著者:友松はじめ
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ホスピタリティはサービスではなくてサービスにプラスするもの
クレドを研究していると友松です。
ホスピタリティが注目されて久しいです。
ホスピタリティのことをサービスと思っている方は多いのではないでしょうか?

ホスピタリティはサービスではなくてサービスにプラスするものだと考えると見えなかったものがいろいろ見えてきそうです。

サービスというのは目に見えるものです。
良いサービスというのは評判になります。
評判になるのでしばらくすると競合他社に真似されていきます。

今読んでいる『伝説のホテルマンが説く IT 企業のホスピタリティ戦略』に登場するアイエスエフネットは、エンジニア未経験の人材を採用し社内で専門知識を習得させて一人前のエンジニアにした後にクライアント先に派遣をさせるという事業を行い、業界のパイオニアとして成長をしました。

成功の要因は、エンジニアとして技術があればどんな人間でも即採用。
まともに挨拶も出来なければ身だしなみも自由という、業界では当たり前と思われていたエンジニアのイメージを覆したからでした。

社会人としての礼儀はしっかりとしている。
人間的にもコミュニケーション力があり素晴らしい。
そして一番大切なエンジニアとしての技術も一人前。

このような人材をアイエスエフネットが育ててクライアントに派遣し始めたものだから他社のエンジニアはどんどん切られていきました。
エンジニアが必要だったクライアント企業等は、コミュニケーション力がない、挨拶もできない、身だしなみもだらしないエンジニアに我慢していたのでした。

この本を読んでいるとアイエスエフネットのエンジニア派遣事業が成功した要因をわかりやすく理解するためのメタファーがありました。

当時のアイエスエフネットの近くにはコンビニが一軒しかなかったそうです。
そしてそのコンビニの店員の接客が最悪らしく、お弁当を買ってもお箸が入ってないということがよくあったそうです。

お箸が入ってないことを会社の事務所で気がつき、仕方がないので使い古しの割り箸を洗って使ったそうです。
しばらくしてまたそのコンビニにお弁当を買いに行った時に、箸を入れ忘れた店員に対して「この前お箸が入ってなかったよ」と伝えると そのコンビニの店員は「お箸を入れてくれと言われないとわからない」と言ったそうです。

この時アイエスエフネットのスタッフの方は思ったそうです。
もし会社の近くにコンビニがもう一軒あったら、このコンビニにはもう二度と行かない。
他に利用するコンビニがないから仕方なくこのコンビニでお弁当を買っている。
他に選択肢がないから仕方がなく使っているんだ。

なるほど。
とてもわかりやすいメタファーです。
このコンビニの事件と全く同じことが IT 業界のエンジニアの中で起こっていたということです。

そう考えるとわかりやすいですよね。
ただし、アイエスエフネットが人間的に素晴らしくコミュニケーション力のある未経験者を採用してエンジニアに育ててクライアント先に派遣する事業もだんだんと競合他社も真似するようになってきたといいます。

つまりアイエスエフネットのサービスが真似されるようになり競合他社との差別化がとても難しくなってきました。
ホスピタリティのあるコミュニケーションをすると感動が生まれるというのは以前のコラムにも度々書いていることですが、アイエスエフネットは 差別化をするには感動を与えるサービスをお客様に与えないといけないという考えになったそうです。

そしてホスピタリティをサービスに加えるにはどうしたらいいか?
そう考えた時に トップダウンでホスピタリティ力をつけろと言っても身につくわけもないし、ホスピタリティー力を一部の社員がつけたとしてもサービスにムラが出てくる。

やはり企業風土として社員全員がホスピタリティ力のあるサービスをしていかなければいけないとアイエスエフネットの社長である渡辺さんは考えたそうです。

企業風土としてホスピタリティのある会社にしていく。
それはつまり社員全員がホスピタリティのあるサービスを自然に行えるようになるということです。

それを達成するために必要なものがクレドだったということです。
でもそのクレドを社長の渡邉さんとこの本の著者・林田さんの二人で作ったのでは意味がないと書かれていました。

会社全体、社長も社員も一緒になって作り上げていくことで理想のクレドが出来上がり、企業風土も出来上がっていく。
ということでアイエスエフネットでどんな取り組みをしながらクレドを作っていったのかがこれから明らかになっていきます。

NLP 的に考えてみると、経験のあるエンジニアを採用するというのも、未経験者を採用してエンジニアに育てるというのもチャンの位置は同じなんです。
NLPでは、水平チャンクとかチャンクラテラルなんていいます。

水平、横並びだから他社に真似される。
真似されたくないならチャンクアップして考えるといいのです。

クレドは未経験者を採用して一人前のエンジニアに育ってる事業よりもチャンクが上、チャンクアップされた ものです。

チャンクアップされていくとどんどん普遍的な概念になっていくので、他社が真似しようと思ってもなかなか真似できなくなっていきます。

多くの企業がリッツ・カールトンのクレドを真似してもリッツ・カールトンのような成功を手にできなかったのと同じことなんですね。

 

《つづく》

 

《参考文献》伝説のホテルマンが説く IT企業のホスピタリティ戦略 / 林田正光(著)

 

記事/友松はじめ

クレド勉強会 友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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