さんは、朝のコーヒーの儀式を、誰にも言っていなかったのに、いつの間にか儀式ができるようにリッツが用意をしてくれるようになったと書いています。
リコ・ドゥブランクさんの解説
ザ・リッツ・カールトン東京総支配人(出版当時)は、井上さんのこの体験について、サービスバリューの2番を紹介しています。
2.私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。
この2番には、ゲストを知ろうとする努力が表現されているようです。
いつの間にか、井上さんの部屋にコーヒーメーカーが用意されるようになった事について、お客様の立場になって考える習慣があるからと言っています。
情報の収集は、
・室内の使い方
・エスコートしている時
この時にお客様の立場に立って、いろいろと考えを巡らせて、実際のサービスに反映させているようです。
だから、井上さんのためにコーヒーメーカーを用意したほうがいい、ということになったのです。
ちなみに、当時のリッツ・カールトンにコーヒーメーカーがなかった理由をリコ・ドゥブランクさんはこうおっしゃっています。
ホテル創業時にお客様にアンケートをした結果、
『毎日自分で用意しているのだから、ホテルにいる時くらい自分でコーヒーを淹れたくない』
という声が多かったため、コーヒーメーカーを準備していなかったそうです。
なるほど。
それはそれとして、
ゲストを知ろうとする努力。ワントゥワンサービスの原点ですよね。
《つづく》
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中