著者:清水健一郎
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リッツ・カールトンでポジションを確立し自信をもって働く

リッツ・カールトン元支配人が学んだ一流のホスピタリティ心得

「英語がとびかう職場に想定外のカルチャーショック!」

ここまで読み進めたら私も声を上げて笑ってしまいました。
リッツ大阪開業の際、林田さんが感じていた事が私とあまりにも同じだからです。
と、いいますか当時のスタッフ全員、林田さんと同じ事を考え感じていたのだと、この章でわかりました。

私達、新卒スタッフはホテルに一歩入った際、リッツ大阪の雰囲気、重厚感に圧倒され「こんなところに自分はいていいのか?仕事をしていいのか?」と感じたものです。
そして、上司の半分が外国人、私に開業前のトレーニングをしていただいたトレーナーの方々は、全員外国人でした。

最初はもちろんドギマギして失敗ばかりでしたが、トレーナーの皆さんは笑顔で
「大丈夫、君ならきっと素晴らしいリッツマンになる」
「君は素晴らしいホスピタリティ精神を持っている。技術、知識は後からつければいい」
と、励ましてくださいました。

その中にはリッツ・カールトンカンパニーの副社長や世界中のリッツの料理人全てを束ねるシェフもおられ、失敗続きの私も「自信持っていいのかな?」と、考えるようになりました。

もちろん、当時の社長のホルス・シュルツ氏とも直接お話しさせていただきました。
今から考えれば、リッツ大阪開業にいかに力を入れていたのか思い起こされます。

とはいえ、開業してからと言うと、問題が次から次へと出てきます。
もちろん私は、失敗に次ぐ失敗で、毎日、上司、先輩から叱られては、この仕事を続けていくこと事態に自信がなくなっていました。

「実際にここで職場放棄したら、ダメ人間のレッテルを貼られ、それからどこに行っても通用しなくなるとの思いを強くしたのです。ここがまさに踏ん張りどころ。心を奮い立たせて人一倍努力しようと決意したのです」

上記は林田さんの言葉で抜粋させていただきましたが、私も全く同じ決意をしました。
人一倍努力したと自負があります。

他のスタッフが仮眠をとっている際、朝食ブッフェをいかにスムーズにこなしていけるか、現場を何度もウロウロ歩きながら、予備のお皿やグラスの配置場所を考え、料理を切らしてしまわないための厨房への伝達方法など、私が出来る限りの工夫をしました。

当時、日本では珍しいスペイン料理、スペインワイン(シェリーが中心)のイベントでは、どんなに料理やワインの本をあさってもイベントに必要な情報が手に入らなかったため、神戸のスペイン領事館に電話をかけ資料を頂きました。

当時はネットもなくスペインの料理やワインを調べるにも資料がなかったためです。
領事館の方には大変喜んでいただき、膨大な資料を送っていただく事ができました。

「英会話よりも、自分の得意分野に集中」
「異文化に支配された新しい職場で当初は戸惑いもありましたが、自分のミッションというものにようやく気付きました。行く手をおおっていた雲が一掃され、目の前が開けてきたのです。『視界良好、エンジン全開』との思いを持って仕事に全力投球していくこととなったのでした」

林田さんは、全く話せない英会話よりも営業に収集することで、リッツでのポジションを確保しリッツを成功に導かれました。

私も当時、自分の得意分野と言うのはありませんでした。
しいていえば若さからくる勢いとでもいいましょうか?

そんな勢いを当時の上司たちはクレドを持ってコントロールしリッツ・カールトンのブランドを確立させたと私は思います。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

私も『リッツ・カールトン元支配人が学んだ一流のホスピタリティ心得』を読ませていただきました。

いつもクレドを教えてくれている清水先生が、著者の林田さんと同期、同時期にリッツ・カールトンで働いていたことは知っていましたが、あらためてコラムを読んでいると不思議な気持ちになります。

英会話よりも自分にしかできないこと。
林田さんが自分のミッションに気がついたこと、私も本を読んで印象に残っています。
林田さんがリッツが外資系の企業だからということだけで必死で英会話の勉強を始めていたら、リッツとリッツ卒業後の伝説は残せなかったはずです。

私の好きなマンガ『ワールドトリガー』は、異世界の侵略者から人類を守る人たちのお話です。
このワールドトリガーの主人公の1人、三雲修(みくもおさむ)はボーダーという防衛組織で1部隊の隊長なのに隊の中で最弱。
格闘のセンスが全くありません。

そこで修は、強い隊を周り、強くなれるように協力を求めます。
この状況が、英会話ができない林田さんと通じるところだと思いました。

でも、ある時修は気が付きます。
自分は強くなることが仕事ではないと。

修は弱くても隊員に信頼されていて、そして人一倍、戦闘の戦略や奇策が得意だったのです。それにあらためて気がついた修は、困らない程度の戦闘技術は学ぶものの、自分の得意分野をもっと磨くことが、もともと弱い自分が強くなろうとする努力よりも、隊のためになると行動を変えます。

そして、部隊対抗のチーム戦でめざましい戦果を上げていきます。

マンガの話でしたが、何を求められているか、何が得意なのか、意外と気づけ無いことって私たちのまわりでも多くないでしょうか?

良い意味で気づいて、割り切る。
気づいたらもう迷わない。
とても大切なことだと思います。

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

 

リッツ・カールトン元支配人が学んだ一流のホスピタリティ心得―マニュアルではなく体験で身につける大事なこ/林田 正光 (著)

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