著者:清水健一郎
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サービスのプロについて、色々な角度からお伝えをしてきておりますが、プロの共通点の一つに、「オーナーシップ」が挙げられます。

リッツもそうですが、スタッフは別にオーナーではありません。
経営権を持っているわけではありませんし、オーナー職ではないのです。

ですが、プロのレベルに達する方々はすべて、この「オーナーシップ」を持っています。

オーナーシップを持つプロ同士が真剣に高め合う職場

手前味噌ではありますが、私は21歳の時、当時の私の上司、冨田料飲部長から「清水はミスター・リッツ・カールトンだな」と言って頂いたことがあります。

林田さんがおっしゃるように、「自分が、このお店を、この会社を代表してお客様に接している」と思いサービスをおこなっていたからです。

しかし、そう思ってサービスをおこなっていたのは、私だけではありませんでした。
上司、先輩はもちろん、私と同じ新卒入社の同期、そして、10代のアルバイトまで、オーナーシップを持って働いていたのです。

その結果、オープンから数年で、リッツ・カールトンは日本で一番のホテルとして知られる様になりました。

どんな職場か想像できますか?

最高のサービスを提供する事ばかり考えているスタッフだらけ、今、当時を思いだすと嬉しくなりますし、気分がすがすがしくなります。
なぜなら、志の高い人ばかりの職場って、気持ちの良い喧嘩ができるからです。

え、と思われるかもしれませんが、仲間同士が信頼しあい高い志を共有していると、お互い厳しい意見が言い合える職場になります。
サービスについて、それだけ皆が真剣に考えていた証拠です。

そもそも、サービスは100人のお客様がおられれば、100通りのサービスがあってもおかしくありません。
「この場合は、こんなサービスがよい。」「いや、こっちのほうが喜ばれる」なんてやり取りは日常茶飯事だったのです。

その中心は、やはりラインナップ時でしたので、ラインナップがいかに大切か、ということでもありますね。

たびたびご登場いただいている私の恩師、林田さんは、

リッツ・カールトンでは、お客様に喜んでいただくために自分達に何ができるのか、ということをスタッフ同士で絶えず話し合い、できる限り実行するという風土が自然とできあがっています。そこには、「決まった時間だけ働けばいい」という受け身的な考えは存在しません。お客様が感動される素晴らしいサービスを実現するには、セクションの代表として、お店のオーナーとして、常にお客様と向き合う姿勢が不可欠なのです。

とおっしゃっています。

クレドがありクレドが生きるラインナップがあってこそ育つオーナーシップ。
この当時からオーナーシップを持つことができたからこそ、私は28歳で本当にオーナーになれたのは間違いありません。
リッツ・カールトンに感謝です。

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