著者:友松はじめ
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クレド、リッツ・カールトン関連のビジネス書で3万部突破のヒット

社会人として大切なことはすべてリッツ・カールトンで学んだ(彩図社)』の作者、

清水健一郎氏に、クレドの作成、導入、また実際の運用や、会社、従業員、取引先、

そしてお客様や自分自身のプラスの変化など、クレドについて様々な視点からインタビューを行いました。

本からは得られない貴重なお話しをどうぞお楽しみください。

 

クレド導入と導入のメソッドで得られる効果

友松:クレドを導入する場合、トップがクレドを作る場合のクレドとスタッフが作るクレドではそれぞれどんな違いがあると思いますか?

 

清水:どうでしょうね・・・。やっぱり、壁というか溝というか、スタッフとは少しかけ離れたクレドができるかもしれませんね。これは両方に言えることです。

 

友松:清水先生も過去にそういった事例を体験しているんですよね?

 

清水:ありましたね。

スタッフ全員が、何かやってるの?という感じで、クレドを覚えていないし、そもそもクレドをバカにしていました。

例えば、リッツ・カールトンのマネだとか、機能するわけがないとか。

 

友松:そのときの経営者さんがどうしていたかが気になります。

 

清水:経営者と話していると、せっかくクレドを導入したのに、スタッフがまったくクレドを使っていないと愚痴をこぼしていましたね。

 

友松:経営者さんはクレドが浸透するような行動はしていたのですか?

 

清水:していなかったですね。クレドを作ったところで満足されていたようです。

 

友松:そうですか。では、スタッフがクレドを作った場合はどうでしょう?

 

清水:まずはいきなりクレドを作らせるというのではなく、クレドを作る『場』を用意するのが先だと思うんです。

社長とスタッフが一緒になってクレドを作った会がありまして。

その会社は、私も一緒にコンサルさせていただいた会社なのですが、全員和気あいあいとしていました。

 

この会社がよくなるのなら、やらない手は無いでしょう?

というような意気込みで取り組んでいました。

もちろん、クレドを作るときは経営者の存在は絶対に必要です。

 

クレドを作るとき、スタッフだけでは成り立ちませんし、もちろん、経営者だけでも成り立ちません。

 

友松:クレドは、経営者とスタッフが協力して作るもの・・・

 

清水:そうです。そうです。

スタッフも全員関われるのが理想ではありますが、規模の大きな企業さんであれば、

クレド導入の選抜メンバーを各部署から選出して進めていくという方法もあります。

 

友松:では、清水先生が考える、クレド導入に適した選抜メンバーとは、どんな方ですか?

 

■クレド導入のメソッドで、今ある企業理念を見事浸透させた事例

清水:過去の事例でお話しすると、あるメーカーの工場でのお話しなのですが、

新たなクレド導入ではなく、今ある会社の理念をスタッフたちにあらためて浸透させて会社を良くしよう。

という試みのお話しです。

 

当時の副工場長さんが中心となり、まず実行したのが、

工場の案内を担当している女性スタッフたちに、会社の理念浸透のリーダーになってもらい、

各部署に浸透させるようにしました。女性スタッフたちを理念浸透のリーダーにした理由は、

製造の部署が男性ばかりだったからでした。

 

副工場長がリーダーになり、理念を浸透させるよりも、

普段関わりが少ない部署の女性が自分たちの部署のリーダーになり、

笑顔で一生懸命がんばってくれることで、盛り上がると考えたわけですね。

 

そして、あっという間に結果が出たんです。

 

その工場では、年に何回か、ひろく外部の方たちを招いてイベントを行っているのですが、

その準備や開催期間中も何枚ものサンキューカード(ファーストクラスカード)が行き交ったそうです。

もちろん、そのイベントは大成功し、ある全国紙の関西版で、工場見学人気ナンバーワンになり、

副工場長は、グループで一番規模の大きな工場の工場長として栄転されました。

 

このとき私も大変勉強させてもらいました。

 

友松:それはスゴイ成功事例ですね!

では、今から会社を作ろうとしている人がクレドを導入する場合、

スタッフがいないかもしれませんから、誰にも相談ができないと思うのですが、

どのようにクレド導入をすすめたらいいでしょうか?

 

清水:思うようにクレドを作って、あとあと修正すればいいですよ。

立ち上げの時は、すごく大変ですしね。

 

■クレド導入で、理想の社員が育つ、集まる

友松:では、これはクレド導入後の話しになるのですが、

クレドを導入して新しいスタッフも自分たちのクレドを実践できそうだと思われる人を採用するようになったとします。

それでも、たまに「なぜ、こんな人が?」と思うような人が採用される場合もあるそうです。

 

これは、実際に私が見た話しでは無く、

高野登さんの著書『スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである/高野登(著)・岩田松雄(著)』

の中に書かれていたことなのですが、しっかりと面接して採用したにもかかわらず、

クレドに反する行動をする。

 

しかし数ヶ月後には、他のスタッフと同じようにリッツ・カールトンのホテルマンとして変貌を遂げる。とありました。

清水先生が実際にリッツ・カールトンに在籍中、そういったスタッフの方と関わってきたご経験を少し伺いたいのですが・・・

 

清水:現場で働いていて、なぜこんな人が?と感じる人は、たくさんいましたよ。

でも、クレドが合わない人は辞めていくんです。

そしてクレドを実践できる人が残っていきます。そういうものです。

 

ですから、友松さんが読んだ本に書かれていたスタッフも採用当初は

問題もあったかもしれませんが、厳しく忙しい業務の中で、

リッツ・カールトンクレドを実践できる人材だったと言えると思います。

 

友松:つまり、クレド導入で、理想のスタッフに育っていくし、

クレドを実践できる人材を採用することもできると言えますね。

 

それでは最後に、これも『スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである/高野登(著)・岩田松雄(著)』

の中に書かれていたのですが、スターバックスで騒ぐお客様はいない。と書かれていました。

実際本を読んだ後、あらためてスターバックスに行ってきましたが、

他のお客様のことを考えずに騒ぐ人はいませんでした。

 

しかしそこにいるお客様は、お店を出れば、バーゲンセールで商品の奪い合いもするはず。

でもスターバックスでは静かにコーヒーを楽しむ。

これはどうしてなのでしょうか?

 

清水:リッツ・カールトンでいうと、これはモットーですね。

『紳士淑女をもてなす私達も紳士淑女です。』ですね。

このモットーは、リッツのスタッフを紳士淑女として育てているだけでなく、

実はお客様も紳士淑女として育てています。

 

例をあげると、

私が日頃仲良くさせていただいているスナックのママのお話しなんですが、

初めて来たお客様がママに、「このお店はどんなお店なの?」と聞かれると、

必ずこんなお話しをお客様にするのです。

 

「私ね、この店に来てくれるお客様に本当に感謝しているの。」

「品がよくて、お金払いがよくて、他のお客様にも気遣いする素晴らしい男性がうちのお店には多いのよ」

 

と言うと、初めてのお客様も不思議と同じようなお客様になるのです。

お店が合わない方は来なくなります。

 

リッツ・カールトンは、紳士淑女が集まるところ。

 

例えば、子どもだと、

お兄ちゃんだね。とか、お姉ちゃんだね。こんなことが出来るんだ!すごいね!と

声をかけてあげることで、子どももそうなるじゃないですか。

 

つまり、こちらから相手に理想のイメージをする。

 

先ほどのスターバックスの話しですが、スタバでワイワイ騒ぐのは恥ずかしい。というイメージがありますよね。

品良く静かにコーヒーを楽しむというスタイルが定着しています。

 

友松:こういったことが出来るのが、クレドだと思いますが、いかがでしょうか?

 

清水:そうですね。それに、これはスタッフを守ることにもつながります。

問題を起こしそうなお客様は自然と来なくなりますからね。

 

だから、こんな意味があるのです。

  • スタッフのあるべき姿はこうですよ。
  • お客様のあるべき姿はこうですよ。

ここはこういうお店だから。ということですね。

 

友松:わかりました。

でもそういったモットーって、店内に掲げたり、お客様に伝えたりしませんよね。

でも、どうしてそれがお客様に伝わっていくのでしょうか?

 

清水:お客様はスタッフの鏡なんですよ。

だから、良い接客をしたらお客様は笑顔になるし、

悪い対応をしたらお客様は悪い気分になります。

そいうものです。

 

 

次号につづく

 

 

出演/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

インタビュアー/友松はじめ

クレド勉強会 友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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