著者:清水健一郎
Pocket
LINEで送る

心のこもったおもてなしを実現する。
ホスピタリティを実践する。

もちろんそのためには、心のこもったおもてなし、ホスピタリティを理解し身につけたうえで実践に移すべきです。

サービスパーソン側が良かれと思って、お客様に提供したサービスが逆にお客様を不快にさせてしまう。お客様のお怒りを買う。なんてこともあると思います。

私も若い頃、そんな失敗を何度も経験しました。
意気込みと言いますか、「心のこもったおもてなしを実践する。ホスピタリティを実践する。」と言う気合いだけは誰よりもあったので、誰よりも失敗してしまったのです。

断っておきますが、決して失敗する事はダメな事ではありません。
どうせなら若ければ若いうちにたくさん失敗する事をおススメします。

私の場合はリッツでサービスを提供する、という、様々な方が集まり、その場での即時対応が求められる仕事ですので、色々なシーンでの対処法を身を持って身につける事ができたことは、今何よりの財産となっています。
私の同期達は、私の失敗を見て身につけていましたが・・・(笑)

「二度と来ない!」と叱られた出来事

私が入社一年目、まだ20歳の時です。

先輩サービスマンのアシスタントとして、二人で一つのフロアの接客についた時の話です。
あるご夫婦のお客様が結婚記念日でご来店されました。

最初は、「料理が美味しい。」「素敵な雰囲気。」「今日は結婚記念日でリッツに来た。」と、お酒も入り上機嫌のご様子でニコニコと私に話かけてくださいました。
しかし、私の一言でご夫婦はお怒りになり、アンケートに「もう、二度と来ない!」と書いて帰られたのです。

では、その一言とは?

私が発した一言というのは、

「今日は、店で一番のお席にご案内させていただきました。」

です。

もちろん、私はご夫婦を喜ばせようと思って口から出た言葉でした。
しかし、お二人からすれば、

立って仕事をしているスタッフからすれば、店内が一望できる席でも、座って食事している私達にとってはそうでもない。それを、分かっていないのか?一度も、この席に座ってみたことがないのか?

という事でした。

当時、そんな指摘をいただいた私は、「すいません。」の一言しか言えなくなってしまったのです。

「すいません。だけか?で、どう対応してくれるの?ここは、リッツ・カールトンなんだろ。」と、どんどんお客様のいら立ちが大きくなっていったのです。

この経験を経て、「気合いだけじゃダメだ。」と、いう事を学びました。

今でしたら、席選びから注意します。
カップル、ご夫婦は、お二人の世界が作れるお席にする。
もし、その席が他の予約状況で御用意できないのであれば様々な工夫をします。
近くの席に団体のご予約を入れない。同じカップル、夫婦のご予約をいれフロア全体を愛に満ちた空間、空気感にするなど様々です。

では、私のように失敗せず、かつ、ホスピタリティを身に付けるには、どうしたらいいのか。
私の恩師、林田さんは著書の中で「ホスピタリティを実践するには、三つの要素を順に身につけていく必要がある」と仰っています。

ホスピタリティを身に付ける3ステップ

その三つとは、この三つ。

1.基本マナー
お客様に不快感をあたえず、好感を持っていただける身だしなみや言葉遣い、挨拶と言った基本的なマナー2.気くばり
「今、お客様はなにを求めてらっしゃるのだろうか」と考える。隠れたニーズまでも汲み取る。3.心くばり
自分の家族と同様に大切な存在として心をくばり、お客様1人ひとりに合わせたパーソナルなサービスを提供する。

私が失敗したのも、なるほど納得せずにはいられません。

当然のことのようですが、当たり前を当たり前に。それが素晴らしいサービスを生み出す大切な要素です。

ぜひ、ラインナップなどでも、このテーマを取り扱ってみてはいかがでしょうか?
きっと、大きな変化が起こるはずですよ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加