著者:清水健一郎
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組織を磨く日々の努力、部下への正しい接し方

今回のお話もたいへんおもしろく、勉強させていただきました。
私は、ここまで読み進んで、本当にたのしく、シュルツ氏に親近感がわくのは、サービスを生み出す現場でのシュルツ氏の失敗話や、リッツ・カールトンの初代社長にもかかわらず、現場のスタッフたちとのコミュニケーションエピソードが多くある事ではないでしょうか?

実際、自身の失敗話は隠して、武勇伝のような話ばかりの人は少なくありません。
それと、これは余談なのですが、今回、私はシュルツ氏の著書を、たいへん読みやすく共感できると感じています。

理由は、いくつもあります。
サービスの現場の話で、シュルツ氏本人が経験している話、他人の失敗話ではなく自身の失敗話、そして、私がピンとくるのが、シュルツ氏は理系であると私は考えています。
題名を書いて、すぐ後に結論を書いているケースが多く見受けます。

実は私も理系の人間です。
つまり、ロジックで伝えようとされていると思うのです。
シュルツ氏の有名な言葉「サービスは科学だよ、個人の特殊能力に頼ってはいけない。」
この言葉に至るのには納得です。

話を戻すと、今回、シュルツ氏は過去の部下の接し方に後悔されていたそうです。
馬の合わない部下と何度もぶつかり、全体ミーティングの際、「彼を辞めさせようと思う」とまで言ったそうです。

しかし、宿泊のマネジャーが「それなら、こっちで引き取ってもいいか?フロント業務に向いている気がするんだ」と。
するとシュルツ氏は「もちろんかまわないさ。でも、彼はこのホテルにはふさわしくないと思うよ」とまで言ったそうです。

しかし、フロントに移るや否や彼は素晴らしい働きをみせ、大きな責任を担う人材へと成長したそうです。

私は彼を脇に連れていき、静かにたずねるべきだった。「今日のことをどう思う?あれは“紳士淑女にサービスを提供する紳士淑女たれ”というモットーにふさわしいやり方だったと思うかい?もっといいやり方があったんじゃないか?」
そうたずねていれば、彼はきっと良い答えを思いついたはずだ。(186ページより引用)

シュルツ氏の後悔が小さくはないと分かる一節ですが、間違いなく相手の方も「もっとシュルツ氏に対して、いい接し方があったはずだ」と後悔されていると想像するのは、私を含め皆様も難しくはないのではないでしょうか?

あのシュルツ氏に「彼を辞めさせようと思う」「もちろんかまわないさ。でも、彼はこのホテルにはふさわしくないと思うよ」とまで言わせた部下。
しかし、彼の本質も見抜けなかったシュルツ氏。
本当に人には合う人、合わない人がいると思わずにはいられないエピソードですね。

もちろん私もそんな経験をたくさんしてきました。
ちょっと、信じられないような話ですが、私がリッツ・カールトン大阪のロビーラウンジに勤務していた時、新しく入ってきた一人の部下(女性)に手を焼いた事がありました。

彼女がエントランスに立って、来店されるお客様をお迎えし、お席までご案内する係を担当していた時、ロビーラウンジのエントランスで大あくびをしているところを私が偶然みつけ、すぐさま彼女に近づいて「おい!エントランスに立っている時に、なに大あくびしてんねん!」と注意すると、「はぁ、そんなの眠たいからに決まってるじゃないですか、あハハハハハ」と、私は小馬鹿にされました。

あまりにも想定外の反応だったので、それ以上、言葉がうまくでてこず、自分の仕事にもどったと記憶しています。
その後もこんなやり取りがチョコチョコありましたが、私の退社が決まったので、あまり接点を持たないようにしてリッツを退社しました。

それから、10年後、私は経営者になって6年目ほどがたったころ、フェイスブックに友達申請が来ました。
それがなんと、その彼女でしかもホテル業界を今でも続けており、海外で有名外資系ホテルのマネジャーをやっているようでした。

私の人を見る目がダメだったのか、それか彼女が劇的な成長をしたのかは分かりません。
今、直接会う機会でもあれば、いろいろと話をしたいものです。
彼女も私に対して同じ事を思っているかもしれませんね。

著書の中でシュルツ氏は、ジェームズ・オートリーの言葉を紹介されています。

良いマネジメントとは、主に愛の問題だ。愛という言葉がしっくりこないなら、世話と言い換えてもよい。なぜなら、適切なマネジメントとは、部下を操作することではなく、世話をすることだからだ。(187ページより引用)

なるほど、納得です。

しかし、あの時の彼女を世話するだけの器が私に備わっていたのか?
おそらく、今の私でもあの時の彼女を世話する器はまだ備わっている自信がありません。

人というのは、本当にわからないもので、おもしろいものでもあります。
ですから、接客業と言う仕事を私は今でも続けているのだと思います。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
私はシュルツさんや清水先生のような経験がありません。
マネジメントに優れた人であってもわからないものですね。

 

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この記事を書いた人

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

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