著者:清水健一郎
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今回の書籍は、「1枚の「クレド」が組織を変える!」です。

著者は、大阪でトリプルグッド税理士法人の代表をされている実島 誠氏です。
トリプルグッド? はじめこの言葉を聞いたとたんに私はピン!ときました。

「三方よし」です。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。

売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるという近江商人の心得を言ったもので、全ての滋賀県民かどうかはわかりませんが、私は小学校、中学校の全校集会で上映された「てんびんの詩」という映画と通じて、「三方よし」を学んだ思い出があります。

ストーリーは、小学校を卒業したばかりの少年、近藤大作が、近江商人の父から商売の心得を習得するために試練を与えられます。
それは、なぜか大量の鍋蓋を売って歩くというものでした。

なぜ鍋蓋なのかも理解できないまま売りに出る大作でした。
まったく売れず買ってくれない人や世間を恨む事もあるのですが、最後は「三方よし」の心得に気づき、見事に鍋蓋を売り切るというストーリーです。

子供のころからこのような映画を見せるとは、さすが近江商人のお膝元と、地元自慢をして話がだいぶそれてしまいましたね。
少しうれしくなっていました。

ネタバレ注意と言うこともあって、「三方よし」の心得をどのように習得したのか、興味のある方は、「てんびんの詩」ぜひともご覧ください。

そんな実島氏、代表を務めるトリプルグッド税理士法人が、第一回会計事務所甲子園で日本一位になったり、Great Place to Work Institute Japanが実施している、「働きがいのある会社」ランキングで1位になったりと、かなり素晴らしい結果を出し続けてらっしゃいます。

しかし最初からうまくいっていたわけではなく、著書にも書かれていますが、創業当時は

当時、社員7名程度の小さな所帯でしたが、離職率はなんと100%。
年間で7名程度を採用して、7名はやめていってしまう状態でした。(6ページより引用)

その他にも様々な苦労をされた経営者の1人。
私個人的な感想ですが、苦労、失敗を経験されて成功された方の著書は大好きです。
やはり、言葉の重みがちがいますね。

そんな苦労をされた実島氏、悩み苦しみ続けていた時に出会ったのが、なんと「クレド」だったそうです。
しかも、きっかけはザ・リッツカールトン大阪、「三方よし」といい、いや~嬉しくなりますね。

当時、リッツ・カールトン大阪が開業して数年が経ち、その卓越したサービスが話題を集めていたのがきっかけだったそうです。
その時、私まだ働いてましたよ(笑)

「社員に権限を移譲する」「社員が顧客の立場に立って、自ら考えてサービスを提供する」「マニュアルを押し付けるのではなく、考え方や価値観を学び、自律して行動できるようにする」私にとって、働くころについての理想の世界がそこにありました。そしてこれらの秘訣がクレドにあるということを知りました。(19ページより引用)

リッツ・カールトンのクレドの真髄ですね。

当時、リッツ・カールトンのクレドを見習って「わが社にもクレドを導入しよう!」と考える経営者は少なくなかったと思います。
実際、この頃私がサービスをしていた際に、「クレドカードを見せていただけませんか?」「クレドカードいただいてもいいですか?」と、何度もお客様に声をかけていただきました。

人事部からは、お客様にクレドについて質問されたり興味があると思えば、こちらからすすんでクレドカードをプレゼントする様に言われていました。
そのため私達スタッフは、数枚のクレドカードを携帯していた記憶があります。

そんな中、私的に今回の著者実島氏が凄いと思うところの一つが、クレドを自社用に自力で作り、社内に浸透されクレド経営を成功させられた事です。
どういうことかと言いますと、当時、世間的にクレドを導入しようと自社のクレドを作成したにもかかわらず、クレド経営が上手くいかない経営者、つまりクレドを浸透する事ができない会社、クレドを活用できない会社が続出し、「クレドはリッツ・カールトンでしか機能しない。」と言う風潮になってしまっていたのです。

そんな中、著者の実島氏は、クレドを作成し活用し浸透させクレド経営を成功されたのです。

私や実島氏からすれば、クレド経営が成功しない会社は、クレドの使い方を間違っていたにすぎません。
私のリッツ時代の元上司で、私の経営する飲食店バスティアンクントラーリのお客様第一号にもなってくださった故林田正光氏が生前によく仰っていたのが、「クレドは作ってからがスタート、作るよりも浸透させるほうが難しい」

著書の中でも

クレドを信じてきたからこそ、会社の今をつくることができ、さらにクレドを活用していけば、会社や社員の可能性は無限に広がると、確固たる自信を持っています。なぜなら、クレドが単なる人材育成ツールではなく、強力な経営ツールとして大きな力を発揮してくれるからです。(20ページより引用)

では、実島氏はいったいどうやって、クレドの作成を学び、クレドの活用、クレドの浸透を成し遂げたのでしょうか?
今回の著書を読み進めていきましょう。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

私も清水先生と同じ本を読んでいて、著者さんは清水先生がリッツで働いているときにクレドにであったのか~、お互いにホテル内で出会ってるかもしれないなぁと思っていました。
清水先生も反応しましたね。

リッツカールトンの成功を知って、多くの経営者がリッツカールトン大阪に行ってクレドカードをもらい、自分の会社にクレドを導入した。
でもリッツカールトンのようにうまくいかない。

かたやこの著者のようにリッツカールトンのクレドを参考に自分の会社にクレドを導入して成功する人もいる。
見て参考にしているのは同じクレドカードのはずなのに。

不思議ですよね。
これは人それぞれが持っているフィルターの違いなんじゃないかなと思ったりします。
人間って自分に都合のいいものは見えるけど、都合の悪いものは見えないようにできているんです。

だからミスコミュニケーションが生まれるわけです。
もしかしたら著者のフィルターではクレドが役に立つものとしてたまたまヒットした可能性もなくもないと私は感じますが、でもリッツカールトンのクレドをマネするって、例えるなら他社の社是とか社訓マネするようなもので、導入までに大変な工夫と苦労があったに違いないと思います。

いいものでも自分の印象だけで切り捨てたりするのはせっかくのチャンスを自ら捨てているようなものだなって感じます。
この本をキッカケに清水先生からどんな話がでてくるのか今からとても楽しみです。

 

《つづく》

 

記事を書いた人/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。

リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。

 

編集/友松はじめ

勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。

本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる

現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中

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