【業務マニュアルとクレド2】あたりまえで漠然としているといいサービスができる理由/クレドサクセス実践ブログ
業務マニュアルとクレド
前回のコラムに、「クレドカードには当たり前の事しか書かれていない。」と言うお話をさせていただきました。
もう一つ、クレドカードを初めて手にした方が思う事があります。
それは、「漠然とした書き方がされている。」と、言う事です。
「お客様への心のこもったおもてなし」や業務的な事では、ベーシックの11番「妥協のない清潔さを保つのは、従業員一人一人の役目です。」
では、なぜ漠然とした書き方をしているのか?
「お客様への心のこもったおもてなし」ですが、私のおもてなしと、あなたのおもてなし、あなたの後輩のおもてなし、と、皆違っているかもしれません。
もし、あなたの会社のスタッフが、皆さん一律に同じおもてなしを提供できたら、それはそれで、素晴らしい経営であり教育だと思います。
しかし、お客様からすると、スタッフの個々の「心のこもったおもてなし」を経験してみたいのではないでしょうか?
個人個人違う人間ですし得意な事も不得意な事も違います。自分の一番の「心のこもったおもてなし」とは、やはり、個々の人間性、個性が出た「おもてなし」になるのではないでしょうか?
その個々の人間性、個性が出た「おもてなし」を前回、ご紹介させていただいた質問から引き出していくのです。
もし、質問した際、後輩がズレた「おもてなし」を提供しようとしていたら、質問した時に修正してあげる事ができます。
つまり、業務マニュアルは、会社の色、経営哲学に添った形で、スタッフが一律の「おもてなし」を提供するには良いツールだと思います。
しかし、個々の個性を生かし、自分の一番の「おもてなし」を提供するにはマニュアルではなく、クレドが必要なのです。
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
以前、戦略を学ぼうと思って、ランチェスター戦略を学びに行ったことがあります。私は福岡在住なので、竹田先生のランチェスター戦略が近いのです。
と、それはいいとして、竹田先生がおっしゃっていたのは、戦術は見えるが戦略は見えないということでした。戦略と思っていることが実は戦術だったということが結構多いと。
たとえば、テレビCMやDMは戦術です。お客様をお名前でお呼びするのも戦略です。
クレドカードだって戦術で、たぶんクレドも戦術です。
リッツ・カールトンもわざとやっているわけではないのでしょうけど、クレドカードにはあたりまえのことを書いているから、クレドカードの内容に期待していた多くの人たちをガッカリさせたんだと思います。
私も、清水先生からラインナップの指導をしてもらわなければ、クレドカードにあたりまえのことしか書かれていないことにガッカリしただろうと思います。
実際、ガッカリしましたし。
でも、クレドカードはあたりまえのことしか書けないでしょう。
事細かく指示を書くこともできたはずですが、そうすることでスタッフの個性を活かす機会を奪うことになりますし、リッツ・カールトンのサービスレベルも上がっていかないと考えます。
ワオストーリーなんか、絶対生まれてないですよ。
あたりまえのことだけを書いて、後ラインナップで、
クレドカードに書いてあることをもとにして、
「君の考えるおもてなしってなんだ?」
「じゃあ、そのおもてなしを実現するために何をやってる?」
といったことをラインナップリーダーとディスカッションして、クレドカードには載らないリッツのサービスが作られていくのです。って清水先生から聞いたんですけどね。
でも、実際にクレドを作って、ラインナップをやることで、たった10分でもカードにかかれた、例えばベーシックの1つが腑に落ちることが何度もあります。
もちろん、まったく響かない日もあります。
しかし、響かなかったときはなぜ響かなかったおだろう?と考える機会ができます。
私が在籍していた以前の会社であてはめれば、クレドを作り、各部署単位でベーシックを作り、毎日始業前20分を使ってラインナップができたらサービスレベルは上がっただろうし、新人やアルバイトまで意識を高く仕事ができたろうと思います。
それに、クレドを作ってラインナップまでの仕組みを入れるのに自分たちでできるのですから費用もほとんどかからないというのが驚きです。
ただし、新しいことをやろうとすると、社内に抵抗勢力が生まれますから、そういう人たちもクレドを受け入れてくれるような準備をしなければなりませんが、それもすでに方法があります。
全部、クレド導入マニュアルに書かれています。
クレドには興味はあるけど、導入はまだまだ。と思っている経営者の方もとりあえず、会社の書棚にマニュアルを置いていつでも読めるようにしておくのもいいと思います。
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。