問題のあるお客様にどう対応するか / 伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ(著)
お客様に問題があるのではなく対応するスタッフが未熟であるからお客様に問題があると考えてしまう。
といった事を言うコンサルタントやビジネス書がありますが、私も接客業の現場で20年以上やっていますが、どうしようもない、どうすることもできないお客様は存在します。
なので、今回の「問題のあるお客様にどう対応するか」と言う題名に強い興味を持ちました。
著書の中でシュルツ氏は
長年にわたって何千ものコメント・カードを分析した結果、私は、お客様の2%はなにをやっても満足してくれないと言って間違いないと思っている。理屈の通じない人、無理な事を要求する人がいるということだ。98%のお客様を不快にさせて、それを楽しんでいる節さえある。
しかし、シュルツ氏は著書のなかで、どのようなお客様にたいしても紳士淑女として対応するべきだと言います。
私は飲食店をもう14年経営しています。
いつも現場にいます。
何か問題が発生すれば私自ら対応していますし、私の店なので私の判断が店の判断になります。
二度と来店してもらわないように対応をした事も何度もありました。
そこで、シュルツ氏の言う紳士淑女のように対応できたかといえば、そうではない場合もあったと思います。
- 他のお客様に聞こえるように「この店の料理は不味いな!」と大声でしかも笑顔で言う人。
- 店内でスナック菓子を食べ始め、私が店内での持ち込みをご遠慮いただくようにお願いした際、大声で「誰にもの言ってるんじゃ!ワシは客やぞ!客は神様や!」と言っていた人。
- 私の目の前で高価なグラスをわざと床に落とし破損させ「あ、手が滑った」と私の顏を笑顔でのぞき込み、私が「お怪我ありませんか?」と言った事に腹を立て、さらにもう1つグラスを落として破損させ「私の事、うっとうしいって思ってるやろ?」と、どう考えても喧嘩を売ってくる人。
- 来店と同時に「金、貸してくれや!」と言ってスタッフを困らす人。
そんな方々のエピソードを書き出すと止まらなくなります。
人と書いてお客様と書かないのは、お客様と認めていないからです。
こうした方々は、出入り禁止にしなければ他のお客様にご迷惑をおかけしてしまいますし、お客様だけでなく働いてくれるスタッフも離れていきます。
シュルツ氏の言う2%のお客様に対して「お客様に問題があるのではなく対応するスタッフが未熟であるからお客様に問題があると考えてしまう」と思い、一生懸命に対応したところで、いいことなど一つもないのです。
逆にこの様な方々を他のお客様の前で出入り禁止にした際、ほかのお客様から拍手が起きたこともありましたし、他のお客様の気分を害する人を出入り禁止にしすることで居心地の良い店内環境にしていると、ほかのお客様が認めてくだされば、その認めてくださったお客様はリピートしてくださいます。
しかし、シュルツ氏の言うように紳士淑女として対応しなければ、他のお客様からの賛同を得る事はできません。
感情に流されて店内で怒鳴ってしまっては、他のお客様も居心地悪くなってしまします。
それに相手は、私を怒らせようとしているのですから、私が感情に流されて店内で怒鳴ってしまっては、相手の思うつぼになります。
淡々と紳士淑女として紳士淑女に接するように出入り禁止にするのが相手にとってはこたえます。
理想は、スカッとジャパンのスカッとばあちゃんでしょうか? スカッとジャパンのように場を丸く収める事が出来れば良いのですが、難しいですね。
著書の中でシュルツ氏は、何をやってもクレームをつけ、さらに女性スタッフの腕をつかむ乱暴を行った男性にたいして、その町にあるリッツ・カールトンの同クラスのホテルに彼の部屋を用意しリムジンを待機させ支配人にこう言わせたそうです。
「この10日間、私どもがさせていただいたあらゆることにご不満のようでした。すべてのお客様に喜んでいただくのが私どもの仕事なので、ご満足いただける別の方法をご用意しました! 別の素晴らしいホテルにお移りいただけるよう、手配させていただきました。すでに予約をしてございます。リムジンも待たせております。ご満足いただけるとよいのですが、」
紳士的に追い出して出入り禁止にした感じですね。
私達、サービスの現場で働く者にとってスカッとする話です。
何よりも、あのリッツ・カールトンの創業者であるホルス・シュルツ氏が、「お客様に問題があるのではなく、対応するスタッフが未熟であるからお客様に問題がある」と言うのではなく、サービスの現場の現状を理解して、どうしようもない、どうすることもできないお客様は存在する事を著書の中で言ってくださっている事が何よりも嬉しく、励みになるのです。
シュルツ氏のクレーマー対応のエピソードは、かなり端折ってご紹介させていただいております。
ご興味のあるかたは、今回の著書をご購読ください。
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
今回のコラムは、清水先生から内容に不快感があったら載せなくてもいいですよと言われていました。
読んでみると、ヒドイですねえ、ごく一部の人は。
なぜこんなことが平気で出来るのか理解に苦しみますが、一定数いることは確かですね。
クレーム処理に慣れていなかったり、某演歌歌手が「お客様は神様です」という言葉を鵜呑みにした経営者は理不尽なクレームもクレームとしてひとくくりにして従業員を守ってくれません。
会社は守ってくれない。
目の前の人は理不尽な要求をするし、その要求はとてもじゃないけど会社は対応しない内容。
そうなると従業員が壊れてしまいます。
ホルスト・シュルツさんや清水先生のような経営者や現場リーダーがいてくれれば、従業員も安心してそして毅然とした態度でお客様と理不尽なことを言ってくる人(←あえてお客様とはいわない)の相手ができるのにと思います。
この記事を書いた人
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中