著者:友松はじめ
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THE NEW GOLD STANDARD
ゴールド・スタンダード/ジョセフ・ミケーリ(著)

こんにちは。
クレドを研究している友松です。
今、ゴールド・スタンダードという本を読んでいます。

この本は翻訳本です。
そしてリッツ・カールトン本社を中心にキーマンになっている人たちにもインタビューした、まさにリッツの舞台裏を教えてくれる、とても楽しい本です。

6章の「他人に焦点を当てたビジネスを作り上げる」を読んでいます。
今回は日本的なサービスの逆輸入のようなお話です。

 

マルコムボルドリッジ賞

前回の記事で『世界の一流企業の知恵』というワードが出たのですが、これはマルコムボルドリッジ賞のことでした。最初はマルコムボルドリッジ賞に応募する予定はなく、モトローラやゼロックスやIBMなどの一流企業から学ぼうとしたそうですが、自分たちが一流企業のようにサービスの品質が世界基準になっているかを確認するために1991年に応募して1992年に1回目のマルコムボルドリッジ賞を受賞したのだそうです。

■マルコムボルドリッジ賞

アメリカ国家品質賞ともいう。

1980年代、製造業を中心に日本および西独等の海外の企業が市場を席巻し、米国国内に危機感が高まった状況下で、米国の復活のため政府による規制の緩和や税制優遇等により競争原理が全面的に機能するような環境の整備と、企業経営者向けには競争力向上に取り組むように啓蒙活動が行われた。

この活動の中で1987年に当時のマルコム・ボルドリッジ商務長官が中心となり制定した「国家品質改善条例」が、この賞の元になっている。

ボルドリッジ商務長官は条例制定後事故死したが、ボルドリッジ氏の貢献をたたえる意味で1987年に制定された賞の名前が命名された。(Weblio 辞書より引用)

従業員に1日1人2000ドルの裁量を与えたエンパワーメントは、あまりにも有名な仕組みですが、このエンパワーメントも実はマルコムボルドリッジ賞の研究から生まれたものだと知りました。

アルシン・テクノロジースとソレクトロン・コーポレーションという2つの会社を研究している時にこの2社では高品質な商品とサービスを提供するために従業員の力を結集させる参加型の経営手法というのを採用しているそうでそれをヒントにエンパワーメントのアイデアが出てきたそう。

前回、『企業文化』、『上質なサービス』、『従業員のエンパワーメント』は人が中心でないとできないがそればかりだと売上達成等のプロセスが弱くなる。プロセスを強くするためにもトップダウンではなく調査からの結果を重視するということでしたが、それはマルコムボルドリッジ賞を参考にするようになってからなのかもしれません。

リッツ・カールトンのサービスは画期的なものが多いですが、そんなサービスを次々に考え出せるのもプロセスがあり、そのプロセスはゼロックスの『品質改良の6ステップ』を参考にして作ったとのこと。

ちなみにチョット話はそれますが、アップルの創業者スティーブ・ジョブズは、今私たちがあたりまえに使っているパソコンのデスクトップやマウスのアイデアをゼロックスが開発したコンピューターからえたという話があります。

リッツ・カールトンがゼロックスからアイデアをえたと知って思い出してしまいました。

さて、日本の自動車や電化製品の品質の高さを目の当たりにしたマルコム・ボルドリッジさんが「日本にできて、なぜ我々にできないのか」ということで徹底的に調査して日本製品に負けない品質基準を作ったのがはじまりと今読んでいるゴールド・スタンダードに書いていました。

そのマルコムボルドリッジ賞から学んだリッツ・カールトンから今、日本がホスピタリティやサービスを学んでいるというのはおもしろいなと感じます。
リッツ・カールトンのホスピタリティのあるサービスは日本人的だと思っているのでなおさらです。

ちなみにリッツ・カールトンは、1999年にマルコムボルドリッジ賞に再応募して2回目の受賞をしています。
サービス部門で2度の受賞はリッツ・カールトンだけだそうです。

 

ギャラップQ12

従業員のエンゲージメントを評価するためにギャラップQ12も採用してました。
ここでのエンゲージメントとは、従業員が会社に感じるつながりがどれくらいあるのかということだと思います。

■ギャラップQ12

ギャラップQ12:従業員エンゲージメント評価
1.職場で自分に何が求められているかわかっている
2.仕事を適切に行うために必要な材料や道具類が揃っている
3.毎日最高の仕事ができる機会に恵まれている
4.最近1週間で、仕事の成果を認められたり、褒められたりしたことがある
5.上司や仕事仲間は、自分をひとりの人間として認めて接してくれている
6.自分の成長を後押ししてくれる人が職場にいる
7.職場で自分の意見が尊重されている
8.会社の使命/目的にとって、自分の仕事が重要だと感じている
9.同僚は質の高い仕事をするために努力している
10.職場に親友がいる
11.過去6ヶ月の間に、自分の進捗について誰かと話し合ったことがある
12.昨年、自分を成長させる機会を与えられた
(160~161ページから引用)

こうやってギャラップQ12で調査して会社はその調査結果で改善する。
従業員のエンゲージメントを会社が大切にすると、従業員がお客様を大切にするようになるということでした。
従業員満足やお客様満足を考えている経営者の方はギャラップQ12を取り入れてもいいのではないでしょうか。

 

まとめ

昔読んだ本でクリエイターの名著といわれる『アイデアの作り方』の中で、新しいアイデアは既存と既存の組合せと書かれていました。
ゼロから生み出すというよりもすでにあるものから発想をえる。
リッツ・カールトンもそうだったんですね。

一流を目指しているので自分たちの業界の一流を参考にするのはもちろんですが、他業種の一流を参考にする。具体的に参考にするためにマルコムボルドリッジ賞のような品質基準を取り入れる発想はいい意味で効率的だと感じました。

 

ゴールド・スタンダード/ジョゼフ・ミケーリ(著)

 

 

記事/友松はじめ

クレド勉強会 友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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