著者:清水健一郎
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今回は、

の中から、私に深い納得を促してくれた、リッツ・カールトンの教育、育成方法をご紹介。

それは、

【メンタリング・システム】

です。

メンター(師匠)と言う言葉は、もう多くの方はご存じだと思います。

1990年ごろはアメリカの多くのホテルカンパニーでは、スタッフを教育するしくみとして、「バディ・システム」や「シャドーイング」が主流だったそうです。

先輩や同僚(バディ)に寄り添って行動パターンを真似したり、スキルや知識を補うために(シャドー、すなわち影のように)実務レベルの指導をうけたりすることを意味するそうです。

リッツでは直属の上司ではなく、さらに上のリーダーや、まったく違う部署のディレクターなどが、メンターとして数人のスタッフを受け持ち、仕事の知識、スキルの向上のみならず人間性に関わる指導も担います。

そこで、

  • リッツ大阪オープン時に私が体験したメンタリング・システムと
  • メンターとして私と仲間3名計4名を指導してくださったミスターエリックのエピソード

をご紹介します。

エンジョイ!

リッツ大阪オープン1か月前、世界中から集まったトレーナー(当時はそう呼んでいました。)一人に4,5名が付いて様々な事を学ぶ期間がありました。

私のチーム担当は、シンガポールから来日されたミスターエリック、そこに4名、うち1名が英語堪能なスタッフで通訳をしてくれました。

当時のリッツは、とてつもない情熱を持ったシュルツ社長の元、徹底したクレド教育で、毎日、クレド、クレドだったのですが、トレーナーとして集まっておられた方々のもう一つの口癖が、「エンジョイ!」「グッジョブ!」「エクセレント!」と、ポジティブな言葉ばかりでした。

その中でも「エンジョイ!」だけが命令形、情熱を込めて「たのしめ!」と言うのです。
「楽しまないとお客様を幸せにできない。」
「仕事は楽しいものだ!」

先ずサービススタッフが「楽しむ」事ができなければ、
「自分と自分の仕事、リッツ・カールトンのスタッフという事に誇り、喜びを持つことができないよ。」
と、皆さん口をそろえておっしゃりました。

改めて私が理解できたこと

著書の中で高野氏独自の仕事定義を紹介されています。

1.レイバー
工程表などに沿って、労働力を提供しているレベル2.ジョブ
作業員として期待値をクリアする働きをするレベル3.ワーク
仕事のプロとして十分に能力を発揮できるレベル4.プレイ
仕事に誇りと喜びを感じながら、期待を超えていくレベル

仕事人としての成長過程と同じですから、誰でも出発点は1でいいのです。

そして、最終的に4のレベルを目指す。
それが、リッツ・カールトンの仕事の流儀です。

今回の著書を読み進めていくことで、リッツ大阪オープン当時をより一層深く理解できました。

もちろん、それまでメンター達が私達オープンスタッフに伝えたかった事は理解していましたが、このように明確に仕事をレベル分けして、4を目指すように促していたという事は、今回の著書を読み進めて初めて知ることができました。

そして、メンター達のもう一つの口癖は
「君たちは、将来、必ず成功する。」
でした。

ミスターエリックとのお別れの日、彼は私達4名に高価なゴディバのチョコレートをプレゼントしてくださいました。

滋賀県米原の田舎育ちの私にとって、人生で初めてチョコレートが美味しい食べ物だと気が付けたエピソードです。

ミスターエリックから頂いたのは、ゴディバのチョコレートと、
「ケン(私の事です)君は素晴らしい人だ、必ず将来成功する。どんな事があっても笑顔で自信をもってお客様を笑顔にしなさい。」
と、言う言葉でした。

思わず涙ぐみミスターエリックと固い握手とハグを交わしました。

もちろん、こんなエピソードを体験したのは、私だけでなく、当時のオープンメンバー全てだったと思います。

こうして、リッツ大阪はオープンしたのです。

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