どんなリーダーがもとめられているか、ビジョンを実現するために必要な決断 / 伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ(著)
さあ、今回もシュルツ氏のリーダー論が始まります。
今回、シュルツ氏は「ビジョンを実現するために必要な決断」と始められておられますが、ビジョンを実現するためには決断が必要だと言われています。
つまり、リーダーとは決断ができなくてはならないのです。
私が出版の際には、出版社の編集長からなんども「文章は起承転結で書いてください。」と指摘されました。
さすがにシュルツ氏ともなれば、出版社側から文書の書き方を指摘する事が出来なかったのでしょうか(笑)読み進めるごとにシュルツ氏の文章の書き方が理系よりになってきたことが、私を嬉しくさせると言いますか、シュルツ氏をますます好きにさせてくれます。
理系の人って、会議でも誰かと話す時でも、結論を先に言っていただいて、「何故ならば、」と、後で理由が聞きたいんですよね(笑)
と、余談はここまでで、それではコラムをどうぞ。
どんなリーダーがもとめられているか、ビジョンを実現するために必要な決断
少しコラムを進める前に夢、ビジョン、ドリームについてですが、ビジョンは将来の展望や計画といった、現在地に根差した上で先に見えているものを意味します。
実現すべき目標のようなものでしょうか、ドリームは妄想、空想を含めた広範囲のものでドリームの中で実現すべきものがビジョンです。
リーダーは夢、つまりビジョンを語りビジョンを実現するには「決断」する事が必要だとシュルツ氏は冒頭で仰っていますね。
しかし、多くの方が決断を先延ばしにしたり、そのまま決断できなかったりします。
それは、なぜでしょうか?
自信がない。勝算がない。リスクを考えてしまう。と、様々あると思います。
今回は、そんな決断をする前の判断材料4つを細かく説明されています。
では、今回のコラムは、その中の1、
1.命令ではなく、鼓舞することで部下を動かす。(216~223ページより引用)
に焦点をあてていきたいと思います。
私が社会人になった20数年前、リッツ・カールトン在籍時にこの様な考えを初めて聞きました。
それまでは社会人ではなかったですが、映画やテレビドラマの会社の中でこの様な考えを持って、社員を動かしていた上司を見た事があまりにも少なかったように思います。
実際、20数年前、リッツ・カールトン大阪オープンの際、他社からリッツに中途採用で就社されたベテランサービスマン、ホテルマンの方々は、完全に上からの命令、下からの意見は許されないが、当たり前でした。
ですから、そんな雰囲気がオープンしたてのリッツ・カールトン大阪に漂っていました。しかし、リッツ・カールトン、シュルツ氏の考えに賛同できない、リッツ色に染まる事のできない中途採用者の方々は次々と退社されていき、2周年を迎える時には、
1.命令ではなく、鼓舞することで部下を動かす。(216~223ページより引用)
と、言う上司ばかりになっていたように記憶しています。
今、私や私の友人、先輩の経営者達は、従業員を雇用する際、絶対に相手に確認するのは、「何がしたいのか?」です。
シンプルな質問ですが、とても大切なことです。
しかも、相手が正直に「何がしたいのか」を言ってもらえる様に話をします。
もし、相手が「何がしたいのか、まだ分からないけど行動をする事で、何をしたいのか?を探している。」と言う状態であれば、うまく「何がしたいのか?」を引き出す質問をするようにします。
つまり相手の夢、ビジョンを引き出す様にしているのです。
誰もが進んで良い仕事がしたいと思う環境をつくる必要がある。だから、私は命令するのではなく、招待する。統制や命令によっててなく、鼓舞することによって結果を得たいと思う。(216ページより引用)
当店はフレンチですが、将来、居酒屋さんを経営したいと思っている人が従業員の募集に来たのであれば、従業員は欲しくても、こちらから断ったり見どころのある人でしたら知り合いの居酒屋さんを紹介したりします。
そうしないと、どんなに従業員に対して大切に接しても、魂の抜けたような状態になって日々の仕事に従事する様になってしまうのです。
あなたが望んでいるのは、活気にあふれ、誰もが進んで行動し、喜んで汗をかくような組織のはずだ。そのような組織は、全員が自ら結果をつかもうと思う時に生まれる。そのような健康的な文化を根付かせるのが、リーダーの役割なのだ。逃げ出したいと思われる上司より、ついていきたいと思われる上司のほうが、大きな力を持つ。(216~217ページより引用)
私ですらリッツ・カールトンを退社して、派遣社員としてですがホテルで働いている時に、そんな魂の抜けた状態で仕事をしていた経験があるからです。
正直、もうそんな状態には戻りたくありません。
なので、従業員の夢、ビジョン、「何がしたい」と言うのは、本当に重要なのです。
ですから会社、経営者のビジョンと従業員のビジョンが同じ方向を向き、共に進んでいけるとしたら、幸運でもあり感謝すべき事でもあるのです。
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
清水先生から聞いたシュルツさんの言葉に、
「ビジョンなき仕事をさせるのは罪」という言葉があります。
今回のコラムでこの言葉は出てきていませんが、大事な言葉だなと思います。
経営者と従業員が同じ方向を向いて仕事をする、そんなことが可能になるのがクレドです。
会社のオリジナルのクレドを作っていきましょう!!
この記事を書いた人
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる