ミスティークなサービスが自然に出来るスタッフを育成するクレド
クレドが「考えて動く」社員を育てる!
-一枚のカードで成果を上げる「奇跡の改革」
日本クレド(株)代表取締役
吉田 誠一郎
今回の著書は、
「クレドが『考えて動く』社員を育てる!-一枚のカードで成果を上げる『奇跡の改革』です。
ミスティークなサービスが自然に出来るスタッフを育成するクレド
「クレドと企業理念の違い⑥」(抜粋)
「お客様第一」だけではない。
この「お客様第一」と言う言葉、素晴らしいと思います。
著者の吉田氏も「100%正しいと思います。」と、著書の中で仰ってます。
そして、時に会社の理念になっていますが、実は私はあまり好きではありません。
「え?リッツでクレド、サービスを学んだ人が何言ってるの?」
と、思われると思いますが、恐らくリッツ大阪オープニングスタッフである私の同期達も同じ考えを持っているように思います。
会社組織から従業員に対して「お客様第一」と言う理念、考え方を押し付けている。
と、言っては失礼かもしれませんが、そんな会社、ホテルで派遣社員として働かせていただいた時、
従業員達の共通点がありました。
それは、著書の吉田氏も指摘するように、仕事に満足、会社に満足していない社員では、心から「お客様第一」に仕事ができないのです。
そんな社員は、「自分第一」と言う状態になっていることが多いのです。
仕事に不満足、会社に不満足の社員が他人のために心を込めて仕事ができるでしょうか?
「余計な仕事はしたくない。」
「お客様より自分の都合が大事。」
となります。
会社が従業員を大切にしていないのにも関わらず「お客様第一」を押し付けている会社の典型です。
しかし、リッツのクレドは、お客様に満足していただくことが、従業員の喜びにつながるようにしているのです。
ですから時にスタッフ自身が損をしても、サービス残業をしてでもお客様第一に動けるのです。
一つ私が体験したエピソードをご紹介します。私の著書にも紹介させていただいたエピソードです。
私がロビーラウンジ勤務の時、まだアルバイトだった私の後輩、棚沢さんが、お客様に「アフタヌーン・ティー・セットについてあるイチゴに練乳が欲しい」と言われました。
しかし、ホテル館内に練乳がなく、その時は提供できませんでした。
すると彼女は、上司、会社に相談なく彼女の即決で、「次、ご来店される際には、必ずご用意いたします。」と約束しました。
次の日、彼女は「スーパーで練乳買ってきて、冷蔵庫に入れておきます。お客さまに頼まれたスタッフは、出してください。」とスタッフ引継ぎ張に書き込みました。
棚沢さんは、当初、自腹でお客様に練乳を提供しようとしていましたが、それを聞いた職場の仲間が練乳代を、チップ貯金箱から棚沢さんに出す様にしました。
私達は、お客様から頂いたチップを一個人だけの物にせず、一箇所に集めて、職場で必要になった時に、そのお金を使う為に貯金箱を持っていました。
一人暮らしのスタッフの誕生日にプレゼントを買ったり、勉強会と称してレストランに食べに行ったり、ビール工場も見学に行きました。
よりよいサービスができるように職場で必要な物を購入するのに使ったりもしました。
時には、お客様からいただいたチップもお客様に還元です。
数日後、そのお客様が来店、その日、彼女は休日だったため、先輩スタッフが彼女のエピソードをお客様に話したところ感激してチップを頂きました。
ちなみに、彼女の話をしたのは、実は私です。
これは、お客様によろこんでもらう小さなサービスであったかもしれません。
しかし。これも感動を生み出すサービスのもとになる考え方の一つ、リッツ・カールトンのミスティーク・サービスと言えると思います。
彼女は『お客様が喜んでくださるなら、そのくらい別にいいですよ。そんな練乳ぐらいワザワザ会社に請求しなくても。』と言っていました。
棚沢さんに限らず、スタッフが自腹で会社に請求なく備品や道具を買ってくる事は多々ありました。
お客様に対して、「自分がもてなしたい。」と言う気持ち、会社に対して『働かせて頂いているのだから』と言う感謝の気持を持ったスタッフと、そんなスタッフを教育、育成しているリッツ・カールトンのクレド。
「お客様第一」
スタッフを大切にしていないのにも関わらずスタッフに押し付けていれば、返ってお客様の満足が得られなかったり従業員満足が悪化したりと、良い事など一つも生まれてはこないのではないでしょうか?
著書の吉田氏も(以下抜粋
仕事に満足している社員が業績を伸ばす
人を育てることがクレドの究極の目的だといえるからです。
私もまったくその通りだと確信を持っています。
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。