改めて「三方よし」を考える。日本で大切にされてきた地域と企業のあるべき姿の「型」
本日は、
を元に、わたくし清水の視点でそのエッセンスを抽出し、お届けいたします。
著書の題名は、「リッツ・カールトン「型」から入る仕事術」とありますが、仕事の「型」に入るまでに、第一章では日本で大切にされてきた地域と企業のあるべき姿の「型」が紹介されています。
今回は、この「日本で大切にされてきた地域と企業のあるべき姿の「型」」について考えてみたいと思います。
日本で大切にされてきた地域と企業のあるべき姿の「型」とは
長野県の中央タクシー、産廃業者の石坂産業のエピソードが紹介されていて、私は今回、これらのエピソードの共通点に大変惹かれるものがありました。
なぜなら、私が生まれ育った地域の近江商人の「型」であり哲学「三方よし」と同じ考え方だったからです。
三方よしについて
先ず「三方よし」についてふれたいと思います。
「売り手良し」
「買い手よし」
「世間良し」
この3つの「良し」。
これが三方よしです。
売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会に発展や福利の増進に貢献しなければならない。と、いう近江商人の心得です。
長野市中央タクシーと石坂産業が実践する「三方よし」
ここで、高野氏が紹介している長野市中央タクシーと石坂産業の事例を抜粋させていただきます。
長野市の中央タクシーは、タクシー業界でいち早く、お客様を目的地に運ぶ運送業ではなくサービス業であると立ち位置を明確に持ち、「おもてなし」を意識したそうです。
おもてなしの3要素である室礼(しつらい)、振る舞い、装いをきちんとする事から始め、タクシーは客室と同じと考え、日々、地域の人たちとの関わりの中で自分たちができる事は何か?を考え、さまざまな工夫をしていきました。
そして、中央タクシー流の室礼、振る舞い、装いというのが形になってきた頃、長野オリンピックを迎えます。
世界中のメディアが地元タクシーをおさえはじめました。
普段ではかんがえられないくらいの金額で予約が相当入っていました。
そんな折、社長が、ある若い運転手から、「オリンピック開催中に、いつも自分が病院に乗せていくおじいさんやおばあさんはどうしたらいいんだかね?」と、聞かれたのです。
この言葉に社長は、社員全員に対して「今回の特需をとるのか、それとも普段のお客様をとるのか?」と問うと、満場一致で、「普段のお客様を大切にしましょう。」ということになったのです。
中央タクシーは地域社会の人たちのために駆け回りました。
売上はオリンピック期間中、他社と比べて、最下位でしたが、「タクシー乗るなら中央タクシー」「電話予約を最初にかけるのが中央タクシー」というのが地域の人たちの習慣になったのです。
これが、中央タクシーが地域社会との関わりを考えた時に確信した、ブレない働き方、仕事の型なのです。
企業の社会貢献の一つに、地域への貢献があげられて久しいですが、企業と地域の信頼関係をいかにつくるかというものも地域社会を形づくる型のキーワードだと思います。
石坂産業のエピソードに関しても、ダイオキシン問題でバッシングを受けたこともありましたが、会社の周りの森を全部かり受けて、森の再生や農業にも取り組み、
「私達はこの地域を大切にしています」
「この地域とともに生きていきます」
「この地域だけでなく地球全体のことも考えています」
とメッセージを発信し、会社の敷地内で親子にピクニックができるところまで時間をかけて持っていきました。
まさに企業と地域社会の信頼関係を作っていくプロセスの型です。
バッシングと言うマイナスからスタートする地域社会とのコミニュケーションづくりは難しいものです。
そこに必要なのは「忍耐」と「信念」でしょう。
ビジョンを信じつづける意志、そして誇りを、私は強く感じるのです。
多くの地域に当てはまるかもしれないこと。
高野氏は、作中で、
「地域社会を形づくる型が持っていたパワーが削がれてしまったことで、人と人との心のつながりが希薄になっているような気がします。」
と、コメントしています。
この高野氏のコメントは、私が店を経営する地域にとっても、すこし耳に痛いコメントです。
同じように、「そうそう、そうなんだよなぁ」と感じる方もおられるのではないでしょうか?
不景気や人口の減少で衰退、閉店に追い込まれる商店街の店舗、それに伴い減少する日々のコミニュケーション、その為に著者の言う地域社会を形づくる型が持っていたパワーが削られ、さらに、人と人との心のつながりが希薄になっている事を実感せずにはいられません。
今回、この事例と高野氏のコメントに惹かれたのは、その為だと思います。
しかし、先ず、
- 地域に対して自分に何ができるのか?
- 地域の為に一番身近な人に何を手伝ってもらうのか?
- 自身が掲げられる地域社会を良くするビジョンとは?
を改めて再確認し、日々の経営に取り組んでいます。
これを地域で考えることができれば、パワーは取り戻せる可能性だってあるはず。
私ができること、色々な形で提案していきたいと思います。
まとめ
と、なんだか最後は私のことになりましたが、
「日本で大切にされてきた地域と企業のあるべき姿の「型」」
は、大きな可能性を持っているのではないでしょうか?
時代によって変わるべきもの、こういった「型」のように、大切な根幹部分、両方をバランスよく融合させたいものですね。