問題は根っこから断ち切る / 伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ(著)
問題解決!
実は私、問題解決のお仕事が大好きです。
リッツ・カールトン大阪在籍の時から問題解決ばかりしていたように思います。
リッツ・カールトン大阪開業スタッフだったこともリッツ・カールトンの日本第一号だったこともあり、当時の職場、ホテル館内は問題だらけでした。
もちろん、当時は頭を抱えて悩む開業スタッフばかりでしたが、問題解決になれてくると皆、楽しんで問題解決にいそしんでいたように思います。
説けなかった問題が説けるようになった、見つからなかったパズルの1ピースが見つかった、そんな感覚で問題解決をしていました。
著書に書かれている問題解決の事例は、ルームサービスでの料理提供に時間がかかってしまい、お客様からの苦情が絶えなかったエピソードを紹介されています。
私がリッツ・カールトン在籍中に学んだ問題解決方法と同じで、できるかぎり根本から問題を断ち切ります。
話は少しそれますが、「できるかぎり」と言ったのは、どうあっても不可能な場合もあるからです。
例えば、ルームサービスでの料理提供、混雑する時間帯にはどうしてもエレベーターが2台必要なのにもかかわらず1台しかホテルになかったとします。
では、もう1台エレベーターを付けるとすれば、建物そのものを作り変えなければならなくなってしまうのです。
1台しかエレベーターがないのであれば、エレベーターが1台しかないとなげくより1台でなんとかお客様を満足させる方法を見つけなければならないのです。
話を「根本から問題を断ち切る」にもどすと、まず調べることです。
問題を直視し細かく問題を調べ上げる。
そして、同じ職場の同じ職業のスタッフだけでなく、違う角度から問題を見る事のできるスタッフにも協力してもらいます。
著書の中では、ルームサービスに関係のあるスタッフを集めミーティングしたそうです。オーダーを受ける係、実際に客室に料理をサービスしに行く係、厨房スタッフ、ハウスキーパー(客室の掃除やベットシーツ、タオル類の交換をするスタッフ)エンジニアスタッフ(ホテル館内の機械、設備のメンテナンスをするスタッフ)、エレベーターのメーカーのスタッフまで呼んで調べ上げたそうです。
そのおかげで問題の根っこを発見する事ができたそうです。
それは混雑時にエレベーターも混雑しているということだったそうです。
原因はハウスキーピング(客室の掃除やベットシーツ、タオル類の交換)がスムーズに行われていない事が原因でした。
では、なぜスムーズにハウスキーピングの仕事ができないのか?
その原因は、当時のリッツ・カールトンの社長で著者のシュルツ氏が、シーツ、タオルといったリネン類を予算の関係で1セット切り詰めていたからでした。
なんのことはない、犯人は私だった!
今回の著書は、ときに噴出して笑ってしまう場面が所々あって、本当に楽しく読めますね。
私の問題解決のエピソード
私がリッツ・カールトン在籍中に経験したエピソードはというと問題解決チーム中心によく問題解決ミーティングを行っていました。
しかも小さな問題ばかり、例えば冷蔵庫内の使い方が悪いと上司に指摘されたので、冷蔵庫の使い方だけで、ミーティングを行ったこともありました。
冷蔵庫内の一番上の棚には何を置くのか、ジュースのストック数は? レモンスライスの保存の仕方は? そんな事でわざわざミーティングを行っていました。
そのおかげで、新卒の社員ですら問題解決の方法を考える癖がついていたのです。
しかも、同僚と意見交換することで皆のアイデアを知る事ができ、小さな事ではありますが、様々なスキルが急成長していたように思います。
問題解決以外の様々なスキルとは余談ですが、冷蔵庫に保管するジュースやバターなどは、予約の数から逆算して考える。紅茶のレモンスライスの作り方保管の方法から、なぜスライスするのか? どのような状態になったら廃棄処分するのか? 自分達が作ったレモンスライスには賞味期限が書いていませんから、自身の目、嗅覚、味覚を使うことによって判断基準が身についていきました。
上記のように冷蔵庫内の使い方、ストックしているアイテムの保存方法以外にも、割れ物をどうやって減らすのか? リネン(テーブルクロス、ナフキン、おしぼりなど、)の管理方法や発注方法などなど、当時の問題解決の話を出せばキリがありません。
どの問題も解決方法の基本は、根っこを探し明確にすることからでした。
あらゆる問題は、発生現場から5段階も離れた場所に原因があることもある。
このようにして問題の根本原因を探り当てることで、そのつど顧客サービスを向上させることができ、長期的なコスト削減効果をあげられる。お客様にも、従業員にも、会社にも全員にプラスとなる、究極のウィン・ウィンがもたらされるのである。
当時のメンバーと同窓会をすれば、昔話のほとんどが問題解決でした。
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
今あるものの中でできる限り解決するというお話でした。
今回のコラムを読んでいて、これがないからできない、あれがないからできないというのは、言っている人の心に単に仕事をしたくないという思いがあるのだろうと想像しました。
問題発生は会社や従業員を成長させるチャンス。
あーなんでうちの会社は問題ばかり起きるんだろう
おーまた問題が解決する、また会社が成長する、また従業員がレベルアップする
ものの見方、考え方と言ってしまえばそれまでなんですが、実際そのとおりですよね。
この記事を書いた人
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中