著者:清水健一郎
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最近、「ホスピタリティ」と言う言葉、概念がホテル業界、サービス業だけでなく、行政、流通、金融、教育、製造と言った場所でも意識される時代になったのではないでしょうか?

今回、ご紹介させていただくのは、元リッツ・カールトン支社長高野登氏の著書「リッツ・カールトンで育まれたホスピタリティノート」。

この著書では、前書きの冒頭に高野氏から
「ホスピタリティの実践を目指す仕事のプロたちへ」
と、あります。

この本を私が読んで感じた事は、そんな「プロ」を日本で一人でも多く育てる使命を持って執筆されているように感じました。

そこで、今回は、ホスピタリティの持つ凄さや素晴らしさ、育て方などに焦点をあて、高野氏の考えるホスピタリティを清水なり考えてみたいと思います。

まずホスピタリティとは?

高野氏は著書の「まえがき」の中で、「人と人とのコミュケーションから生まれる温かいおもてなしの心、それが『ホスピタリティ』であり、・・・」と、書いています。

そして、あとがきに「『ホスピタリティ』の神髄は、自ら行動を起こすことにあると思います。」と、あります。

そんな「まえがき」と「あとがき」から私が導き出しのたのは、「ホスピタリティとは、人と人とのコミュケーションから生まれる温かいおもてなしの心であり、その神髄は、自ら行動を起こすことにある。」

と、いう考えです。

実際、この著書で紹介されている素晴らしホスピタリティ事例の数々は、従業員や経営者など、立場は違えども温かいおもてなしの心を持ち、自ら行動を起こし人を感動させています。

これを踏まえてホスピタリティを考えてみたいと思います。

●ホスピタリティのある若手スタッフを育てる。

この高野氏の著書に書かれている「若者へのアドバイス」的な内容は、実にありがたく思います。

既に読まれたことのある方は、おそらく、日ごろ従業員に対して、言いたくても言えなかったり、言っても伝わらなかったり、そんな従業員に、「この本のこの部分を読ませたい。」と思った方は少なくなかったのではないでしょうか?

例えば、著書の中の例に、レストランのウェイターの話がありましたが、水や料理を運ぶ作業だけをして、「お客様に喜んでいただくには?」と考えないスタッフと、「お客様に喜んでいただくには?」と考えて料理やワインの勉強をするスタッフとでは、3年、10年後。誰が見ても分かる程の大差がついている。と、書かれています。
二人の違いは、同じ職業でもホスピタリティを持っているか、もっていないかです。

私は、こういった話を聞くと小林一三氏(宝塚歌劇団、阪急阪神東宝グループの創業者)の言葉と、豊臣秀吉の草履取りの話をセットで思い出します。
「下駄番を命じられたら、
日本一の下駄番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下駄番にしておかぬ。」 -小林一三

また、豊臣秀吉が織田信長の懐で草履を温めた話は有名ですね。
当時、日本一の草履取りであり下駄番であった秀吉は、信長に気に入られすぐさま草履取りから昇格、草履取りから、ゆくゆくは天下人になりました。

この秀吉の話、ものすごく高野氏の言うホスピタリティを感じませんか?
天下一の豊臣秀吉は、天下一のホスピタリティの持ち主だったと私は考えます。

私が高野氏の著書と秀吉のエピソードに共通して感じる事。

若手スタッフに伝えたいと思う事は、「仕事をすると言うのは、人として成長し、家族、会社、ゆくゆくは社会に貢献する事に繋がっており、それは一朝一夕で成しえるものではなく、日々の努力の積み重ね」と、いうことです。

ホスピタリティのある上司、経営者こそリーダー。

私が初めてこの著書を読んだ際、力がみなぎるのを感じた記憶があります。

それは、リーマン・ショックから1ヶ月後、リッツ・カールトン社長サイモン・クーパー氏が、各地域のリーダー達に送ったメッセージでした。

「難しい時代だ。しかし、いい時代ともいえる。そして間違いなく面白い時代だ。まさに本物しか生き残れない時代になった。偽物はみな消えていくだろう。本質を見抜く力が試される。穏やかな海でたくましい船乗りが育つことはないのだ。これを機に、自分達の経営センスや感性をさらに磨こう。そして、この荒波を乗り越える醍醐味を共に味わおうではないか!」

当時、私が飲食店を経営する彦根市もリーマン・ショックの影響はひどく、派遣切りや閉店する飲食店が後を絶ちませんでした。
私も経営者の1人です。そして、元リッツ従業員だった事もあってか、この言葉が私の心にスッと入り込み力をあたえました。

3つの共通点

著書の「まえがき」で高野氏は、一流の人の「3つの共通点」にふれています。

・周りに対する気配りが中途半端ではない。
・常に自分の部下やスタッフを盛り上げようとする。
・自分もワクワクと仕事や人生を楽しんでいる。
つまり、自分も周りの人も幸せになる、まさに「仕事のプロ」の方たちの業だとおもいました。実は、これこそホスピタリティの原点なのです。
(抜粋)

サイモン・クーパー氏も豊臣秀吉も、この「3つの共通点」を持っていると思いませんか?

ゆえに、ホスピタリティを持つ者こそが、リーダーなのです。

今回は題名にあるホスピタリティについて、私なりの考え事例を含め書かせていただきました。

「ホスピタリティ」と聞いて、病院やホテルを想像する方は少なくないと思いますが、リーダーや経営、人生の成功まで、ホスピタリティが関係しているとは気づかなかった方も、ぜひ一度、ホスピタリティについて考えてみていただきたいと思います。

もちろん、ご紹介できなかった素晴らしい事例の数々、高野氏からのメッセージは、購読される事をおススメします。

社会にホスピタリティを広める事は、素晴らし社会を創ると言う事だと著書を通じて私は思いました。

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