著者:清水健一郎
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人は何のために働くのか

組織を磨く日々の努力
部下の心に熱い炎をともす
人は何のために働くのか

今回の題名もたいへん考えさせられます。
経営者は経営者的な考えがありますし、新卒者は新卒者として「人は何のために働くのか」を考えてきたのではないでしょうか?
もちろん管理者、リーダー、先輩、立場が違えば、各々の考え方があります。

お金のため、自身の成長のため、達成感を味わいたいため・・・様々あると思います。
一つにまとめるとすれば、自己を満足させたいがためではないでしょうか?

お金を稼いで満足。
自身が成長している実感があれば満足。
仕事の目標を達成する事で満足。

つまり、自己満足なのではないでしょうか?
しかし、自己満足だからこそ、1人1人満足する事が違ってくるのです。

私はリッツ・カールトン大阪で下積みをさせていただきましたが、正直、たいへんでした。
毎日、毎日、クタクタになるまで働いて、帰宅したら倒れるように寝て、起きて、仕事に行き、休日には溜まった洗濯を片付け、お金がなかったので、ぱぁ~と、遊びに行く事もなく、という生活を繰り返したせいか、

「何やってるんだろう?」
「何のために働いているのだろう?」
と、自問自答ばかりしていた時期がありました。

そんなある日、実家に帰り地元の友人たちと集まった時です。
地元の友人達は、実家暮らしで稼いだお金は全て自由に使え、車や遊びに消えている話をしていました。

そんな中、1人が私に「お前、1人暮らしで家賃、食事、その他とお金が飛んでいってて貯金も作れない。車も買えない。なんのためにそんな事やってるんや? なんのために働いてるんかわからんわ。」と、言われたことがありました。

その時、私は、その言葉に反論するかのように、「何やってるんだろう?」「何のために働いているのだろう?」と言う疑問に対して答えが自然と口から出てきた事を覚えています。

「お前(友人)夢ないの? 情熱を持ってやっている事ないの? 自分の人生をかけてやりたい事とかないの?」
正直、口に出さなければよかった。と少し後悔しました。

夢のない人に対して「夢ないの?」と聞くのは、少々残酷な様に思います。
しかし自分がなぜ今の生活をしているのか? その答えが出た瞬間でした。

著書の中でシュルツ氏は、ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授の論文の一節を紹介されています。

人生を強く動機づけるものは金銭ではなく、学習、より大きな責任、他者への貢献、そして達成したことに対する承認である。(183ページより引用)

その当時、リッツ・カールトン大阪には、私にとって金銭ではなく、学習、より大きな責任、他者への貢献、達成したことに対する承認があったのです。
当時、将来の事について全てが明確になっているわけではありませんでしたが、人は、どんなにつらい事があったとしても未来に対して信じる事ができれば乗り越えられます。

「金銭ではなく、学習、より大きな責任、他者への貢献、達成したことに対する承認」について、リッツ・カールトン大阪を信じる事ができていたのです。

著書の中でシュルツ氏は、

社員を本当にやる気にされるのは、社員自身の目的だ。社員個人の目的が会社の関心事と一致するのなら、会社にとっても社員にとっても喜ばしことだ。(182ページより引用)

もちろん、社員個人の目的とリッツ・カールトン大阪の目的とが一致せずに辞めていったスタッフもたくさんいましたが、一致したスタッフ達は、会社の目的と一致、つまりスタッフ同士も一致したのです。

そのため一丸となって前に進む事ができ、結果的にはリッツ・カールトン大阪は、ホテルとして高い評価を得る事になったのです。

私も従業員を雇用する際に確認していることなのですが、私、店の目的と雇用する従業員の目的の一致と言うよりも従業員に対して自分が何を与えられ、何について満足してもらえる自信があるか、ハッキリ伝えています。

伝えたうえで私と一緒に働けるかを確認しています。
WinWinの関係を築くためにリッツ・カールトンでは、「従業員への約束」が存在します。
「『従業員への約束』って、少し明確ではないですよね?」と言う意見もあると思いますが、リッツのスタッフはラインナップでディスカッションすることによって、明確にしています。

その方がスタッフひとりひとりの目的が明確になっていきますし一緒にラインナップを行った同僚どうしお互いの目的を理解する事ができ、より一層絆を深める事ができるからです。

リッツ・カールトンクレドカード 従業員への約束

従業員への約束

リッツ・カールトンでは
お客様へお約束したサービスを
提供する上で、紳士・淑女こそが
もっとも大切な資源です。

信頼、誠実、尊敬、高潔、決意を
原則とし、私たちは、個人と会社の
ためになるよう、持てる才能を育成し、
最大限に伸ばします。

多様性を尊重し、充実した生活を深め、
個人のこころざしを実現し、リッツ・カールトン・ミスティーク
(神秘性)を高める・・・
リッツ・カールトンは、このような
職場環境をはぐぐみます。

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

今回のコラムのテーマは『人は何のために働くのか』でした。

「働く目的? お金を稼ぐことにきまってる」

という人もいるとは思うんですが、お金を稼ぐだけだと仕事はおもしろくないし、そこに夢を持たないと成長も無いですよね。
ぶっちゃけどれくらいのお金を稼ぎたいのかはわかりませんが、会社によっては働いてもお給料を満足にもらえないこともありますし。

本当にお金を稼ぎたいなら、起業するか自分しかできないスキルを身につけることが必要になってきます。
それが夢といってもいいのかもしれないと感じます。

クールジャパンの代表格であるアニメだって、実際に働いているアニメーターは激務のわりに薄給だというのは有名な話です。
でも働いている人たちは夢を持って働いていています。

夢をもって働かないと成長も無いし豊かにもなれない。
でも夢をもって働けば成長して豊かにもなれる。
そう思います。

 

伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法

 

 

この記事を書いた人

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

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