著者:清水健一郎
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リッツで働いたことによって、私は経営者として必要なスキルもたくさんいただいたと思っていますが、そのスキルのうちの一つに、働く人たちにとって魅力のある職場づくりが「本気で」なされているかどうか、という観点があります。

私がリッツ・カールトンを退社して、派遣社員として働いた会社、また独立し、1人の経営者として身近な会社、経営者を見ていて気づいた事は、成功している経営者と失敗している経営者との違いは、この観点がひとつ、大きく影響していたのです。

当ブログでは何度も触れていますが、リッツは働く側にとって、熱意とホスピタリティあふれる、本当に魅力的な職場でした。
日本初のリッツ・カールトンのオープニングスタッフということもあるとは思いますが、それにしても素晴らしい職場でした。

実際に、リッツの元日本支社長である高野氏も、こう著書に書かれています。

社員にとって会社で働く喜びとは、働いて得られる真の報酬とはいったい何なのでしょうか。
企業が考えてみるべきことは、組織として、魅力ある職場づくりへの取り組みが「本気で」
なされているかどうかではないでしょうか?

「上司や仲間とお互いに尊敬し合える人間関係ができているか?」
「自分の意見や提案が尊重され、評価されているか?」
「一昨年よりも去年、去年よりも今年、自分の成長を実感できる職場か?」
「仕事を通じて、自分が会社に貢献していることが実感できる職場か?」
「自分の家族や身内に、つい自慢したくなる職場か?」
「優秀な後輩や友人を『リクルートして連れてきたくなる』職場か?」

こういった観点に立ってみるだけでも、会社が作るべき舞台の1つの方向性が見えてきます。

わかりやすい基準ですよね。

独立し、会社を大きくしていく過程で、この「本気で魅力的な職場づくりをしているか」という観点はとても影響しているはずです。

従業員なくして経営は語れない

もちろん、さまざまな状況があるでしょう。
資金に余裕があるかないか、働く環境はキレイなオフィスなのか、厨房なのか、狭いスペースなのか。
どういったお客様にどういったサービスや商品を提供するのか。
違いはあるでしょう。

しかし、やはりこの観点は共通して違いを生み出すものだと思います。

特にそう感じる背景は、私がいつも、成功している経営者、とくに2店舗目に着手しようとしている経営者の言葉にいつも注目してきたからです。
一つ、例をあげましょう。

実際に成功している尊敬する経営者の知り合いの方がいます。
彼の店舗を増やす理由は明確です。「従業員のため」です。

しかも、上記の高野氏の観点とほぼ同じですが、一番印象に残った彼の言葉は、

「オレなんかに付いてきてくれる従業員にチャンスを与えたい。出世するのに上の従業員が辞めたりしないかぎり、順番待ちで出世できないとかじゃ申し訳ない。だから新店舗つくるたびに上にいけるチャンスを与えられる。オレはチャンスを与えられる経営者であり続けたい。」

しかし、あまりうまくいっていない経営者の皆さんは、「2店舗目は、こんな店をしたい。」「こんな業態にしてお客様に喜んでいただきたい。」まるで、自分が現場に必ず立つ1店舗目開業の時の発想で、2店舗目を開業されるのです。

「子供が生まれて初めて親として成長できるように、従業員を雇用して初めて会社の経営者として成長できるのではないか?」

「子供を育てるつもりが、子供に親として成長させてもらっているように、従業員を成長させる。と、言う事は会社を成長させること、経営者自身を成長させる事。」

つまり、会社を成長させるのであれば、店舗を増やすのであれば、従業員を成長させ、経営者自身も成長していく。
従業員なくして経営は語れないのではないか?

それが、私と彼の共通の考え方です。

まとめ

私のリッツ在籍当時を振り返ると、この従業員にとって働きやすい、魅力的な職場、という観点が、実際にリッツ・カールトンで実践され、新卒入社の私にでさえ、このような観点が、至極当然、当たり前のように浸透していたことに気づき、経営者として、つくづく感謝の気持ちが出てきます。
もちろん、経営者だってきついです。
小規模であれば、従業員のことを考えている余裕なんてないかもしれません。

しかし、この観点が抜け落ちてしまうと、あまりよい結果にはならないのではないでしょうか。
職場が大きくても小さくても、取り組みの方法は違っても、この観点だけは失わないようにしたいですね。

「魅力ある職場づくりへの取り組みが「本気で」なされているかどうか」
一度、ぜひ考えてみてください。

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