著者:清水健一郎
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クレドによる円滑に運営される組織の秘訣
 

円滑に運営される組織の秘訣
採用の鉄則 ただ雇うのではなく選べ
(伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法/120ページより引用)

今回のコラムは、「円滑に運営される組織の秘訣」と、まあ経営者であればおもいっきり食いつく題名で始まっていますね。
秘訣となるものは何なのか?
そして、それをどうやって確保するのか?
そのあたりに焦点をあてつつ読み解いていきましょう。

著書の中でシュルツ氏は、組織の運営を3つに分けて説明されています。

第一 優れた道具
第二 優れた材料
第三 優れた社員
(伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法/120ページより引用)

書籍の中でレストランを例えにして説明されているので、実際、飲食店を経営している私には、非常にわかりやすいです。

優れた道具は、料理を調理するためのフライパンやオーブンといった道具
優れた材料は、もちろん食材
優れた社員は、料理人やサービスマンですね。

その中でもシュルツ氏が重要視しているのが、「第三 優れた社員」です。
やはり、人、人財が一番大切ですね。

余談ですが私の経営する飲食店の常連のお客様で、総合病院を経営されている先生がおられます。
その方は破産も経験されたにもかかわらず10数年で40億円の借金を返済し、また新たに100億以上の借金をして病院の改築をされました。

その先生になんでそんな借金を返せたのか聞いた事があります。
そうすると間髪入れずに返ってきた答えが、「人やな。結局のところ人やぞ」です。

これはシュルツ氏と同じ答えです。
今回シュルツ氏が紹介されておられる言葉でシュルツ氏がまさにそのとおりだと思うと言われている言葉が総合病院の先生と全く同じ意味でした。

『ビジョナリー・カンパニー』の著者として有名なコンサルタントのジム・コリンズが、企業のリーダーをバスの運転手になぞらえて、次のように書いている。まさにそのとおりだと思う。

「良い会社を偉大な会社に変えるリーダーは、まず事業から始めるのではなく、人から始める。ふさわしい人をバスに乗せ、ふさわしくない人をバスから降ろし、乗せた人を適切な座席にのせることから始めようとする」

(伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法/122ページより引用)

総合病院の先生も、ふさわしい人をバスに乗ってもらうための苦労、ふさわしくない人をバスから降ろす苦労を私に話してくださったことがありました。
良い人財を確保するために仙台の看護学校の理事を引き受け、滋賀県から週一で仙台に
通っておられましたし、頻繁に製薬会社の社員を接待されていました。

え? と思われた方おられると思いますが、医者である理事長先生が製薬会社の社員を接待していたのです。
普通は逆ですね。

なぜ、先生が製薬会社の社員を接待していたか、先生本人は自分よりも年下の社員ばかりだったので『ごはんご馳走しただけ』と言っておられました。
製薬会社の社員の皆さんは、担当エリアの病院に行きお医者さんと薬の販売中心に様々な話をされます。

そんな時に製薬会社の社員さんが「Y先生は、人を大切にする。スタッフを一番に考えて病院経営をされている」という話が製薬会社の社員の口から出てくるのです。
そんな噂が広まる事で先生の病院に優秀なお医者さんが集まってきたということです。

本人いわく「接待されるのが嫌い。ご馳走する方が好き」だそうです。
そして集まってきた優秀な人財を適材適所に配置されたそうです。

その際シュルツ氏も先生も
~ CHAPTER6 社員は単なる労働力ではない ~ の中の
『採用の鉄則 ただ雇うのではなく選べ』
を実践されています。

私もリッツ・カールトンに選ばれて新卒入社した一人ですから、今思い起こせば本当に選んでいたなと思えてしょうがありません。
今だから話せる事ですが、リッツ・カールトン大阪の採用は、能力、経験よりもキャラクター重視で選んでおられたらしく、リッツ・カールトン大阪の新卒入社のほとんどが、「内定を頂けた会社がリッツ・カールトンだけ」というスタッフばかりでした。

リッツ・カールトン大阪の同窓会で必ず話題になるエピソードです。
本当に個性的と言うよりも個性を持っていないスタッフはいませんでしたが、皆、その個性をリッツに活かせてもらえたおかげで、一流のホテリエとして成長できたのだと感謝しています。

後のホテルを見れば、そんなスタッフ達をえらんで正解だったと思っておきましょう。
おかげさまで離職率の高いホテル、レストラン業界でいまだに離職せず当時のメンバーが、有名ホテルの役職で活躍しています。

そんな採用、適材適所を見抜く事をシュルツ氏は、自分の目利きだけでなく、客観的に見られるように外部のコンサルタントに依頼されています。
じつに柔軟な経営をされていますね。

今回の著書を読み進めていくと、いくつも専門のコンサルタントを外部から招き入れ客観的な目線を持って経営されていることがわかります。
正直、初めてお会いした時、あまりにも熱くサービス、ホテル、ホスピタリティを語っていただいたので、てっきりワンマン経営者かと思っていました。
すみません。(笑)

シュルツ氏と二人だけで色々とお話した事はありませんが、先生と同じように気さくな方なんだろうと思っています。

「え~先生、スゲー、30億円の借金返した矢沢永吉みたいや~、ちょっとカッコよく見える(笑)」と、私(清水)

「アホ!俺の方がカッコええは!」と先生、子供のころからよく可愛がってもらっていた近所のおっちゃん並みに気さくな方です。
実際、私は私の妻のお父さんと会話するよりもリラックスして話をしているように思います(笑)

 

【編集後記】

クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?

~ 伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法 ~ は私ももっていて読ませていただきましたが、清水先生は実際に著者の社員として働いて直接指導もうけています。
そのため本書を読む以上の学びがあると感じています。

今は採用で苦労している経営者が多いです。
求人広告を出せばたくさん募集があった時期も数年前まではあったようですが、今は採用よりも募集がない状況なのだそうです。
私も「社員にならない?」と誘われたくらいですから。(汗)

ですから、少ない募集の中で即採用したい気持ちもあるとは思いますが、ただ雇うのではなく選んでいただけたらと思います。

 

伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法

 

 

この記事を書いた人

著者/清水健一郎

清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。

2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる

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