著者:清水健一郎
Pocket
LINEで送る

私には大切にしている考え方がいくつかあるのですが、その中に、

「物を大切に扱うことができない人は、人を大切に扱うことはできない。サービスのプロは、物を大切にしている。」

という考え方があります。

この考え方は、特に社会人になって本当に大切にしてきました。
もちろん、私の場合は、リッツで叩き込まれたのですが、サービスのプロ、ホスピタリティ産業、だけではなく、感性を必要としている仕事ならどんな仕事にも当てはまるのです。

例えば、プロ野球のイチロー選手もそうです。

イチロー選手が、バットやグローブをとても大切にしていることは有名な話ですね。
道具の手入れをしてくれる専属スタッフがいるなかで、イチロー選手は、自分で毎日手入れをするそうです。
そして、三振したって、絶対にバットを地面に叩きつけない。
打って走るときも、そっと地面にバットを置きます。
打ったときにそっとバットを置きます。

バットの木は、 自然が何十年もかけて育てています。
僕のバットは、この自然の木から手作りで作られています。
グローブも手作りの製品です。
一度バットを投げた時、 非常に嫌な気持ちになりました。
自然を大切にし、 作ってくれた人の気持ちを考えて僕はバットを投げることも地面に叩きつけることもしません。
プロとして道具を大事に扱うのは当然のことです。

そして、道具を使えることに感謝すること、それこそ野球がうまくなるコツだと言っています。

この話を最近、剣道を始めた私の息子にしたのですが、ポカ~ンとしているので、いちおう剣道有段者の私が息子に、

「竹刀は野球で言うバットやグローブみたいな物だろ、剣道がうまくなりたいなら、竹刀が自分の体の一部だと思えるくらい毎日、毎日、竹刀を振らないと、自分の体の一部の様に動かせない。つまり、竹刀、道具、物は自分の体の一部だから大切にしないと上達しない。自分の道具、物を大切にしていない人は、自分の体を大切にしていないのと同じ、そんな人いたら嫌だろ?近づきたくないだろ?
そして、もしパパがその竹刀を作ったら大切に使うだろ?
でも、この竹刀は、顔も名前も知らない人が作ってくれたものだけど、パパが作るのと同じくらい、使う人の事を思って作ってくれたんだよ。」

と言うと、少し理解してくれたようで、「うん、大切に使う。」と言ってくれました。

林田さんは、著書「心のこもったおもてなしを実現するサービスの手帳」の中で、

どのような物も、人の手によって作られ、今、あなたの手元にあるのです。そこへ想像力を巡らせて、心を込めて扱うことができる人が、人との対応に心を込める事ができるのです。

とても大切な考え方であると同時に、私達は生まれた時から、作ってくれた人の名前、顔を知らずとも感謝を忘れてはいけない。と言う事を教えられてきたと思います。

食事の前の「いただきます。」や神への感謝の祈りなど、歴史、国境を越え、人種、宗教を越え、人として自然と身につけた事、今一度、大切なものとして考えてみるのも良いのではないでしょうか?

そして、会社やお店も、同じように大切にしてもらうためには、まずあなたが、誰よりも会社やお店を大切に扱うことをしていただきたいと思うのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加