著者:友松はじめ
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美大を卒業後、勘と経験だけで仕事をしてきて、たまたま身につけたホームページ制作スキルのおかげで転職することができた、某食品会社の新規インターネット事業部。

入社2年目の男性社員を中心に、印刷会社の元営業、デザイン会社の元デザイナー、カラオケ会社の元制作の人、そして印刷会社の元WEBデザイナー(これ私)の5人で、ネットでなんかやろうぜ!ってことで始まった、実験的部署。

当時は、まだ2000年の最初ごろだったので、ネットでモノが売れるのか?
と普通に言われていた時代でした。

当時はまだ、あの楽天も出店数1,000店舗行ってなかったんじゃなかったかな??

簡単に打ち砕かれた薄っぺらい自信

集まったメンバーを見回しても、ネット事業の経験がある社員は1人もいません。
私も、ホームページは作れましたが、売れるホームページなんてどうやって作ったらいいのかもわかりませんでした。

それでも、何かやらないといけないので、みんなで話し合って、とりあえずネットショップを始めてみたわけです。
当時、始めたばかりの頃は、社長直轄の部署ということで、社内の注目度も高く、なぜかネットの専門家(じゃないのに)と思われていましたので、どこか心地よかったのを覚えています。

今から考えると、実力も無いのに、困ったものです。
本当ゾッとします。

しかし、そんな意味不明な心地よさも、あっという間に打ち砕かれます。

入社して少しすると、各部集まっての会議がありました。

会議室は、ドラマに出てきそうな大きな部屋に、大きなテーブル。
そして、本皮の黒くて大きなイス。座るだけで眠ってしまいそうです。

その会議では、自分たちの行っている業務の進捗報告などを発表しているわけですが、私は各部の代表者が発表している内容が全く頭に入ってきませんでした。

入ってこない。

つまり、意味が分からなかったんです。

横文字のマーケティング用語もそうですが、発表時に配られる、エクセルで作られた会議資料も、どこをどう見たらいいのかさえ分かりませんでした。

会議資料には、わけのわからない数字がいっぱい並んでいます。

代表の発表が終わると、各部署から質問が飛びます。
でも、私は、発表の内容の理解がまったく出来ていませんでしたから、当然質問なんか出来るわけがありません。

本当に、今までゆるい企業で、勘と経験だけでやってきて、それでなんとなくうまくいっていたので、それでいいんだと思っていたし、自分のビジネススキルの低さなんて気にも留めないというか、気づきもしない。

気づきもしないばかりか、入社してしばらくの間は、「オレって凄い」と思っていたんですから。
本当に恥ずかしいかぎりです。

勘と経験だけで、これからもうまく行くと思ったら大間違い

勘と経験だけで、これからもうまく行くと思ったら大間違いなんですよ。

自分の経験したこと、もともと出来ること。
そういった自分のリソースを基にして、日々、自分が知らない新しい知識を毎日でも少しずつでも吸収していくべきだったんです。

そのことに気づき、愕然としたのは、なんとも恥ずかしい31歳になってからでした。

気づいて、それが自分にとって大問題なんだと思えたのは幸運だったと思います。

しかし、気づいたけど、
じゃあ・・・どうすんのこれから?

焦りと不安だけが大きくなって、何も出来ない日々をしばらく送ることになります。

そんな状態でしたが、時間は容赦なく過ぎていきます。

会議では持ち回りで発表をしなければなりません。
インターネットの新規事業部の中で、私が2番目に年上でしたので、不安な姿を表に出すわけにもいきません。また、会議の発表もやりたくないとも言えません。

必然的に、次の会議で、私が発表することになりました。
エクセルもパワーポイントも満足に使えない。人前で発表さえもしたことが無いのにです。

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