著者:清水健一郎
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クレドが「考えて動く」社員を育てる!- 一枚のカードで成果を上げる「奇跡の改革」

日本クレド(株)代表取締役 吉田 誠一郎

 

今回の著書は、

「クレドが『考えて動く』社員を育てる!-一枚のカードで成果を上げる『奇跡の改革』です。

自身の会社のクレドを信じているから判断できる

 

〈モチベーションアップ〉(抜粋)

休暇延長で社員のボランティアを応援する会社販売会社

著者の吉田氏が本書で紹介されている輸入自動車販売会社のクレドです。

「地域会社への貢献は、社員の仕事実力を向上させるもの。」「個人の挑戦を支援する」

・業種 輸入自動車販売業

・社員数 80名

・所在地 関東地方

 

こちらの外車販売会社の社長は、若い社員から、
夏休みに清掃活動のボランティアでヒマラヤに行きたいということで、一週間の休暇を希望されたそうです。

 

この社長は、即座にこう言ったそうです。(以下抜粋)

「一週間でいいのか?もう一週間追加で休んで、万全の態勢で挑戦しなさい。

ただし、その延長によって自分の仕事が遅れたり、仲間に迷惑をかけることのないようにね。

君の仕事の能力が試されるよ」

社員のモチベーションが一気に上がるのは、どなたでも想像できますね。

そして、この社員も「地域会社への貢献は、社員の仕事実力を向上させるもの。」を実によく理解し、思い切った行動を取ったと私は思います。

 

そして、休暇内容もヒマラヤ清掃のボランティア活動であれば、周りの社員達も応援したくなったのではないでしょうか?

まさに周囲の人を巻き込んでの行動。

 

人は夢を持っている人を見ると、応援したくなります。

オリンピック選手の夢なんかが分かりやすいと思います。

いつのまにか人の夢が自分の夢でもある。なんて事になります。

 

この社員からすると、ヒマラヤで清掃ボランティアという活動経験だけでなく、職場の仲間との経験も人生の財産になったのではないでしょうか?

そして、「会社に社長に仲間に恩返しをしたい。」なんて考えるようになって、これからも仕事に従事したのではないでしょうか?

 

この経営者は、著者の吉田氏に「単純にクレドに従っただけだ」と言ったそうです。

 

この様な社長の判断をくだすのは、簡単なようで難しいと思います。

しかし、クレドがあれば判断を下せます。

自身の会社のクレドを信じているからこそ、信じることのできるクレドを持っているからこそ、判断できるのです。

 

では、リッツではどうでしかた?と、興味を持たれた方もおられるでしょうから、私の著書からエピソードをご紹介させていただきます。

 

実は私もリッツ・カールトン在籍中、長期休暇をいただきました。

じつに長く9か月間でした。

その理由は、椎間板ヘルニアによる激痛のため、仕事ができなくなったためです。

 

かねてから勤務中に腰の痛みは感じていたのですが、だましだまし仕事を続けていたところ、料理を運んでいる時、厨房と客席フロアの間の通路で激痛を覚えうづくまってしまいました。

腰痛というのはホテルマンにとっては職業病のようなものなのですが、これは想像を絶するほどの痛みで、動くことすらできなくなってしまいました。

 

すぐに病院に行ったところ、椎間板ヘルニアと診断されました。

痛みが落ち着くまで、そんなに日かかるということはないと言うことでした。

上司に報告をすると、「早く治したほうがいい」と言われ、しばらくの間、会社を休むことになりました。

 

この段階では私は、すぐに戻れることになるだろうと楽観的に考えていました。

しかし、はじめはたいした症状ではないと診断されていましたが、なかなか調子が良くなりません。

そのうちに休みが一週間、二週間と伸び、私の焦りは募っていきました。

 

何度も病院を変えたところ、七軒目の病院で腰痛の専門医師に診ていただくことができ、一見軽い症状のように見えるだけで、実は重い症状であることがわかり、手術を勧められました。

会社に対して申し訳ないと思うのと同時に、いったいこれからどうなってしまうのかと不安になりました。

 

仕事ができる体に戻れるのか?

戻るとしてもどれぐらいの時間がかかるのか?

いつまで休職すればよいのか?

考えれば考えるほど暗い気持ちになります。

 

更に「会社はいかなる理由であれ3ヶ月以上の休職者を解雇できる」という法律があることを知り、私だけではなく私の両親も肝を冷やしました。

すでに休職期間は1ヵ月半ほどに及んでいます。

 

ましてや椎間板ヘルニアのように、外傷がなく長年の蓄積で症状が出てくるものは労災が認められません。

仮に仕事で椎間板ヘルニアになったとしても、会社はそれを認めなくてもよいのです。

両親は、「会社なんて本来冷たいものだし、早く治して職場復帰しなければリッツを解雇されてしまう」と青い顔をしています。

もちろん、私も「ここで解雇されたら、オープン時から努力して積み上げてきたことがムダになってしまう」と気が気ではありませんでした。

 

そのため、効果があるという薬や民間療法を片っ端から試しました。

なんとかして早く復帰しなければならないという思いでいっぱいでした。

病院のリハビリですら、早く成果を出そうと焦ったリハビリを行なっていました。

結果的にそのような焦ったやり方で効果があらわれずはずはなく、私と私の家族の焦りと不安は募るばかりでした。

 

休職してもうすぐ2ヵ月になろうとしていたそんな時、私の実家に電話が掛かってきました。

電話を取ったのは私の母です。

 

「お母様ですか、私、大阪リッツ・カールトンの料飲支配人をしています冨田と申します。」

料飲支配人というのは、その当時の私の上司にあたります。

その声を聞き、心配性の母は心臓の鼓動が一気に大きくなったそうです。

 

「ついに来た。解雇の警告だ!」と母は思ったそうです。

「はい、この度は大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」

母は飲料支配人に謝罪をしました。

 

すると、料飲支配人は逆にこのように答えたのです。

「いえいえ、こちらこそ、大変申し訳ございませんでした。」

 

その回答に母は驚きました。

なぜ、料飲支配人が謝るのか分からなかったのです。

困惑している母に料飲支配人は続けました。

 

「息子さんの会社復帰の件で、お母様お父様に心配をかけてしまっていたそうですね。大変申し訳ありません。

結論から言いますと、会社は息子さんを解雇することはありません。彼は誰よりも仕事を頑張り、その結果、腰を痛めてしまいました。

その責任は会社にあります。彼を解雇するどころか粗末に扱うことはできません。」

 

料飲支配人はこう言った後に、更にこう続けてくれました。

「職場復帰できるまで会社は彼を待ちますし、焦らずに治療に専念するようにお伝えください。彼はリッツ大阪にとって、なくてはならない存在です。」

母はこの電話で安心し、感動したことは言うまでもありません。

 

その時、私は病院にリハビリに行っていたので、電話の内容は母から聞きましたが、母は少し嬉し泣きしていました。

私と家族の不安が絶頂に至ったため、私は電話で職場の先輩に相談をしていました。

すると、それを先輩が料飲支配人に伝えてくださり、その翌日、料飲支配人が電話をくださったのです。

 

それから数ヶ月後、急激に痛みがひどくなったため、私は手術をするために緊急入院をしました。

入院中に23歳の誕生日を迎えた私にバースディカードが届きました。

当時の総支配人、副総支配人、総料理長、副総料理量 料飲支配人、その他、大勢のメッセージの入ったバースディカードです。

 

案の定、私の母は嬉し泣きをしながら私にカードを見せてくれました。

私はそのカードを見ながら、「泣くなよ、オカン。オレが女性社員やったらカードだけじゃなく花束も届いてるわ。ホンマに男は損な会社や。」などと照れ隠しをしました。

 

もちろん、そう言いながら、職場復帰をしたら、これまで以上に頑張ろう、同僚が同じ悩みを抱えていたら一番に気付いて、気を使える人になれる経験を神様とリッツから頂いた。

だから、もっと会社に貢献できる社員になろうと心に決めました。

 

 

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

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