著者:清水健一郎
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部下の心に熱い炎をともす「マネジャー」と「リーダー」の違いとは?

組織を磨く日々の努力
部下の心に熱い炎をともす
「マネジャー」と「リーダー」の違いとは?

今回のコラムは、著書の中でシュルツ氏が「マネジャー」と「リーダー」の違いについて語られています。」
まるで、「サービス」と「おもてなし」の違いくらいに似ているが、別ものではないでしょうか?

私がリッツ在籍中に、この「マネジャー」と「リーダー」の違いは、「サービス」と「おもてなし」と同じくらい何度もディスカッションしました。
つまり、ラインナップで新卒社員の時から、なんども話し合っていたのです。

ラインナップでディスカッションする際、私がリッツ・カールトン在籍時にリッツのリーダー研修に参加された上司から教えて頂いた例え話を使ったのですが、二十代前半の若者だった私にも理解しやすかったので、紹介させていただきます。

リーダーとマネジャー、時に一人がこの2つを兼ねている場合もありますが、この2つの役割は違うと思います。

責任ある立場、特に経営者は、自分の中にリーダーとマネジャーのバランス感覚が必要になると私は思います。
ですから、リーダーとマネジャーを分けて考えなければならないのでは? と思うのです。

では、リーダーシップとマネージメントについて、私がリッツ・カールトン在籍時に上司から教えて頂いた例をもとに紹介させていただきます。

例えば、夫婦で切り盛りしている町場のレストランを想像してみてください。

2人の夢は、
「多くの人にレストランの料理を食べていただいて喜んでいただく。レストランで働いた弟子達に将来、弟子各々の店を持たせる。」
です。

夫が料理一筋のオーナーシェフ、シェフの料理に惚れ込んで弟子入りする若者が後を絶たない。

そして、料理人としての夢を弟子達に毎日の様に熱く語り、時に叱咤激励し弟子を成長させている。

料理以外の店の切り盛りは奥さんが担当、良い食材を見つけると、毎回、衝動買いしてしまう夫の財布を握って、店の経営が成り立つように経理を中心にお客様情報の管理、ホールでの接客、弟子達の世話などを行っています。

こんな、レストランを営むオーナー夫婦のレストラン、私は何件も見てきました。
この場合、リーダーは夫で、マネジャーは奥さんです。

リーダーだけでは夢は達成しません。
マネジャーだけでも夢は達成しません。

この2人がいて、このレストランは初めて輝きだします。
もし、どちらかがいなくなれば、店が成り立たなくなってしまうでしょう。

それだけ、リーダーシップにはマネージメントが必要で、マネージメントにはリーダーシップが必要なのです。

もし、リーダーとマネジャーを一人で兼ねている方は、この2つのバランス感覚が大切だと思います。

リーダーシップは、スタッフが
「給料は、生活が出来ればいいので、働かせてください。」
とまで言えるブランドや職場環境をつくり、自分の夢に他人を引き込み、自分の夢とスタッフの夢を重ねます。

例えば、シェフ夫婦の夢が

「多くの人にレストランの料理を食べていただいて喜んでもらえる。レストランで働いた弟子達に将来、弟子各々の店を持たせる。」

というわけですから、シェフが弟子に教えて作る料理が、弟子が将来独立した時に作りたいと思える料理だとすれば、それはシェフの夢と弟子の夢が重なっているということ。

そして、弟子達に今の自分達の仕事が、将来の自分の夢に向かって進んでいることを認識させる事でモチベーションを維持します。

マネージメントは、スタッフの仕事のクオリティ、生産効率を管理します。
その為、管理者即ちマネジャーが部下に仕事の指示、命令をしても部下達は、会社事であって自分ごとにはならないので、モチベーションが上がりません。

また、マネジャーは、仕事を効率よく行う為に人を選び雇用しますが、リーダーは自分の夢の手伝いをしてもらえる仲間として雇用すると思います。

もし、雇用した従業員の仕事を効率よく行う為だけで雇用したのであれば、まるでロボットを雇用したようなものです。
人をロボットの様に扱ったとすればそれは、非道徳的です。

「ヴィジョンなき仕事をさせるのは罪」とホルスト・シュルツィが言ったのも頷けます。

リーダーは、夢を語り仲間を導く、マネジャーは現実を直視し業務にあたる。

ですから、私は自身が経営する飲食店で、従業員に仕事を与えていると思っていません。

従業員が将来の夢の実現の為に働き、従業員の信念を確立させる場所なのです。
リーダーである私の役割は、従業員の夢や仕事の目的を明確にし、その夢の実現の為のお手伝いをしていると思っています。
そうすることで、従業員は自分で考えて動きますし、生涯の仲間になります。

一つ付け加えたい事は、リーダーになる為に、決して地位や肩書きが必要なわけではない、ということ。

責任を取る覚悟を決め、情熱を持ち、夢を語り、夢に人を引き込ませて、人を導く。
坂本竜馬は、脱藩して浪人でお金もなかった。
行動した結果、偉人になった。

著書の中でシュルツ氏は

マネジャーは強制し、リーダーはやる気にさせる。ただ社員を追い立て、監視し、叱っているだけの人は、自分をリーダーと呼ぶのをやめていただきたい。そんな人は胸に手を当てて、部下の心を付けるに存在になるために何を変えればよいのかを自問していただきたい。(175ページより引用)

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

リーダーシップにはマネージメントが必要
マネージメントにはリーダーシップが必要

マネージャー=リーダー的なイメージを持っていましたが
違っていました。
一人で兼ねる場合はこのバランスをよく考えてみる必要がありますね。
自営業・フリーランスなんか特に必要かもと思ってしまいました。

 

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この記事を書いた人

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

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