リッツ・カールトンのように感動のサービスを量産する『ミスティーク』の使い方 / クレドサクセス実践ブログ
クレド、リッツ・カールトン関連のビジネス書で3万部突破のヒット
『社会人として大切なことはすべてリッツ・カールトンで学んだ(彩図社)』の作者、
清水健一郎氏に、クレドの作成、導入、また実際の運用や、会社、従業員、取引先、
そしてお客様や自分自身のプラスの変化など、クレドについて様々な視点からインタビューを行いました。
本からは得られない貴重なお話しをどうぞお楽しみください。
ザ・リッツ・カールトン・ミスティークのエピソード
友松:ザ・リッツ・カールトン・ミスティークに関して、印象に残ったエピソードはありますか?
清水:34階にクラブラウンジがあるんです。
う~ん、これはザ・リッツ・カールトン・ミスティークと言えるかは分からないのですが、お客様の小さな情報も共有している一つの例としてお話ししますね。
一人のお客様がクラブラウンジにいらっしゃったのですが、その方はパフェが好きという情報を得ていました。
パフェはクラブラウンジのメニューでは無かったのですが、さりげなくお客様にパフェを提案したところ、すごく喜ばれたということがありました。
友松:そのお客様がパフェ好きという情報はどうしてご存じだったのですか?
清水:だれからの情報かは、その時も分からなかったのですが、すでに共有されていました。
友松:そのパフェ好き情報、どうやって入手したんでしょう?
清水:スタッフの誰かが入手したのは間違いありません。入手した後、速やかに伝達、共有された情報ですね。
パフェをお持ちした後に分かって驚いたのですが、そのお客様は女性で、お名前は言えませんが有名な漫画家の方でした。
友松:えー!すごい!
清水:後日談ですが、その漫画家の方が雑誌のインタビューでこのリッツでの出来事を書いてくださっていました。
友松:その他にザ・リッツ・カールトン・ミスティークのエピソードはありますか?
清水:う~~~ん。ミスティークですよね。正直、覚えて無いですよ。(汗)
ザ・リッツ・カールトン・ミスティークをやろう!と思ってお客様にサービスしていた訳では無いですからね。
初めてのお客様なら一つでも多く、お客様の事を知ろうと自然に考えをめぐらせて行動しますし、
常連のお客様であれば、今ままでの情報から少しでも快適に過ごしていただくようサービスしますしね。
どのお客様にも真剣でしたから、そういう理由で、覚えていない、
いや、どれがミスティークだったということが言えないのだと思います。
友松:あまりにも普通にミスティークをやっていたんでしょうね。
清水:そうかもしれません。
本に載っているような凄いことをやっていたという意識は、リッツ・カールトンに在籍していたときはまったく感じませんでした。
それよりも、「あぁ、凄いことをやっていたんだな」と気づいたのは、地元に帰ってきてからですね。
リッツ・カールトン在籍時に、日常的にやっていたこととしては、これは私の著書にも書いているのですが、
ワインをあまり飲み慣れていなんですけど、というお客様にいくつか質問をして、
そのお客様の好みのワインをお出しするということもザ・リッツ・カールトン・ミスティークと言えるでしょう。
お客様は驚いて「どうして好みが分かったの?」と聞かれるのですが、
これが好きなのではないかなと思って・・・とお応えしていました。
質問といっても、多くて3つくらいですけどね。
友松:その時、そのお客様に喜んでもらおうなんて考えることも無く、やってた・・・?
清水:そんなわけないじゃないですか(笑)。
でもめちゃくちゃ喜んでもらうぞ!ということはないです。当たり前にやっていました。
でも、ザ・リッツ・カールトン・ミスティークって言ったって、いつもやっていることの一つですからね。
友松:この一期一会の時間を心地よく過ごしていただこうと・・・?
清水:そこまでも思ってない。(笑)当たり前のことしかやっていないと思っているから。
友松:リッツ・カールトンのスタッフは、心くばりが自然にできていると本で読んだことがありますが、まさにそれですね。
もう、ザ・リッツ・カールトン・ミスティークが染みついているんだなと思いましたよ。
でも、普通にできることではないと思いますよ。
清水:本を出版したり、コラムを書いたり、相談にのったりしていて思うのですが、
ザ・リッツ・カールトン・ミスティークや感動のサービスをみんな意識しすぎているなと感じます。
ミスティークや感動のサービスという表面的なものじゃなくて、
もっと本質的なところを育てていくようにしていくのがいいのではないかと思うんです。
結果的に、お客様が喜んでくれて、ミスティークや感動のサービスと言われるわけですから。
あと、時代の流れにも対応していけると私は思います。
お客様との絆を作るサービスをしていかないと、お店は長く続きませんからね。
友松:絆を作っていくサービスって言いましたけど、これって人に頼るところってあるじゃないですか。
コミュニケーション力が高いスタッフは絆作りが自然にできて、無愛想なスタッフはできないというような。
でも、リッツ・カールトンでは、ミスティークや感動のサービスが誰でも均一にできたわけですよね。
ですから、リッツ・カールトンとリッツ・カールトンじゃないところの違いで、
スタッフ全員が絆を作るサービスができるようになるには、『クレドのようなもの』が無いと不可能なのでしょうね。
清水:それも分かります。
友松:つまり、スタッフの行動指針ですよね。
『クレドのようなもの』があって、ラインナップがあって、毎日行動指針をベースにディスカッションを通して
スタッフが教育されていくから、スタッフのサービスレベルは均一になるし、均一になるだけでなく、
外から見てもレベルが高いサービスができるようになる。
多くの会社やお店では、個人の力に頼っていることって多いじゃ無いですか。
でも、その人が辞めてしまうと、コアコンピタンスと思っていたサービスもできなくなってしまう。
でも、これは多くの経営者も分かっている共通の悩みですし、
それを解消する一つの方法が『クレドの導入』ですね。
清水:リッツだって個性の強い人たちが集まっていましたよ。
ですから、そんな人たちを上手にまとめていく・・・
友松:それがクレド?
クレドが無いと、どうやってまとめていっていいか、分からないですよね。
それに、人が変わるごとに、業務内容が変わってしまうこともあるでしょうし。
清水:それもありますし、どこを目指してサービスをしたらいいのかも分からないですし、
職場に一貫性が無くなるんです。
オレがオレが、わたしがわたしが、では成り立たなくなるんです。
友松:そうですね。
一人できるAさんというスタッフがいたとして、経営者がAさんをリーダーにして、
『Aさんのようなサービスレベルになるように』なんて言ったとして、
リッツのような均一なサービスができるとは私は思えません。
ですが、クレドがあって、クレドを中心としたサービスをみんなでやるように。
と言われれば、みんなが協力して取り組むような気がするのですが・・・
清水:そうだと思います。
そうそう、最後にザ・リッツ・カールトン・ミスティークについて、もうひとつお話しすると、一般的なサービス業の方が、
ミスティークを導入しようとするとき、思い浮かぶのが、某お笑い芸人の焼き肉屋さんなんですが、
サービスするときは『おかんの気持ち』になれと指導しているそうです。
私たちの一番落ち着く場所は、実家じゃないですか。
妻や子供が待っている自分の家も、人によっては本当に落ち着く場所じゃない場合がありますよね。
友松:そうですねぇ・・・。(汗)
清水:実家に帰るとするじゃないですか。そうするとおじいちゃんとおばあちゃんがいます。
子どもは、おじいちゃんとおばあちゃんが子守をしてくれる。
おかんは、自分の好みを分かってますよね。
ゴロゴロしていても『あんた、ビール飲むか?』と言ってくれて、
ビールの好みも分かってくれている。
ご飯も食べたい物のリクエストを言わなくても『あんた、これ好きやったやろ?』と言って、
自分の好きなものを出してくれます。
お風呂だって『あんた、熱いの好きやったなー』と言って準備してくれる。
つまり、第二の我が家というのは、自分の家ではなく、
自分の両親がいる実家『我が家』というイメージでいたほうが分かりやすいと思います。
それをお客様に応用すると『ザ・リッツ・カールトン・ミスティーク』になるなと思います。
友松:もし私が『おかん』だったらと思ったら、分かりやすいかもしれませんね。
清水先生、今回もありがとうございました。
次号につづく
出演/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。
インタビュアー/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中