著者:清水健一郎
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幕末、多くの偉人を育てた薩摩藩の教育システムがリッツと同じだった薩摩藩の教育システム2

クレドコラム 番外編

 

「幕末、多くの偉人を育てた薩摩藩の教育システムがリッツと同じだった!?」

薩摩藩の教育システム2

 

参考資料は、歴史学者・磯田道史先生のコラムより

詮議(せんぎ)

 

前回は薩摩藩の郷中教育について書かせていただきました。

そして、今回は、その郷中教育の中で特に重視されていた「詮議(せんぎ)」と言うやり方について、今でいう「ケーススタディ」で、起こり得るけど簡単には答えが出ないような状況をいろいろ“仮想”し、その解決策を皆で考え合う訓練だそうです。

 

(磯田先生のコラムから抜粋)

例えば「殿様の用事で急いでいるが、早駕籠(はやかご)でも間に合わない。どうするか」とか、「殿様と一緒に乗っていた船が難破した。

向こうから一艘(そう)の助け船が来たが、乗っているのは自分の親の敵(かたき)だった。どうするか」とか、「道で侮辱された。どうするか」といったリアルな設問を次々と挙げ、各自が自分だったらどうするかを述べ、皆で議論する。

 

完全にラインナップ(リッツ式朝礼)でのディスカッションと同じです。

ラインナップとは、毎日、就業前に行うミーティングの事で、よく一般企業の朝礼に近いものと思われていますが、中身は大きく違っています。

 

朝礼は会社、上司からのインフォメーション(業務報告)が中心なのに対して、ラインナップはインフォメーションから始まり、クエスチョン(質問)そして、ディスカッション(討論、議論)に至りますが、ラインナップの中心はディスカッションです。

 

例えば、伝説的なサービスエピソードは、「ワオ・トーリー」と呼んで全世界のリッツのラインナップでインフォメーションされます。

そして、ラインナップリーダーが「あなた達なら、この場合どんなアイデアを出しますか?どう実践しますか?」とクエスチョン、ラインナップに参加しているスタッフでディスカッションして、明確なアイデアを出し、各々の現場ですぐに使える様に変化させ、さらに進化させてしまう場がラインナップです。

 

クレドカードに書かれた内容からは、毎日1つの項目を読み上げ、質問をもらいディスカッションしていました。

例えば「今日は、ジェントルマンについてディスカッションします。

ジェントルマンとはどんな男性ですか?日頃、ジェントルマンになるために、どんな事を実践していますか?」

 

若いスタッフ中心に質問し、ディスカッションし、明確な答えを出します。

もちろん、答えは無数にあります。

心をこめたおもてなしとは?ジェントルマンとはどんな男性?と質問する事で、日頃、取るべき行動が明確になっていき習慣化すれば、クレドを無意識に実践できるようになります。

 

薩摩の偉人たちと同じ様な教育を、リッツで受けていたと思うと改めてリッツ・カールトンに感謝の気持ちがこみあげてきます。

 

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。

本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

 

今回も驚きのコラムでした。清水先生が言うように、詮議(せんぎ)の内容も、その目的もリッツ・カールトンのラインナップと同じですね。

 

ラインナップは、何度か体験すると……

 

「あー、これならイヤでもスタッフは成長するわ(納得)」

 

と感じるはずです。

私もクレドサクセス実践会のクレドを作った後、ベーシックを中心に清水先生からラインナップを行っていただきましたが、初回からラインナップの凄さを感じました。もちろん初回ですから、清水先生からの質問には答えられませんでしたし、ディスカッションもできませんでした。しかし、質問されると、クレド、ミッション、ベーシックを何度も頭の中で意味を理解しようとし、そして日々の行動や考えや仕事で、どうやって活かしているか、もし活かしていないなら、これからどう活かそうか……

 

と、頭がフル回転します。

この体験を経営者や管理職リーダーの方にも1~2回でいいから体験していただきたい。

でも、そのためには、会社にクレドが必要になります。だって、クレドが無いとラインナップができないから。

 

とは言っても、薩摩藩の詮議(せんぎ)もリッツ・カールトンのラインナップも疑似体験、バーチャルです。実際に体験していないこでも、もしも? でディスカッションします。

それが、どうして効果があるのか?

 

これは、脳って実際に体験したことと、イメージの中で体験したことの区別がつかないからです。だからクレドを作って、朝礼にラインナップを取り入れて、経験したことも未経験のこともディスカッションすることで、人材が育っていくわけです。

 

創業者や経営者が理想をもって起業して、社是や社訓をかかげて毎朝朝礼で唱和しても何も変わらないことの解決方法は、ラインナップにありそうですね。

 

ラインナップの具体的な方法もクレド導入マニュアルにあります。

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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