著者:清水健一郎
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ワクワクする仕事をしていれば、自然とお金はやってくる

こんにちは。清水です。
冒頭からシュルツ氏は、1980年代後半から90年代初頭にかけてベストセラーとなり、最終的に100万部以上うれた本の紹介をされています。
私も昔、なんどか聞いたことがありますし、その言葉を信じて仕事をしていました。

しかし、振り返ってみれば、リッツ・カールトン在籍中以外では、うまくいかない時の方が多かったように思います。
そんな時、「なんで、こんなにも、素晴らしい仕事をしているのに(お客様は)わかってくれないの。」と、問題なのは自分自身ではなく、分かってくれないお客様のせいにしていた事もありました。

それについてシュルツ氏は著書のなかで

「ワクワクする仕事をしていれば、自然とお金はやってくる」というのは、間違いではない。しかし、実態をより正確に表現すれば、こうなる。「お客様がワクワクしてくれる仕事をしていれば、自然とお金はやってくる」(265ページより引用)

はい。そのとおりです。
すいませんでした。
今では、しっかり理解しています。
と、過去を反省しています。
つまり、独りよがりの自己満足ではダメなんです。
リッツ・カールトン大阪で、下積みをして「オレなら何でもできるし、お客様をワクワクさせる事ができる。」と、少し若かった私は調子に乗っていたのだと、恥ずかしくなります。

しかし、お客様がワクワクしてくれる仕事をやり続ける。と、言うのはなかなか難しいのではないでしょうか?
最初は経験した事のないサービスを受け感動もワクワクもしますが、お客様もだんだん慣れてきます。

その中で、またお客様がワクワクするサービスを提供する事は、スタッフ側のエネルギーだけでなく、テンションを維持する事も難しいと私は思います。
お客様がワクワクし、スタッフもエネルギッシュで、ハイテンションの会社の代表格といえば、ディズニーランドでしょうか?
リッツ・カールトンとディズニーのスタッフとの共通点を考えた時、私はシュルツ氏の言葉の原点にたどり着いていました。

シュルツ氏の言葉
「ビジョンなき仕事を従業員にさせるのは、経営者の陥りやすい罪」
「喜びととプライド」
「紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女」
「お客様への心のこもったおもてなしと、快適さを提供することは、リッツの大切な使命」

クレドカードの中にも書かれていますし、リッツ・カールトン大阪開業の際に直接シュルツ氏から伝えられた言葉でもあります。
今回のコラムを書かせていただいて、さまざまな考え方、手法を著書の中で紹介されたとしても、結局、原点に戻ってくるように思いました。
これらのフィロソフィーこそが、自己満足ではなく的確に、様々なお客様にたいして、「ワクワクさせる」ことが出来るスタッフを育てる事になるのではないでしょうか?

お客様(有権者、会員、寄付者、その他呼び名は何であれ)は、それぞれ自分自身の欲求を持っていて、それに対してお金を払ってくれる。その欲求を認識し、それを満たすべくとき、ビジネスははじめて実現可能なものとなって回り始めるのである。
(266ページより引用)

はじめてシュルツ氏とお会いした20数年前、とんでもないエネルギーを感じました。上司達は落ち着かず新卒のスタッフたちに「いいか、社長が話をしている時は、どんなに社長と離れていても社長の目を見ていろ。もし、ボケーっと壁でも見ていようものなら君たちの目の前にやってきて、『私の話よりも、そんなに壁が気になるのなら、いっそ内装屋にでも就職したらどうだ?』と、本気で言ってくるぞ」と忠告されました。
実際、あの時のシュルツ氏のスピーチは、会場の全員を一つにまとめ士気を高めました。

その時、シュルツ氏と交わした握手は一生の思い出で、手から伝わるエネルギーだけでなく、「この人(シュルツ氏)とにかく目がマジや!」と、言うのが私の受けた印象でした。
スタッフだけのオープニングパーティーの際には、笑顔でスタッフと肩を並べ楽しんでいただけました。

正直、なんでこんなにエネルギー、テンションを維持し続ける事ができるのだろう?と、思うことも何度もありました。

もちろん、次から次に目標を立てて実行し現実のものとされてこられている。と、言うこともあると思いますが、初めてお会いし語っていただいた話から今回の著書を読み進めてきて想像するに、少し私の想像も入るのですが、シュルツ氏の一番の情熱は、ホテル業を通じて一人でも多くの人を育てる事なのではないかと思うのです。

実際、著書の中にはシュルツ氏との出会いがきっかけで、素晴らしいホテリエになられただけでなく、素晴らしい人生を送られている方々が多く登場されていました。
まだまだ未熟者ではありますが私もシュルツ氏、リッツ・カールトンに育てていただけたことに、心から感謝しています。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

今回のコラムを読んで、専門学校を卒業して新卒で、リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社した清水先生を羨ましく感じました。
新卒、ビジネスのルールにほとんど染まっていない状態で、なんというか最初の会社でその後のビジネス人生が決まってしまうくらいの(すこし大げさですが)大事なタイミングで、シュルツ社長のもとで働けてクレドを身につけられたことが今の清水先生を作っているわけで素晴らしいですよね。

今日のコラムですごく刺さったフレーズがありました。
「ワクワクする仕事をしていれば、自然とお金はやってくる」と
「お客様がワクワクしてくれる仕事をしていれば、自然とお金はやってくる」です。

仕事柄、ビジネス書や自己啓発書を読むことが多いのですが、ワクワクする仕事をしていれば、自然とお金はやってくる的な文章をよく目にします。
それはそれで素晴らしいのですが、やはりその文章だけを見てそのまま受け止めるのではなくチャックアップして、つまり視点を高くして理解したほうが自分が成長せきるなと感じました。

それが「お客様がワクワクしてくれる仕事をしていれば、自然とお金はやってくる」という一文ですね。
NLPには18個の『前提』があります。
その中に
『クライアントからの抵抗は、ラポールが不足しているということ』
『相手の反応が、あなたのコミュニケーションの成果である』

というのがあります。
いきなりNLPの前提なんていい出したら、なんじゃそりゃ~って感じかもしれませんね。(汗)

NLPはコミュニケーションの実践学なので、お金がやってくる、豊かになるって話ではありませんが、相手のワクワク、つまり相手に焦点をあてて何かをすることで結果が得られるということは共通していると感じました。

自分のことも大切ですが、「お客様がワクワクしてくれる仕事をしていれば、自然とお金はやってくる」は、ビジネスでも人生でも大切なポイントのひとつのように思います。

 

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この記事を書いた人

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

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