サービスはお客様一人ひとりに合わせて / 伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ(著)
サービスはお客様一人ひとりに合わせて
さー誰でもその重要性が分かっていて、誰でも実践困難なお題が出てきたぞ!
と、身構えした私です。
でも、それがサービス業に従事している醍醐味であり楽しみでもあります。
本書の中でホルスト・シュルツ氏は
消費者の間で2つの要望がとみに高まっていることを感じる。製品やサービスが何であっても、最近の消費者はインディビデュアライゼーション(個別対応)とパーソナライゼーション(個品の興味・関心・行動に合わせた最適化)に、ますます関心を寄せているようだ。
その例として、インディビデュアライゼーションについては、顧客の好みに細かく調整され購入できる業態として、サンドイッチのサブウェイ、そして、車業界でもオプションやガジェットの充実が新車販売台数を左右する事を紹介させています。
実際にインディビデュアライゼーションを実践するに必要な事は、先ずお客様を知る事、お客様の情報を集める事から始まると思います。商品を作るスタッフ、職人がお客様とコミュニケーションを取りながらお客様の好みに近づけていくサブウェイや美容師、お客様と相談しながら提供できる鮨カウンターなどは大変理にかなったやり方だと思います。
このように実際にお客様とコミュニケーションが取れる業態は良いのですが、人を介して得たお客様の情報で仕事をしなければならない職場、会社だと必ずと言っていいほどチームワークが必要になります。
例えば、レストランのサービススタッフや営業スタッフが、お客様の好みを厨房や製造部に伝えても「そんなのできない。」の一点張りの厨房、製造スタッフの会社もあります。
実際、私も厨房で働いた事があるので、時に物理的に不可能な事もある。と、言う事を理解する事ができます。
サービススタッフが「お客様が、あと10分で店を出たいと言い出したので、料理をそれまでに全ての料理を出してください」と厨房に言ってきたとします。
しかし、肉、魚を今から焼き始めても15分はかかります。「半生の肉料理、魚料理を出すのか?それで、お客様は満足するのか?食中毒にでもなったらどうする」と、言った事、じつは何回もあります。
サービススタッフからすれば、「お客様がそう言っておられるのだから、やってください」となりますが、物理的に不可能な時もあります。
プロのサービスマンである私からすれば、「あと10分で店を出たい。」と、言われるお客様は、そもそも初めから時間があまりなかったお客様であり、急用ができたお客様は、即座に退席を希望されます。
つまり、サービススタッフがお客様の情報を得ていなかった。
お客様とのコミュニケーションがうまく取れていなかった証拠なのです。
時間があまりないにもかかわらず、「自身の持ち時間内で食事が全て終わるだろう。と、高をくくっているお客様に気づけるかどうかなのです。
そして、厄介なのは時間があまりないにもかかわらず、「自身の時間内で食事が全て終わるだろう」と、高をくくっているお客様に限って、後々「あそこは料理が出てくるのが遅かった」と言われてしまうのです。
そんな時間のないお客様を見抜く方法は沢山あります。
一番簡単なのは、お席にご案内した際に一言「本日は、ごゆっくりお食事をお楽しみください」と声をかければ、「あ、〇〇時までに店を出たいのですが」「終電に間に合うまでに料理終わりますか?」とお客様から情報をいただけます。
つまり、コミュニケーション不足なのです。
お客様だけではなく、15分かかる料理を10分で出してくれと言っている時点で、そのサービススタッフは、厨房スタッフともコミュニケーションが不足しているのです。
料理を仕上げるために必要な時間を分かっていないのですから。
チームワークで働く職場では、チーム全員のインディビデュアライゼーション(個別対応)を把握しておく必要があるのです。
チームのインディビデュアライゼーション(個別対応)ができて、初めてお客様のインディビデュアライゼーション(個別対応)が可能になるのです。
実は、厨房スタッフとホールスタッフの仲の悪いレストランやホテルは驚くほど多く存在します。
営業と仲の悪い製造もたくさん見てきました。
そんな会社、チームでは、お客様のインディビデュアライゼーション(個別対応)はできません。少し話はズレてしまうかもしれませんが、簡単に誰でも解決できる方法があります。
私の作ったクレド導入マニュアルにご紹介させていただいているので、是非、クレド導入マニュアルを手にしてみてください。
チームワークを駆使してお客様のインディビデュアライゼーション(個別対応)ができるような職場にかわります。
そして、パーソナライゼーション(個品の興味・関心・行動に合わせた最適化)
これについては、お客様をお名前でお呼びする意味、そして、パーソナライゼーションは時に諸刃の剣になる事を書かれていました。
たしかに、間違った名前でお呼びしたり間違ったお客様の顧客情報でサービスしてしまった時は、取返しの付かない事になっているかもしれませんし、失ってしまった信頼を取り戻すために大変な労力を費やしなければならない事になりかねません。
顧客番号で呼ばれたいとは思わない。名前で呼ばれたいと思っている。人をその名前で呼ぶことは、その人に価値を認めている事の証だ。
間違った名前であいさつするぐらいなら、名前は呼ばないほうがよい。
そんな間違いは、プラスよりマイナスのほうが大きい。
様々な過去の失敗を思い出し苦笑いするばかりです。
【編集後記】
クレドを研究している友松です。
本日の清水先生のコラムはいかがでしたか?
インディビデュアライゼーション(個別対応)という言葉がでてきました。
部署間の仲が悪い会社はたくさん存在するんじゃないでしょうか?
私が経験した会社は仲が悪かったところが多かったですね。(汗)
お客様や他部署のことよりも、
まずは自分の仕事に手間が増えてしまうことをきらう
自分への損得を考える
このような考えの人に他部署との連携を妨げる傾向が多いように思います。
インディビデュアライゼーション(個別対応)ができるためにもラテラルサービスがあり、クロストレーニングがあるのですね。
この記事を書いた人
著者/清水健一郎
清水健一郎 ザ・リッツ・カールトン日本進出第一号ホテル、
ザ・リッツ・カールトン大阪のオープニングスタッフとして入社。身をもってクレドを実践する。
リッツ卒業後、数社のホテル、小規模飲食店をクレドによって立て直し、クレドがリッツ以外で経営に役立つことを証明する。
その後、オーナーサービスマンとして飲食店を開業。自ら経営者となる。
2013年に、これまでの経験を活かし出版した書籍が、ビジネス書では異例の2万5千部の販売を記録するヒットに。
失敗しない、小予算でできるクレド導入法を開発し、クレド導入を考える経営者や管理職の方へ無料レポートやクレド導入マニュアルを提供している。職場の信頼関係はクレドで作られる
記事/友松はじめ
クレド勉強会 友松はじめ
勤務していた食品通信販売会社の業務に関連するセールスマーケティング書籍の他、心理学、自己啓発、加速学習等、あらゆるジャンルの本を1 日1~2 冊のペースで読むようになり、3,000 冊以上を読破。
本から得た情報を担当していたインターネット通販に活かし、売上げを月商数万円のレベルから月商1,000 万以上、年商1億のサイトに育てる
現在は、自身の経験を基にしたビジネス読書法講師、読書法を使った読書会ファシリテーターとして、活動中