著者:清水健一郎
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サービス業、接客業に従事されている方は、毎日の様に初対面のお客様に接していると思います。
その時、何に意識して接客されていますか?

大切な意識は一つではありませんが、その一つがお客様の長所を見つけようとする意識です。

サービススタッフ、もちろんリッツのスタッフも人間です。

調子の悪い時などに気難しいお客様を接客すると、どうしても、そのお客様の短所ばかりが気になってしまいます。

しかし、そうなったら悪循環。
接客の姿勢にも影響するでしょうし、嫌いになった人の指摘が正しいと理解しても、その指摘に従ったり、反省しにくくなります。

そんな時に大切なこと。
それは、相手の長所を探す習慣、長所を認め尊敬する習慣です。

私はその習慣で、自分の気持ちが変わり、自身の成長だけにとどまらず、相手の成長をも促す結果になると思っています。

リッツ流長所探しのコツ

例えば、

リッツのモットー
「紳士淑女をもてなす私達も紳士淑女です。」

このモットーは、リッツのスタッフを紳士淑女として育てているだけでなく、実はお客様も紳士淑女として育てているのです。

モットーが本当の意味で浸透しているため、横暴なお客様が来られても、スタッフはいやな顔せずに紳士的に、相手を紳士として接する事ができるようになります。
そして、大半の横暴なお客様は、紳士として接客されると、横暴な態度が紳士的に変化していきます。紳士として扱われているのに、紳士的な態度を取らないと自分がカッコ悪い、情けなく思えてくるからです。

子供に「すごいね。もうお兄ちゃんだね!」なんて言うと、子供はお兄ちゃんとしての態度を取ろうとするのと同じです。

そう、リッツでは、モットーに沿って長所を探す習慣がスタッフに浸透しているんですね。
ですから、リッツのお客様は紳士淑女ばかりなのです。
(もちろん、あのリッツ・カールトンが「No」を言う時。 のように例外もあるにはありますが)

従業員を教育するためのモットーだと思われていますが、実はお客様も育てる為のモットーでもあったのです。
そして、そんな紳士淑女に沿って長所を見つける習慣をつける為に、リッツのモットー「紳士淑女をもてなす私達も紳士淑女です。」は、いつも携帯し確認できるようにクレドカードなっているのです。

長所を発見するワーク

高野氏の著書「絆が生まれる瞬間」では、人の長所に焦点を当てる大切さ、その意味について、アメリカでのホテルマン時代に経験した組織強化のワークを紹介されています。

そのワークとは、簡単に説明すると、初対面の5人くらいでチームを作り一人ずつ自己紹介、その後、その人を知るための質問、そして、その人から受けた印象で、長所を紙にできるだけ書き出し、本人に見てもらう方法です。

この方法で、自分の新たな長所を知る事ができたり、自分の強みだと信じていた事が、実は周りの人に伝わっていない事などが理解でき、そして、お互いが打ち解け合うことができ、その後も絆が深まっていくというのです。

確かにこのワークは、ホテル業だけでなく、全ての職業の大切な基礎づくりの1つとして最適ではないかと私は思いました。

長所に焦点を当てると見えてくるもの。
それは、自分のサービスに沿ったお客様を連れてくるもの。

そして、その根幹部分を担っているのがクレドだと私は思います。

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