著者:清水健一郎
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今回は、

書籍「リッツ・カールトンと日本人の流儀」
人を動かす「洋の言葉」と「和の心」

を元に、私清水の目線でそのエッセンスを抽出してお伝えしたいと思います。

本日は第二章。
「人を動かすトップの流儀」です。

今回のポイント

著書の高野氏が、1994年リッツ・カールトン日本支社長として、アメリカから日本に戻る際に、リッツ・カールトン初代社長ホルスト・シュルツ氏に教えられたリーダーとしての教えを紹介されています。そんなリーダーとしての教えを、私自身が経営者ということも含め、清水なりの意見を加えご紹介させていただきます。

リーダーにとって大切な「勇気」とは?

日本初のリッツ・カールトン開業を託された高野氏は、帰国前に初代リッツ・カールトン社長シュルツ氏と話す機会があり、その時のシュルツ氏の言葉が、

「トップになるときのコミットメント(腹の決め方)は3つある。それは、Love(愛)、Passion(情熱)Courage(勇気)。この3つをなくした者はリーダーではない」

そこで、高野氏は、

「その中から、あえて1つを選ぶとしたら、リーダーとして中心に持ってくるものはなんですか」と言う質問をします。

それに対し、情熱の塊のようなシュルツ氏は静かに

「Courage(勇気)。リーダーにとってもっとも大事なこと。それは、Courage(勇気)だ。Courage(勇気)は語ることもむずかしいが、実行するのは、もっとむずかしい。」と答えたそうです。

私も心から納得できます。

リッツには、エンパワーメントと言うスタッフが認められている権利の1つに「1日2000ドルまでの決裁権」があります。
スタッフ一人一人がより良いサービス実現のために自身の判断で使う事の出来る予算です。

シュルツ氏が、この決裁権の導入を提案したときリッツ・カールトンのオーナーは「ホルスト、気は確かなのか!」と声を荒らげたそうです。

それでも、幹部を説き伏せてやると決め、シュルツ氏は社員を本気で信じ切る覚悟を決めたのです。

もちろん、当時4万人の社員がいれば少なからず不届き者が来ることもすべて受け入れる覚悟をきめたのです。

勇気とは覚悟?

ここで、少し横やりの様に思われるかもしれませんが、私清水の意見を言わせていただきます。

私は、これから独立する方、修業のため住み慣れた地元を離れようとしている若い方の相談を受ける度に私はこう言います。

「勇気はいらない。」と。
「今、あなたに必要なのは覚悟です。」

以前、私が経営する飲食店を辞めて、料理の修業のため東京の二つ星のレストランに飛び込んだ従業員に対して私が最後に言った言葉は、

「お前なんかボコボコにされて、ボロボロになったらええ。
だって、これから修業に行くんだろ、試練を求めて乗り越えて、もっと大きくなる為に出ていくんだろ、だったら、当然ボロボロになると覚悟を決めて行け、でっかくなったお前をみたい。」

その時、私は「勇気はいらない。」と思っていました。

戦国武将達が、なぜあんなにも強く生きることができたのか、私は「戦に行く勇気」ではなく、「戦で死ぬ覚悟」があったからだと思います。

子供を産んだ女性が急に強くなるのも、「どんな事があろうと子供を守る」と覚悟を決めるから女性は強くなる。母になる。と思います。

むしろ、覚悟を決めるから勇気が生まれると思うのです。
ですから、従業員に言った「当然ボロボロになると覚悟を決めて行け」は、覚悟を決めることで、厳しい修業に出る勇気が生まれたと思っています。

ですから、今回、Courageを勇気と訳されていますが、私はもしかしたらシュルツ氏は、「覚悟」と言う意味でCourageを使われたのではないか?と思うのです。

Courageを辞書で調べてみると、「危険・苦難・不幸にあっても恐れず不安を抑えることのできる勇気,度胸」とあります。

(※あくまでも、私の考え方です。)

高野氏は著書のなかで、
「トップが全てを受け入れる覚悟を決めることです。」と言っています。
上記のシュルツ氏の覚悟、厳しい修業にでる従業員の覚悟、戦国時代の武将でもそうです。

覚悟を見せなければ、だれも命がけで戦ってはくれません。

覚悟を決めた時、覚悟を決めた自身だけでなく、周りも人達も初めて心から動きだすのだと思います。

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