著者:清水健一郎
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あなたは、「チームワーク」と「チームプレー」の違いについて考えたことがあるでしょうか?

違いはなんとなくわかる、という方も多いと思いますが、はっきりとした明確な答えを求められると、少し答えに窮してしまうかもしれません。

今回は、前回に引き続き、

リッツ・カールトン「型」から入る仕事術
高野 登(著)

から、著書の中の「チームワークの定義」「チームワークのなかの個」について焦点をあて、チームワークとチームプレーに対して考えたいとおもいます。

チームワークと共同作業の違い

まず、本題に入る前に、チームワークと共同作業の違いから考えてみます。

著書の中で高野氏は、チームワークと共同作業の違いは、まず
・チームで仕事をしているのか?
・チームで作業をしているのか?
の違いだと言います。「仕事」なのか「作業」なのか、ということですね。

では、何が仕事で何が作業なのか。
その例えに石切職人の話を紹介されています。

石造りの教会を作る職人達の意識が、「○月○日までにこれだけの石をそろえなければならない。」と言い、石をひたすら切りだす作業を続けるのが共同作業、「我々は村の人達の心の安らぎとなる教会を作らさせていただいている。」と、生み出す価値、ビジョンが見えて仕事をしているのが、チームワークだと言います。

リッツ・カールトン創業者のシュルツ氏が言い続けたこと、それは、

「リーダーが犯し得る最大の罪は、社員にビジョン無き仕事をさせること。」

つまり、大切な社員を作業員には、絶対にしてはいけない、と言う事です。

どんな組織でも単位は「個」

著書の中で高野氏は、どんな組織でも単位は「個」と書いています。

個の集合体がチームなわけですから、その通りですね。

そして、その「個」がそれぞれが尊敬しあって、認めあって、良いところをひきだし、伸ばす。
規則にしばられて使われるのではなく、お互いに尊敬し、信頼し、慈しみやいたわりの気持ちを忘れない「個」で成り立つチームで行うのが、チームワークということです。

チームワークとチームプレー

さて、それでは前提の話しも終わったところで、私の考えるチームワークとチームプレーにふれたいと思います。

この違い、考えた事ありますか?

仕事をするうえで、日々の業務が安定しているということは、仕事をする上で安定した結果につながり、スタッフにとって、安定したメンタルに繋がると思います。

そして、仕事をするうえで安定した結果をだす為に必要なのは、チームプレーだと私は思います。

チームプレーとは?

例えば、客席数の多いレストランでは、複数の料理人で一皿の料理を完成させますが、メインディッシュの一皿、お肉料理を完成させる際のチームプレーを例に取ると、肉を焼く料理人、つけ合わせの野菜をソテーしたり、ボイルする料理人、ソースを仕上げる料理人、お皿に料理を盛りつける料理人の計4人で仕事をします。

その中でもお皿に盛り付ける仕事をする料理人=指示を出す料理長の場合が多いのですが、それは、焼いた肉、調理された付け合せの野菜、仕上られたソース全てチェックできるポジションだからです。

3人の料理人は、頭脳である料理長の手足となって動きます。
肉に火を入れるタイミングも、野菜に火を入れるタイミングも、ソースを仕上るタイミングも最終的には、一皿の料理を完成させるタイミングに合わせなければなりません。

仮にソースが早く出来上がってしまったら、他の食材の肉、野菜を待っている間に水分が飛んでしまい濃くなってしまいます。
遅すぎたら肉も野菜も冷めてしまいます。

チームプレーを実行しようとすると、1人のリーダーの考えを皆が理解して、手足の様に動ける様になっておかなければなりません。

そのためには、日々日頃のコミュニケーションをしっかり取り、チームスタッフ同士が、料理長の料理に対する考えを理解しておかなければ成り立ちません。

そして、チームの成功が目的であって、一個人だけの考えや結果の為にチームのメンバー各々が個人プレーをおこなうことはチームプレーの失敗につながります。

例えば、ソース担当者が、料理長の支持したソースよりも、自分の作ったソースがおいしいからと言って、ソースだけを見て、一皿の完成を見ずにソースを作ったとします。

ソースだけを食べてみれば、指示されたものより美味しいかもしれませんが、お肉と合わせて食べた時、せっかくのお肉の味を殺してしまっているかもしれませんし、お肉の味を生かせてないかもしれません。

一皿の料理を作り上げるチームとして成り立たないのです。

つまり、たとえ個人のプレーが、クオリティの高いプレーだったとしても、チームプレーは、個人よりもチームの結果を重視した行動でなければならないのです。

チームワークとは?

チームワークはどうでしょうか。

仕事、メンタルの安定を求めると、変化やイレギュラーな対応を嫌ったりしませんか?
その結果、特別な要望に対応できなかったりするのは、どんな職業でも同じではないでしょうか。

だからこそ、頼みにくいイレギュラーな事を笑顔でやっていただけると、嬉しくなり、その行為に感謝の気持ちですら出てきます。

リッツのサービスが高く評価されているのは、この変化を楽しみ、イレギュラーな対応ができるからです。

すばらしいチームプレーができるチームであっても、安定を求めイレギュラーな要望、特別なお客様の要望をかなえる事ができなければ、最高のサービスを提供することはできません。

すなわちチームプレーを超えなければ、イレギュラーな要望、特別なお客様の要望に対応できないのです。

どんなイレギュラーでも対応できるチーム、そんなチームワークと言うと私は、「特攻野郎Aチーム」や「スパイ大作戦」を思い出します。
全員、強烈な「個」を持ち、誰も真似できません。

チームワークは、先ず各々の仕事をプロとしてできることが条件です。
すなわち「個」の力が大切です。

高野氏が言う様に、スタッフ一人一人が他のスタッフの仕事を認め尊敬し合い。
目標を達成する為に各々の仕事をプロとして取り組んで「個」を出し合い。
初めてチームワークが機能し始めるのです。
各々のプロとしてのプレー無くては、強力なチームワークは産まれないのです。

そして、プロになる為には、先ずチームプレーが出来るようになるのが先決です。

つまり・・・

チームプレーとチームワークは、

チームプレーを身につける

プロになる

チームワークを身につける

というような順番で身につけていくもの。

そしてさらに、リッツのような大きな組織全体のチームワークは、複数のチームプレーそれを束ねて結果をだしていくものです。

私がリッツ・カールトンで学んだサービススタイルの1つ、チームワークサービス、それは、スタッフ各々がプロフェッショナルとして「個」を出し、「個」を出すからこそ輝けるサービススタイルなのです。

チームプレーとチームワークの関係、あなたの職場はいかがでしょうか?

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