著者:清水健一郎
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絆が生まれる瞬間 
ホスピタリティの舞台づくり
著者 高野 登
かんき出版

リッツ・カールトンを最高のホテルに育てた習慣の1つ

言葉の使い方が行動を変える

よく自己啓発などで、言葉の使い方が行動を変える、ということが言われます。

例えば、「今日もいい一日になるぞ!」と唱えてから出勤するのと、「あ~あ、また月曜日か・・・」と唱えて出勤する人が、同じパフォーマンスを発揮するとは考えづらい、ということですね。

一見、非科学的とも思われるかもしれませんが、このような習慣は、リッツ・カールトンにもありました。

そして、この習慣こそ、リッツ・カールトンを最高のホテルに育てた習慣の1つではないかと、私は思っています。

クレドカードにはポジティブな言葉かけの習慣が書いてあった

クレドカードに記載されている内容は、ポジティブであり高潔な言葉ばかりが記載されています。もしかしたらむずがゆく感じるかもしれない人がいるぐらいに。
さらに、その言葉リッツのスタッフ達は、毎日、声をあげて読んでいるのです。

え?ちょっと怖い?

そう感じる人もいるかもしれません。
しかし、「サービスは科学」であるわけですから、リッツに意味のないことはありません。

では、どんな意味があるんでしょうか?

リッツ在籍中に心掛けていたこと

私のリッツ在籍中、上司達は、部下たちにポジティブな発言をさせる事を心掛けていました。
それもそのはず、「上司が部下にスタッフ達にポジティブな発言をさせる」と言う意味が込められた行動指針も、クレドカードに記載されていたんです。

思い出深いエピソードは、当時の料飲部長のフランソワ・ノーカート氏は、出勤すると全部署を笑顔で回ります。

そして、その時、全てのスタッフ達にかける言葉はこのようなもの。

「アーユー ハッピー?」
「レッツ エンジョイ!」

などと声を掛けます。

彼に声を掛けられると、どんなに仕事でイッパイ、イッパイになって必死の顔で働いていても笑顔で

「イエス!アイム ハッピー!」や「イェスサー、レッツ エンジョイ!」などと、反射的に返してしまうのです。

もちろん、最初はそう返さざるをえなかったのですが・・・

今まで必死の顔と心で作業をしていたはずのスタッフ達が、彼の過ぎ去った後、「ぷっ」と、思わず吹き出して皆で笑ってしまった事もありました。
その結果、肩の力が抜けて、職場にポジティブな空気が流れて、よりよい仕事ができるわけですね。

ちょうど、高野氏も、同じようなことを本に書かれていましたのでご紹介しましょう。

著書の高野氏があるサービス産業に将来従事する学生が集まる大学で特別講義を行った時の言葉。

朝起きて雨だった際の言葉を「嫌な雨だな。ズボンが濡れるだろうな」を「あっ、草木の若芽が喜んでいる。」
「今日もいい一日になるぞ!」と3回くらい口に出してから出勤するのと、「あ~あ、また月曜日か・・・」と心でつぶやきながら出勤するのとでは、その日の行動パターンにはあきらかな違いが出てきます。
この「今日もいい日になるぞ!」と3回くらい口に出してから出勤する。

この背景には、学生達にポジティブな言葉とネガティブな言葉を大きな紙に書かせてみると3倍ちかくもネガティブな言葉の方が多く書き出されていて、いかに学生が日頃、ネガティブな言葉の中で生活しているのかがわかった、というものがあります。

なかなか素直に取り組めない方もいらっしゃるかもしれません。
「そんな、言葉を口に出してなんになるの?」と思われるかもしれません。

しかし、まず、騙されたと思って実践していただくと、効果のすごさを実感できます。

有名な名言に、アメリカの心理学者のウィリアム・ジェームスさんの言葉があります。
松井秀喜さんが星陵の監督さんに教えられた言葉でも有名ですね。

言葉が変われば心が変わる
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

こうして変わった人間が集う組織は、いったいどんな組織に育ち、どんなサービスを提供していくでしょうか?

クレドには、こうした大きな目標があり、それを組織に浸透する最高の方法の一つなのが、イメージしていただけるのではないでしょうか。

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。
 

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