著者:清水健一郎
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はじめに
今回からクレド6ステップ導入マニュアルのステップ4のインタビューです。
ステップ3を導入することで、どんなメリットがあるのか。
そのあたりのことについて開発者の清水先生にインタビューしていきます。
クレド6ステップ導入マニュアルを購入後のクレド導入特に、組織の意識改革の参考にしてみてください。

 

【友松】:ではベーシック18番に入っていきましょう。

18.自分の身だしなみには誇りを持ち、細心の注意を払います。従業員一人一人には、リッツ・カールトンの身だしなみ基準に従い、プロフェッショナルなイメージを表す役目があります。

 

【清水】:ベーシック18番ですか。
服装はよく注意されていましたね。
忙しいと服装は乱れるんですよね。

特に気をつけていたし、注意されていたのは髭です。
本当に忙しいときは何時間もほとんど休憩なしで働くという時があるんですよ。
忙しく働いている時に上司が来て、髭を注意される。

『髭を剃る時間なんて無いやん!』って言いたくなることも度々ありましたね。

 

【友松】:あー、そうかぁ。休憩の間に髭を剃らなければいけないってことですよね。

 

【清水】:そうですね。
やっぱり入社してから身だしなみについては厳しく教育されていましたから、私たちも染み付いていますし厳しく見ていましたから、髭の他にも身だしなみについて何かうっかりしていると、チェック項目が多いから何処が整っていない、なんてすぐにはわからないときもあるんですけど、身だしなみに何か違和感を感じる。
され、それは何処だろう? みたいなこともありましたね。

身だしなみについてガチガチに教育もされているし、自分も注意しているから、些細なところにも違和感を感じるんですよね。
でももう少し力は抜いても良いんじゃないかなって思ったりもします。

 

【友松】:チェックする項目は多いとは思いますが、その中でも清水先生の身だしなみの主なポイントはどこになりますか?

 

【清水】:そうですね。
・シワの寄っていないシャツ
・汚れのない磨かれた靴

特に靴ですね。
レストランに勤務していると靴は特に汚れますからね。
あとは…

・ハンカチを持っているか
・手

手は頻繁に手洗いするクセをつけておかないと。
手は汚れますし、お皿等、お客様の口に入るものを触るわけですからね。
それから…女性スタッフの場合はお化粧も加わりますし、
和食を担当する場合は、和服が制限になるから着付けも大切になります。

それに洋服にあわせた化粧は、和服にはあいませんから、化粧も変えないといけない。
これらのことは経験を積むことでできるようになることですし、スタッフ各々が各々のタイミングでわかるときが来るんですね。

それが身だしなみにスイッチが入るという感じなんです。
でもそこに到達するまでには、ベーシックの18番が必要になってくるんです。
私がリッツを卒業して地元のホテルに勤務していたときは、ベーシック18番のようなものがありませんでしたから、乱れたままの人も多かったですね。

 

【友松】:ベーシック18番もラインナップに取り上げられていたんでしょう?

 

【清水】:はい、もちろん。

 

【友松】:じゃあ、身だしなみについては、注意されるでしょうし、自分でも意識しますよね。

 

【清水】:ベーシックで取り上げることで問題点も浮かび上がってきます。
たとえば、私が働いていた当時は、制服のシャツが2着しかもらえなかったのですが、そのシャツをどうやって回していくかと考えた時に、ラインナップでベーシック18番が取り上げられた時に、シャツをもう1着支給して欲しいという意見がでたりとか。
そして、その意見が上にあがったりとかですね。

また、私の場合は髭が濃いんです。
ある日のラインナップのとき、上司も参加していたんですが、ベーシック18番がテーマで、私のシャツを見てくれということになったんです。
シャツが髭のせいでボロボロになってたんですね。

こんな状態のシャツをみんなは着ているんですということをラインナップで上司につたえると、数日後には全員のシャツが新しくなったりなど、そこは会社の責任だし会社は言うだけじゃなく、現場の意見を聞くというひとつの事例です。

身だしなみを通して、問題点をあぶり出していたようにも思います。
特に私たちはオープニングスタッフでしたから、私たちも先輩も上司も、洗濯のタイミングはどうしたらいいかというところまで考えていましたね。

 

【友松】:まさか、制服のシャツは自分で選択してアイロンがけしていたんですか?

 

【清水】:してましたよ。
でもそれもしなくてよくなりました。

 

【友松】:やっぱりそれはベーシック18番があったからですよね。

 

【清水】:それは大きいですね。
会社と現場の問題点を上手に見つけることができていたように思います。

 

【友松】:身だしなみは社会人の常識、なんて言うだけでなくベーシック18番を作って、ラインナップで意識付けをするようなことをしておかないと、乱れるわけですね。

 

【清水】:そうですね。乱れますし、乱れた時に上司がそれを解決しにくいというのもあります。

 

【友松】:ありがとうございます。こういう小さなところもベーシックにして定期的に確認できるようにしてみんなで意識付けしているところもリッツ・カールトンの凄さの一つだと思います。

 

【清水】:マスターといわれる人は、基本をマスターしている人がマスターなんだとある方が言っていました。
クレドを読んだところで特別なことは書かれていません。
当たり前のことしか書かれていないと私は思っています。

多くの人が基本的なことができていないから、そこを正すためにクレドに書かれているんだろうと思っています。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
今回のステップ4のインタビューはいかがでしたか?

身だしなみのルールって、社会人の標準の常識って感じで理解していないでしょうか。
それは良いことだとは思うんですが、でもそれは人に頼りすぎな危ういことだとも私は思います。

『身だしなみをちゃんとしろ』

と言っても、人それぞれで身だしなみの考え方は違うもの。
ベーシック18番のようなルールを作る。
そして作るだけでなく、定期的に確認をする。
そうすることで意識付けされる。

しかもスタッフ全員が共通の『身だしなみ』のルールをもっている。
だからお客様がリッツ・カールトンのどのスタッフを見ても統一感をもっているように感じることができる。
ということではないかなと思いました。

《つづく》

 

出演/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

 

インタビュアー/友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。

本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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